2004年01月05日

「国境」

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「国境」 黒川博行:講談社文庫

イケイケ系極道の桑原と、不運の建設コンサルタント二宮の「疫病神」コンビが活躍する第二弾小説。彼らは今回、金を騙し取られた詐欺師を追って、北朝鮮に潜入する。

本書は基本的に北朝鮮での追跡劇を描いた前半と、地元・大阪でのヤクザや政治家を巻き込んだアクション活劇風の後半の二部構成となっている。文庫本で 800 ページをこえる大長編だが、ノンストップで読ませてしまう面白さだ。

特に北朝鮮編とも言うべき前半は、冒険小説としてはもちろん、一種の情報小説としても出色の出来映え。たとえば北朝鮮の人民は三つの階層に分類されていて、それは平壌に住める「トマト階層」(皮も身も赤い:完全な共産主義者)と山間奥地や僻地に住む「ぶどう階層」(皮も実も赤くない)、そしてどちらにも属さない「りんご階層」(皮は赤いが中身は白い)の三つだとか、首都・平壌の地下には日本のヤクザに似たゴロツキが大勢いるなど、雑学的知識も織り交ぜながら、あの「パーマデブ」(桑原談)が支配する謎に満ちた国の実態をリアルに描いている。

この前半部分を読むだけで本書は十分お得なのだが、やっぱり本書の一番の魅力は、怖いもの知らずで暴走する桑原と、なぜかそれに巻き込まれていくちょっと情けない二宮の関西漫才顔負けのボケとツッコミだろう。北朝鮮の保安部員だろうが大阪の敵対ヤクザだろうが、「ステゴロ」で「カチコミ」をかける桑原、それに無理矢理つきあわされる二宮。絶体絶命のピンチの場面でも、大阪人の二人はボケとツッコミを忘れない。

ということで、強烈なキャラクタとユーモア満載のセリフ、それと緻密かつ重厚なストーリーが三位一体となった本書は、下手なアクション映画を観るよりよっぽどスリルと爽快感、それに読後のカタルシスを味わえる。正月休みにふさわしく、おもろい本を読ませてもらった。

Posted by hamada at 2004年01月05日 11:01 | TrackBack
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