2005年05月08日

ホミニッド −原人−

4150115001ホミニッド―原人
ロバート・J.ソウヤー

早川書房 2005-02
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早川 SF 文庫の記念すべき 1,500 冊目は、ロバート・J. ソウヤーの最新刊。我々の宇宙とは別の、ネアンデルタール人が進化し文明を持った地球から、ホモ・サピエンスが文明を持つ「こちら側」の地球へ物理実験の事故で移動してきてしまう、といった平行宇宙を絡めたファーストコンタクトもの。

量子コンピュータの実験途中にホモ・サピエンス世界へ移動してしまったネアンデルタール人、はたしてどうなる?というのが物語のメインだが、ネアンデルタール人の視点から現在の地球や人を描くことで、ネアンデルタールとホモ・サピエンスの間で人同士の感情のありかたは同じながら社会規範の方向性が全く違っているという世界観がわかりやすく、なかなか興味深い。

また平行して「あちら」の世界では、一緒に実験をしていたパートナーのネアンデルタール人が、相方が突然消失したしまったことで殺人容疑をかけられてしまい裁判にかけられてしまう。その過程でネアンデルタール人が進化した後に築いた文明世界を、生活や社会環境、法律などに則って微細に描写していくのだけど、これもまた面白い。パンチ一つで相手を殺してしまうほどの強靱な体格を有しているが故に、犯罪者に対しては徹底的な断種を施し、また各個人には超高性能なコンパニオン装置を埋め込んで、行動を全て記録するのである。ネアンデルタールが優性保存とプチ社会主義的な社会を構築しているというストーリーは斬新ですな。

ただ、男性への不信感から心優しき紳士のネアンデルタールに惹かれていくというストーリーの都合上だったのだろうが、ホモ・サピエンス側の主人公となる女性の、かなりショッキングなシーンは本当に必要だったのか。またストーリー上、「宗教」という概念も大事なポイントになるのだが、毎度のことながらキリスト教がホモ・サピエンスの主たる宗教のように扱われるのは、ちょっとどうか。無信心者に言われる筋合いはない、と言われればそれまでですが。

本作は三部作の第一部ということだそう。第二部、第三部は近く刊行だそうなので、続編が大変楽しみ。しかし続編のタイトルがそれぞれ 『ヒューマン−人類−』 と 『ハイブリッド−新種−』 って、なんとなくそれだけでストーリーが見え見えのような気がするのはどうか。ソウヤーらしい強烈などんでん返しを期待したいが。

しかしこのお話、日本のスーパーカミオカンデが舞台だったらもっと面白かったのに。あ、今は事故の修復中で使えないからダメか。

Posted by hamada at 2005年05月08日 23:39 | TrackBack
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