2004年12月27日

「エンデュアランス号漂流記」

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「エンデュアランス号漂流記」 アーネスト・シャクルトン :中公文庫BIBILIO

二十世紀初頭、史上初の南極大陸横断に挑戦するイギリスの極地探検隊。しかし南極に上陸する寸前、魔の海ウェッデル海で、航海船エンデュアランス号とともに氷に閉じこめられてしまう。本書は、飢えと極寒、そして孤独という絶望的な状況から、探検隊を率いて奇跡的な生還を果たしたアーネスト・シャクルトンによる脱出記。内容的には以前読んだ「エンデュアランス号漂流」とほぼ同じだが、本書は隊長の視点から見た手記というところが興味深い。

もともとシャクルトンという人物に興味を持ったのは、ビジネス系の雑誌かなにかの記事で「シャクルトン流リーダーシップで不況を乗り切る」とかなんとか紹介されていたのを見たのがきっかけだった。南極で遭難した状態から生きて帰ってくるのと不況を乗り切るのとで、どちらがどれだけ大変なのか判断つきかねるが、極地、探検、遭難、そして奇跡の生還という、なにやら心の琴線に触れまくるキーワード群にひかれて本を買ってみたわけである。

ともあれ、なにせ南極である。しかも遭難だ。氷に阻まれて船を失い、やがて極寒の冬がやって来る。装備や食料が尽きかけても知恵と精神力でなんとか冬を越し、決死の覚悟で嵐と氷河が渦巻く凶悪な海を小さなカヌーに乗って数百 km も渡っていくのである。無線も衛星電話も GPS もなにも無い約百年前に、こんな絶望的な状況から生きて帰ってこられるなんておよそ信じがたいが、精神的にも肉体的にも限界を超えた環境の中において、不撓不屈の精神で全員生還をめざし、そしてそれを実現したシャクルトン達には素直に感動するしかない。人間の持つ精神力のなんと偉大なことか。私には絶対無理ですが。

ただ、本書の内容はドキュメンタリというより隊長が書いた航海日誌、あるいは日記風という体裁になっていて、船の構造や航海に関する専門的な用語やデータが頻出し、また他の隊員の名前が説明もなくどんどん出てくるので、バックグラウンド的な予備知識がないと初めて読むには少し分かりずらいかも。できれば探険隊が派遣されたいきさつから隊員(28名)の担当範囲や人柄、癖などの紹介が詳しく書かれている「エンデュアランス号漂流」を最初に読んでおく方が、よりこの偉業を理解するには良いと思う。

Posted by hamada at 2004年12月27日 12:52 | TrackBack
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