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Archive: 天文関連

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ヴォイジャーは飛んでいく

2007.09.10 23:34 CST

■ Voyager celebrating three decades of flight

1977 年に打ち上げられた NASA の探査機ヴォイジャー 1 号と 2 号が、このほど打ち上げ 30 周年を迎えたとのこと。

NASA がヴォイジャーを打ち上げたのは 1977 年。8 月 20 日にヴォイジャー 2 号が、続いて 9 月 5 日にヴォイジャー 1 号が宇宙へ飛びたった。1979 年に相次いで木星を通過した両探査機は、猛烈な嵐が渦巻く大気の様子や激しく噴火する火山の映像が実に衝撃的だった衛星イオの画像など、多くの興味深いデータを地球へ送ってきた。

その後、ヴォイジャー 1 号は 1980 年に、2 号は 1981 年にそれぞれ土星へ接近し、土星の環が近くの衛星の影響で波打つようすなどを写真に収めた。木星と土星の探査を終えた後、ボイジャー 2 号は太陽系のさらに奥まで探査を進める、天王星に 1986 年 1 月に、海王星には 1989 年 8 月に接近した。海王星の、正に広漠たる海を思わせる見事な碧さには、感動で打ち震えたものである。ヴォイジャー 1 号から見た太陽と惑星の写真も素晴らしかった。太陽系の果てしない広さと、そして地球のあまりにも小さい姿が実感するのに、これ以上の映像はない。

その後ヴォイジャー 1 号、2 号はさらに外側へと飛行を続け、太陽系の最外縁部を調べる旅を続けてきた。2004 年 12 月に、1 号は太陽から 140 億 kmの距離、太陽風が恒星間ガスの影響を受け始めている「太陽圏境界域」に到達した。現在ヴォイジャー 1 号は人類が作り上げた人工物としてはもっとも遠い位置にあり、その距離は太陽から約 155 億 km。一方のヴォイジャー 2 号は、太陽から 125 億 km の距離に達している。もはや遠すぎて太陽電池も使えない距離だそうだが、放射性同位体を使った熱電池で両探査機に搭載されている五つの機器は、すべて順調に作動しているそうである。打ち上げから 30 年が経ち、宇宙という想像を絶する過酷な環境下でそれでもなお観測機器が動き続けていると聞くと、技術屋の端くれとして感服と尊敬の念を送るしかない。アメリカという国は、時にとんでもない物を作り上げるものである。

ちなみに現在は未知の領域に吹く太陽風の様子やそこに存在する高いエネルギーをもつ粒子、磁場や電波などのデータの収集が続けられており、情報は片道 14 時間かけて地球に届けられている。遠いところまで行ってしまったのだなあ。

両探査機には銅版製のレコードが積まれており、地球上の音や画像、地球の位置を示す情報が収められている。いつの日か異星人がヴォイジャーを回収し、そしてこのレコードを解読する時が来るだろうか。そう想像すると非常に愉快な気持ちになるが、さらに考えると遠い未来、宇宙のどこかで、他ならぬ地球人が再びヴォイジャーと出会う日がいつか必ずやって来る。ヴォイジャーの Web サイトを眺めながら、私はそんなことを夢想するのである。

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タイタンの湖

2007.01.08 23:38 CST

■Titan Has Liquid Lakes, Scientists Report in Nature(Jan. 3, 2007 Source: JPL)

昨年 7 月 22 日、土星探査機カッシーニがそれまでのタイタンの観測で最も北側となる北緯 7 度以北の幅 250km、長さ 1,000km 以上の領域を搭載されている合成開口レーダでスキャンし、その結果、直径 3km から 70km 以上のものまで大小合わせて 75 個以上の湖が発見されたという。

と言ってもタイタンは -183℃(90K)という極寒の世界。タイタンの湖はもちろん水ではなく、液体のメタン(あるいはその他の炭化水素化合物)で満たされていると考えられるとのこと。上記にリンクしたサイトの写真は擬似的に着色しているようだが、これら一つ一つがタイタンの大地に潤いをもたらす液体の湖であると思うと感慨深い。しかし湖があるということは、当然ながらそこに液体を供給する川があって、川の流れは空から降ってきた雫が集まったものと考えるのが自然だ。地球で大気中の水が雨となって降り、川となって流れ、湖や海から蒸発してまた空に還っていくように、タイタンではメタンの雨が川を作り湖に注ぎ、そして湖から蒸発していく大気循環が形成されているのだろうか。

メタンで満たされたタイタンでは、周囲の景色はオレンジの靄がかかったような色に見えるという。もしもタイタンの湖畔に降り立つことができたなら、オレンジ色の霧の向こうに果てしなく広がる湖が見えることだろう。それはもしかしたら地球のどこかとよく似た眺めなのかもしれない。しかしその光景を構成する全てのもの、オレンジの霞も遙かにかすみ茫漠たる液体を湛えた湖も、地球とは全く異なる組成で成り立っているのである。いやほんと、死ぬ前に一度見てみたいもんである。

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月に願いを

2006.12.12 23:52 CST

夜空に青白く浮かぶ月は、古来から歌に詠まれ暦に用いられ、またうさぎや見目麗しい姫様が住む別世界として、人々に親しまれ、そして様々な想像をかき立てられる存在であった。

我々地球に住む者として身近な月であるが、未だに謎の多い天体である。そもそもその生い立ちからしてまだ良くわかっていない。地球と同時に生まれたとされる「兄弟説」、古代の地球に巨大な天体が衝突し、その衝撃で月が分離した「親子説」、たまたま飛来してきたところを地球の引力によってとらえられた「他人説」など、仮説はいろいろあるようだが、決定的な決め手には至っていないようである。

そんな月の様子を詳しく調査するため、2007 年夏、H‐II Aロケットに搭載され打ち上げられるのが月探査機「セレーネ」である。「セレーネ」は高度 100km の極周回円軌道を周回する主衛星(オービター)と 2 機の子衛星(リレー衛星・VRAD衛星)で構成されている。15 種類のミッション機器が搭載され、月全体にわたって元素分布や鉱物分布、地形や表層付近の地下構造、磁場やプラズマなどの環境を調べる。またリレー衛星に搭載された中継器は、地上局と主衛星との間の測距信号を中継し、世界で初めて月の裏側の重力場を計測する。さらにリレー衛星と VRAD 衛星に搭載された相対 VLBI 用電波源で、月全体の重力場を精密に計測するミッションもあるとのこと。このほか、高精細映像取得システム(ハイビジョンカメラ)で「地球の出」を撮影する予定だそうで、こちらも楽しみである。ちなみにセレーネとはギリシャ神話に出てくる月の女神の名。処女の誓いをたてた神で、銀の弓を持ち、太陽の男神アポロンの妹でもある。

この「セレーネ計画」を広く一般に知ってもらうと同時に、日本の宇宙科学や工学技術を理解してもらう目的で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の主催、日米の惑星協会の協力により「月に願いを!」キャンペーンが行われている。世界 149 ヵ国から寄せられた約 87万人の名前を小惑星イトカワに届けた探査機「はやぶさ」のキャンペーン「星の王子さまに会いに行きませんか」も同じ協力で実施されたが、今度はその「月」版というわけである。メッセージと応募者の名前はシートに印字されて探査機に搭載されるそうだ。実際の応募はこちらのサイトから出来るので、興味のある方は見てみるとよろしいかと。自分の名前とメッセージが夜空に浮かぶ月の周りをぐるぐる回っていると思うと、なかなか愉快じゃないですか。

名前だけじゃなく本当に月に行ってみたいものだけど、私が生きているうちに月旅行は実現するだろうか。

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太陽プロミネンス

2006.11.28 23:07 CST

sun_burn.jpg

先日の水星の太陽面通過で素晴らしい映像を公開したばかりの太陽観測衛星「ひので」だが、今度は太陽の縁にある黒点の周囲から水素原子などが火柱のように噴き上がるダイナミックな姿の撮影に成功したとのこと。これほどまでに明瞭な動画撮影は世界初という。

国立天文台のプレスリリース

今年 9 月に打ち上げられた「ひので」は、可視光、X線、紫外線の三つの望遠鏡を備え、可視光なら太陽表面の 140km 程度の構造を見分ける高い性能を持つ。公開された画像では、中央やや右寄りの黒点の周囲から火柱が数万 km 上空へ次々と爆発的に噴出している様子を見事にとらえている。また、地球の 3000 倍を超す強烈な磁場が表面に無数に存在する様子や、黒点付近でコロナが活発に動く姿も観測したとのこと。

まあ能書きはいいので、ともかくリンクページの動画をご覧いただきたい。今まで科学雑誌や NHK スペシャルなどでせいぜい絵か CG でしか表現するしかなかったものが、こうして実写として見ることが出来るようになったことに素直に感動した。いやすげえ。

どうでもいいが、この映像を見ていたら、宇宙戦艦ヤマトが波動砲でプロミネンスを吹き飛ばすシーンを思い出してしまった。あれはどこの場面だったか。

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地球の太陽面通過

2006.11.14 23:30 CST

太陽からの風
太陽からの風アーサー・C. クラーク Arthur C. Clarke 山高 昭

早川書房 2006-04
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先日ここに書いた水星の太陽面通過で、そういえばそんな話をどこかで読んだ気がしていたのだが、ネットでいろいろ検索しているうちについに思い出した。A.C.クラークの短編集「太陽からの風」だった。

件の小説はこの短編集に収録されたもので、火星探索中に事故に遭い地球に帰還できなくなった男が絶望の中、自らの任務を果たすために地球の太陽面通過の観察に赴くという話。火星から見る地球の太陽面通過という人類が未だ誰もその目で見たことのない天文現象を、赤茶けた大地でたった一人見つめる。壮大な宇宙のロマンを叙情的に綴るクラークの文章が素晴らしく、正に名作だった。表題作の「太陽からの風」も、太陽風を受けて宇宙空間を動く宇宙ヨットを題材にした作品で、こちらも印象深い。

確かこれを読んだのは高校生の時で、出版社は(当然ながら)早川だったからもうとっくに絶版か、と思ったら、なんと今年の 4 月に復刊してるじゃありませんか。いやはやタイムリーというか何というか。当然 Amazon にて発注。

ちなみに宇宙天文ニュースによると、 火星で見ることの出来る「地球の太陽面通過」は、しばしば 79 年間隔で起こる場合があり、近年では 1905 年 5 月 8 日と 1984 年 5 月 11 日、2084 年 11 月 10 日と 2163 年 11 月 15 日、2189 年 5 月 10 日と 2268 年 5 月 13 日に起きるという。直近では 2084 年か。しかしその時には私は残念ながらもう生きてはいないだろう。でも見てみたいもんである。

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水星の太陽面通過

2006.11.09 22:16 CST

mercury.jpg本日早朝、水星の太陽面通過という現象があった。

今回の現象は日本近辺のごく限られた地域でしか見ることが出来なかったが、ありがたいことに現在はネットでその様子を追体験することが出来るのであった。で、その模様がこれ。

灼熱の太陽表面を滑るように移動する黒いシルエット。この黒い丸は、地球から遠く離れ、太陽の周りを 88 日周期でぐるぐると回る我らが兄弟惑星の水星であり、煮えたぎる赤道地帯と極寒の南北極を持つ変てこな星であり、そして今、厳格な力学と時間の偶然によって、地球から見て太陽の表面をするすると移動する様を見ることができたのである。

そしてその模様を見事な高画質で観測したのが、日本が世界に誇る太陽観測衛星「ひので」。「ひので」は純粋な学術観測のために極限までその性能を追求した衛星だけど、それは学問のためだけではなく、ここまで人を感動させる美しい映像を撮影する能力がある。「今まで見たことのないものを見てみたい」という欲求は科学を強力に推進させるドライバとなり、そしてその結果は遍く人々の心を打つ「作品」になるのである。いやもうほんと、素晴らしいじゃありませんか。

こういう良いものを見せてもらうと、出来る限り長生きしてもっと凄いものを見てみたいと思います。

太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)
水星の太陽面通過:国立天文台
「ひので」衛星が見た「水星の太陽面通過」

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それでも冥王星は回っている

2006.08.24 23:38 CST

「冥王星はやはり惑星、なおつかつ小惑星とされていたセレスと最近見つかったエッジワース・カイパーベルト天体も入れて太陽系惑星を 12 個にする」だの「いやいや、そもそも冥王星を惑星から外して 8 個にすべきだ」など、なにやら国際天文学連合(IAU)で喧しい議論が続いた「惑星の明確な定義」。いったん「太陽系惑星を 12 個とする」という定義案が提出されたものの、惑星科学の専門家などから「単純に大きさと形だけで決めるべきだ」「明るさを表す等級(絶対等級)で決めるべきだ」などと批判が集中。さらに新提案の「冥王(めいおう)星族」という惑星の新分類法にも大多数が反対しているなど、いったいどうなることかと思われた議論であったが、ついにその結論が出たようだ。

それによると、


  1. 太陽系の惑星とは、(a)太陽の周りを回り、(b)じゅうぶん大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、(c)その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である

  2. 太陽系の dwarf planet とは、(a)太陽の周りを回り、(b)じゅうぶん大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、(c)その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり、(d)衛星でない天体である

  3. 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(トランス・ネプチュニアン天体と呼ぶ)は、Small Solar System Bodies と総称する


したがって上記の定義より冥王星は、dwarf planet であり、トランス・ネプチュニアン天体の新しい種族の典型例として認識する、つまりは惑星ではないということになった。ちなみに提出されていた決議案についての概要は以下。

(決議案 5A):太陽系の惑星は 8 個、冥王星、セレスなどは"dwarf-planet"、その他は"Small Solar System Bodies"とする→可決
(決議案 5B):5A で水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の 8 天体の属するグループを古典的惑星と呼称する→否決
(決議案 6A):冥王星を trans-Neptune 天体中の新しいカテゴリの典型例とする→可決
(決議案 6B):6A のカテゴリを"plutonian objects"と呼称する→否決

上記の定義案 5A と 6A が可決されたことにより、


  • 冥王星(Pluto)は惑星(planet)から除外され、太陽系の惑星は水星(Mercury)、金星(Venus)、地球(Earth)、火星(Mars)、木星(Jupiter)、土星(Saturn)、天王星(Uranus)、海王星(Neptune)の 8 個とする

  • 冥王星、 2003UB313、セレス(Ceres)などの、惑星のように丸くて太陽を回っているが軌道を占有していないもの(衛星を除く)は惑星ではなく矮惑星(dwarf planet)と呼ぶ

  • 惑星でも矮惑星でもないものは太陽系小天体(Small Solar System Bodies)とする(小惑星(minor planet)は定義されず)

  • 惑星から除外された冥王星は矮惑星の中でも海王星外天体(トランスネプチュニアン;trans- Neptunian objects)の代表例と見なす

となり、つまるところ、冥王星は惑星の位置付けから落ちることになったわけである。もっとも冥王星は多の惑星と比べて大きさが極端に小さく、またその軌道も楕円曲率が大きく異なり、さらに黄道面からの傾斜も大きい(斜めになっている)ときて、相当異端的な存在ではあった。以前からはたして冥王星を惑星と呼んでいいのか議論されてきたわけだが、ようやく決着がついたことになった。個人的にも冥王星を惑星とするには甚だ疑問だったので、これですっきりした、というのが正直なところ。

ということで冥王星はトランスネプチュニアンとして新たな定義づけがされたわけだが、冥王星自体には何も変わることはない。太陽から74 億 km から 44億 km 離れたところ(極端な楕円軌道のため距離が変わる)を、今ものろのろ回り続けている。ちなみに冥王星が発見されたのが 1930 年。公転周期は 248 年なので、発見されてからまだ 1/3 しか回っていないことになる。惑星かそうでないか、学術的には大変大きな問題ではある。しかし宇宙的スケールで見ると、なんだかどうでもいい気がしてくる。

■(速報)太陽系の惑星の定義確定(国立天文台、8 月 24 日)

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タロイドの世界

2006.07.28 18:38 CST

■ Cassini Reveals Titan's Xanadu Region to Be an Earth-Like Land

NASA とヨーロッパ宇宙機関(ESA)の土星探査機カッシーニが撮影した、衛星タイタンの「ザナドゥー(Xanadu:桃源郷の意)」と呼ばれる領域の画像が公開された。

1994 年、ハッブル宇宙望遠鏡がタイタンの地表に異常に明るい領域を見つけ、桃源郷を意味する「ザナドゥー」という名前がつけられた。それから 10 年後に探査機カッシーニが直接土星とタイタンを訪れ、子機のホイヘンスが見事タイタンの地表に着陸。まるで地球の川や海のような地形や窒素とメタンに満ちたレンガ色の地表の様子など、様々なデータや画像を地球に送り届け、驚きと興奮をもたらしてくれた。その後カッシーニは順調に土星軌道上を周回し、土星や有名なリングの様子、衛星の詳細な画像データなどを次々と送り続けている。そして今年の 4 月 30 日に、カッシーニがレーダでタイタンの詳細な地形を撮影し、ようやくザナドゥーの本当の姿が見えてきた。

NASA のサイトに公開されたザナドゥーの画像を見ると、まるで地球のどこかの景色を撮影したのではないかと錯覚を覚える。大小さまざまな山脈があちこちにあり、隕石の衝突か氷火山の噴火でできたと思われるクレーターも見られる。また山々の間を縦横に川が走り、ザナドゥーを囲む「海」へと注いでいる様子は圧巻。良くできた動画も公開されているので、こちらも必見。

しかしタイタンの実際の様子とは、はたしてどんな世界なのか。もちろんタイタンのような冷たい星に液体の水は存在しないから、この「川」に流れているのはおそらくメタンだとのこと。となるとメタンの雨やメタンの泉がザナドゥー近辺では見られるのかもしれない。タイタンの地表付近の温度は -180℃ と極低温の世界だからメタンが液体として存在するわけだ。いやほんと、行けるものなら自分で行って、この目で見てみたいものである。

ところでタイタンと聞いて思い浮かぶのは、やはりホーガンの「造物主(ライフメーカー)の掟」だろう。タイタンで発見された、タロイドと呼ばれる機械生命体。もともと彼らは、百万年前に異星人が送り込んだ自動工場宇宙船で作られた作業用ロボットだった。それが故障のために独自の進化を遂げ、今では地球の中世ヨーロッパを彷彿とさせる生活を営むまでになっていた、という奇想天外なストーリー。機械生命体の誕生から、やがて知性と個性を獲得し自意識が芽生える過程は圧巻だし、人類と機械生命達とのファーストコンタクトシーンなど、正に SF ならではのセンスオブワンダーに溢れる名作だ。

そんななかでも印象に残っているのが、タロイドの暮らすタイタンの荒涼とした様子である。メタンの風と窒素酸化物の埃。時にメタンの雨が降り、嵐もやって来る。極寒の過酷な環境に耐え、質素な生活を送るタロイドたち。もしかしたら本当にタイタンにはこんな世界が広がっているのではないか。そんな気分になったものだ。

今のところ残念ながらタロイドは発見されていないようだが、それでもタイタンには「何かがいる」と思わせる神秘に満ちている。

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「はやぶさ」交信回復

2006.03.08 23:28 CST

hayabusa_kidou.jpg宇宙航空研究開発機構 JAXA の発表によると、昨年末のイトカワ離陸後の姿勢喪失以来交信が途絶していた探査機「はやぶさ」との通信がついに復旧、3 月 6 日には三カ月ぶりの軌道推定に成功したとのこと。

通信途絶から 一ヶ月半後の 1 月 23 日に「はやぶさ」からのビーコンを再受信、26 日以降には「はやぶさ」に内蔵されている自律診断機能からレスポンスが返るようになり現状が明らかになって来たとのこと。しかし姿勢を失った際に太陽電池発生電力が極端に低下して一旦は電源が完全にシャットダウンされたことが推定され、さらに化学エンジンの燃料・酸化剤とも漏洩による喪失、3軸姿勢制御スタートラッカ、姿勢軌道制御コンピュータ、イオンエンジンの各動作状態が確認できず、またリチウムイオンバッテリが過放電状態となりバッテリ中の一部のセルが準短絡になるなど、現在はイオンエンジン用のキセノンガス噴射による応急処置的な姿勢制御で 32bps の通信が可能になったものの、依然として非常に厳しい状況であることが確認された。

今後はヒータで温度を上昇させ、機体内に残留している可能性のある燃料・酸化剤を追い出す「ベーキング」を数か月かけておこない、可能であるならば今年後半から来年はじめにイオンエンジンを本格稼働させて、引き続き 2010 年 6 月の帰還を目指すとしている。

推定された軌道によると、3 月 6 日時点での「はやぶさ」は小惑星イトカワから約 13,000km、相対速度 3m/秒で飛行を続けており、太陽から約 1 億 9,000 万 km、地球から約 3 億 3,000 万 km の距離にある。想像も出来ないほど遠い宇宙のはるか彼方で、一人(一機)満身創痍の体を抱えながら地球へ帰ることだけを夢見て必死に努力を続けている「はやぶさ」の姿を想像するだけで涙が出てくる。なんとかこの絶望的な状況を打ち破って、四年後の地球帰還、そしてサンプルリターンという偉業を達成してほしい。ちなみにこちらの Flash も必見。

イスカンダルから帰ってくる宇宙戦艦ヤマトを待つ地球人の気持ちが、少しだけ分かったような気がします。

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SkyScout

2006.01.17 23:30 CST

skyscout.jpg

だいぶ出遅れた感があるが、ネットで見つけたガジェットものネタ。高品質なシュミット・カセグレン式天体望遠鏡メーカとして知られる Celestron から、天文データベースとGPS、傾き/地磁気センサを内蔵、現在見ている星の情報を教えてくれる天体ナビゲータの SkyScout が発売される。

この SkyScout は、フィールドスコープのような形をした製品で、手でもってのぞき込んで使うように設計されている。一見、単なる望遠鏡のようにも見えるが、GPS と地磁気感応型電子コンパス、三軸傾きセンサを内蔵し、ユーザが空のどこを見ていても天体を認識できるだけでなく、電源を入れるとデータベースと位置情報から「今夜の必見トップ10」を教えてくれたり、星座の見方や天文学について学習するソフトも内蔵されているという、今までになかった非常に面白いガジェット。内蔵されたデータは 6,000 個の恒星、1,500 個の二重星や変光星、88 の星座、100 以上の星雲や銀河、星団など、肉眼で見られる星々はほとんどカバーされているというから、相当強力だ。

また内蔵されているデフォルトの機能だけでなく、USB で PC と接続すればスペースシャトルなどの宇宙機や彗星といった一時的なイベントもデータベースに加えることができる。さらに SD カードスロットでも天文ソフトウェアやデータのアップデートが可能。地磁気コンパスではたしてどれだけの精度が出るのか興味のあるところだが、これら機能のリストを読んでみるだけでも実に楽しそうな感じ。

PC 用のプラネタリウムソフトで星空にさまざまな情報を表示したりするものは多くあるが、これは実際に星空を眺めて自分の目で夜空を観測しつつそれを実現できるところが画期的だ。このガジェットを手に持って夜空に向けるだけで、機械が勝手に今、見ている星空を解説してくれたり、あるいは見たいと思う天体まで誘導してくれるところを想像するだけでワクワクする。あまり天文に詳しくない人はもちろん、そこそこ詳しい人でもいろいろ新たな発見をもたらしてくれそう。

本国アメリカでは今年の三月、日本でも七月頃に発売が予定されているらしい。アメリカでは 399 ドルと比較的買いやすい値段設定になっているので、是非とも日本でもそこそこの値段で発売されることを希望。いやしかし、これ。非常に物欲を刺激される一品ですな。出たら買ってしまいそう。

PC Watch の記事:http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0112/ces14.htm

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2005.07.21 23:20 宇宙の大輪
2004.10.17 23:59 宇宙の帆掛け船
2004.09.09 23:59 UFO キャッチ大失敗
2004.08.26 20:37 小惑星大接近
2004.07.31 23:59 Once in a Blue Moon
2004.06.12 16:45 金星の太陽面通過
2004.03.19 12:25 小惑星大接近
2004.03.10 23:38 火星の日食
2004.03.05 09:27 火星は赤かった
2004.03.03 16:29 水だけか…
2004.02.24 09:49 春を告げる星
2004.02.11 23:53 You are here
2004.01.07 11:46 火星百景
2003.11.26 15:46 月の長い影
2003.11.13 19:56 しし座流星群 2003