2005年06月01日

「水平線の光の中、また逢えたら」

4344406125水平線の光の中、また逢えたら―another『亡国のイージス』ジョンヒ~静かなる姫~
橋口 いくよ

幻冬舎 2005-03
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まもなく映画も公開される福井晴敏の「亡国のイージス」に登場した、北朝鮮の女工作員イ・ジョンヒを主人公にしたサイドストーリーもの。北京出張中に読了。

「イージス」ではあくまでも強く、悲しく、そして冷徹で、何ごとにも流されない筋金入りの工作員でしかなかったジョンヒ。愛情を知らずに育った(「兄」からの愛情はともかく)彼女は、人を愛するということを知らない。しかし本作で描かれるジョンヒはもっと生身で、血の通った人間である。研太のことを疎ましく思いながらも、どうしても彼を断ち切ってしまうことができない。それが「他人を愛するという感情」だということに気づいていたらきっと「いそかぜ」に乗り込むことはなかっただろうし、そして気づかなかったからこそ、「イージス」でのあの「名シーン」が生まれたのである。

大ヒットした作品のサイドストーリーものというと、普通に作るとどうしたって「同人臭」が色濃くなるものだが、本作では「鉄の女」の揺れ動く心理を繊細な言葉使いで丁寧に描くことで、別個の作品としての世界を確立していると思う。ただ当然ながらこれだけを読んでもさっぱりわけがわからないはずなので、まずは事前に「イージス」を読んでおくことを強くお勧めする。

ちなみにこの作者は blog も作っているようで、読んでみたら結構おもろい。この手の派生ものだけじゃなく、オリジナルもちょっと読んでみたくなった。

Posted by hamada at 2005年06月01日 23:02 | TrackBack
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