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もっと光を、そしてきれいな電源を

2007.09.06 23:44 CST [ 北京での日常 ]

我が家の居間とキッチンには、電球型の照明がついている。どちらも中型の電球が十個ばかり集まったタイプの照明で、蛍光灯の青白さと違い、電球独特の少しオレンジ色がかかった暖色系の色合いはそれなりに気に入っている。ところがこの電球がしょっちゅう切れるのである。大抵はもって一、二ヶ月。早いものだと一週間もすると切れて点灯しなくなる。なんとなく部屋の中が暗くなってきたような気がするな、とふと頭上を見上げると、いくつもの電球があえなく昇天している様を発見することになる。

北京に来た当初は全て自腹で買い換えていたが、あまりに頻繁に切れまくるものだから今度は私がぶち切れた。契約更改の時に(一般的に中国の賃貸は一年更新である)マンションの管理会社と交渉して、今後切れた電球代は全て管理会社持ちとした。現在は切れた電球を見つけたらマンションのスタッフを呼んで交換してもらうだけなので、一応は精神の安定を保っているが(自分が結構な吝嗇家であることを再認識もした)、しかしこれだけ切れまくるとさすがにどうかと思う。

これは別に我が家だけの問題ではなく、やはり一般的に中国の電球や蛍光灯はすぐに切れるらしい。会社の中国人同僚に聞くと、異口同音に嘆き節を聞くことが出来る。

ちなみに日本で電球が切れる時は、電球の中の発光フィラメントがが溶断して点灯しなくなるという状態になる。この線は極めて細い線で、溶断する時に音がするというようなことはほとんどない。しかし中国製の電球ではその寿命を全うする瞬間に「パン」や「ボン」などかなり大きな爆発音を発する。中国製の電球をよく見てみると、中心に発光フィラメントがあるのは日本のものと同様だが、その線を根本で支えるようにしたかなりの太さの二本の棒状の線が存在する。どうもこの太い棒状の線が発熱ストレスによって溶断する際に大きな音を出すようである。初めてこの音を聞いた時はかなり驚いたが、今では電球が切れたことを見なくともわかるので、意外に便利だと思うようになった。慣れとは恐ろしい。

しかしどうして中国の電球は切れやすいのか。一つの推測は電圧の違いだろうか。中国の家庭用電源の電圧は 220V で、日本の 100V に比較するとかなり高い。一般的に電気部品はかかる電圧(と電流)が高くなるほど寿命は短くなる。しかしいくら電圧が高いと言っても、ヨーロッパなどでは同じ電圧を使っている地域がいくらでもある。私が知る範囲では、それらの国や地域でこれほど頻繁に電球が切れるとは聞いたことがない。

もう一つの推測が、その電源電圧自体の問題である。一般的に言って中国の電力事情はおせじにも良いとは言い難い。それも辺境地帯ならともかく、大都市圏内であってもそれは当てはまる。最近はあまりないが、北京でも以前はしばしば停電に見舞われることがあったという。そうした根本的な電力供給の問題もあるが、意外に見落としがちなのが電圧の安定である。

中国の家庭用電源は、とにかく不安定である。測ってみればわかるが、と言って測ったことがある人はあまりいないだろうが、いや私は仕事柄必要に迫られていろいろな場所で測ったことがあるのだが、これがまた見事に安定しない。一応公称は 220V である。しかし測定してみると、下は 180V 以下、上は時には 270V を超えることもあった。これがどこかのド田舎や人里離れた山の中だったらまだわかるが、大きな街の普通の家や建物の中でもこれだけふらつくのである。乱れてもせいぜいが ±10% 程度で、常時安定した電圧を供給する日本の優秀な送電システムを思うと、文字通り別世界の出来事だと驚愕したおぼえがある。

電子機器は電源オン時に突入電流(ラッシュ電流)と呼ばれる大きな電流が流れるが、もちろんそれを見越した余裕のある安全性設計がされているのが普通である。もちろん中国製電球もある程度のマージンを設けてフィラメントの耐電圧電流を決定しているはずである。しかしあまりマージンを取りすぎると当然ながらコストにはね返る。電球のような極限までコストを削る必要があるであろう製品の場合、マージン値はかなり低く設定されているはずである。せいぜいが 220V±10% 程度であろうか。

しかしそこに想定を超えた電圧がかかるわけである。それもマージン値をはるかに超えた値だ。最初のうちはなんとか踏ん張って持つとしても、オンオフを繰り返すうちにかかる熱ストレスによってフィラメントが急速に劣化、そしてあえなく溶けて破断、というシナリオだろうか。そういえば今までの経験上、電源オンしたままの状態で電球が切れたということはほとんでない。圧倒的に電源をオンした瞬間が多い。経験と仮説を結びつけると、それなりに説明がつくと思われる。

もちろんこれらの考えが全ての場合にあてはまるわけではない。そもそもの電球の本質的な品質問題もあるだろう。中国の電力事情を考慮したマージン設計がなされていない(であろう)ことも見逃せない。しかし根本的にはやはり不安定な電力供給体制に問題があるように思われる。いくらなんでももう少し安定した電力を供給してもらわないと、それにつながる電気製品や電子機器はたまったものではない。電球が切れたぐらいならすぐに交換すればいいが、高価な機械が壊れた場合は泣くに泣けない。

今のところ我が家で使用している電子機器は、今のところ特に問題はない。しかし部屋に備え付けの機器なら壊れても買い換えてもらえるが、自分で日本から持ってきたり最近買ったものが壊れた日には、かなり悲しいことになる。まあワールドワイド電源対応の機器(定格で 240V まで対応の機器)であれば、設計マージンを考えれば多分問題ないだろうし、100V のみ動作可能な日本製品は間にトランスをかませてあるのでおそらく大丈夫だとは思うが、なんとなく気持ちが悪いのは確か。来年の北京オリンピックも含めて、現在建設ラッシュの北京である。電力事情が悪くなることはまだしも、良くなるとはとうてい思えない。どうしたものか。

投稿者 hamada : 2007.09.06 23:44 CST

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