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・・・寝言の如く書き綴る日々の思い付き・・・


第177話 (1999.08.04)ヤキソバ会秘密会合潜入報告(第二報)

「カレー教」と「牛丼教」の抗争が下火となったここ最近において、急速に勢力を拡大しつつ様々な不穏な動きを見せている地下組織「ヤキソバ会」。その「ヤキソバ会」の秘密会合が7月某日、都内某所にて行われるとの極秘情報を入手した私は、数々の裏工作の結果、ついに会合の主催者と思しきコードネーム「ブラックパンサー」と呼ばれる人物とのコンタクトに成功。さらに新規加入信者を装い、単身秘密会合に潜入することにも成功した。
本書は地下組織「ヤキソバ会」の秘密会合の内容及び、幸運にも入手することが出来た謎の物質「ヤキソバ弁当」の詳細について報告を行なう第二報である。「ヤキソバ会」の背景及び秘密会合での模様については、前回公開したレポート「ヤキソバ会秘密会合潜入報告(第一報)」を参照されたい。

4.参加者一覧

今回の秘密会合に参加していた「ヤキソバ会」信者の人物像及び考察される事項について、当日入手できた情報より以下に記すものである。なお、信者間では本名ではなくコードネームと思しき名前でお互いを呼び合っていたので、各人の名称についてはそれに倣うものとする。

・コードネーム「タラシ」
男性。推定年齢23〜24才。会合にはやや遅れて参加した二名の信者のうちの一人。遅れた理由は「自宅から集合場所まで自転車で来る途中、道が花火の見物客でいっぱいで通れず、仕方なく途中で自転車を放棄して電車でやって来たから」とのことであるが、これはあまりに見え透いた言い訳である。夏の縁日と並んで花火見物とくれば屋台のヤキソバが不可欠であり、ヤキソバで世界征服を目論む彼ら「ヤキソバ会」が大勢の信者獲得が見込まれるこの機会をみすみす見逃すはずが無い。恐らく屋台設営あるいは材料の仕込みに手間取ったため、会合参加に遅れてしまったのであろう。
年齢に比べて不自然にツヤツヤと輝く肌の張り具合は、何がしかの薬品を混ぜたヤキソバを常食としているためと思われる。ちなみにこの男、外見上は田中星児にちょっと似た爽やか系好青年。そんな青年がいったいどこで道を踏み外して「ヤキソバ会」などに入信することになったのか。故郷のお母さんはきっと泣いているに違いない。

・コードネーム「リンリン」
女性。推定年齢28〜30才。Webサイトデザイナを生業とする表の顔は、世間を欺むく仮の姿。その実態は、「ヤキソバ会」の広報部門にて重要な役割を担っているという女性幹部信者。「表の顔」が手掛けたWebサイトは多岐に渡っているが、特にテレビ局関連のサイトデザインを行なった実績が多くあるとのことである。
それを聞き、さっそく彼女が手掛けたという某人気テレビ番組のWebサイトをくまなく調査したところ、あるページにフラッシュ技術とJavaを使った巧妙な細工を発見した。これはページとページが切り替わる瞬間、人間の目では感知できないほどのごく短時間にヤキソバの映像を画面に表示させ、サブリミナル効果によってサイトを訪れた人達に無意識のうちにヤキソバを食べたくなるように仕向けるという恐るべきものであった。何も知らない善良な市民が次々と「ヤキソバ会」の毒牙にかかっている事実の一つが、これで明らかになったのである。

・コードネーム「プラム」
女性。推定年齢24〜26才。彼女も某企業に勤務するOLという「表の顔」を持つ。その勤務先が運輸・運送業が対象のとある資格試験を司る会社ということなので、おそらくトラック野郎を専門とした新規信者勧誘担当の任に就いていると思われる。
会合中しきりに腰痛を訴えていたが、これもコードネーム「タラシ」同様、ヤキソバ過剰摂取とそれに伴う薬物のオーバードープを起因とする何らかの生体防御反応なのか。もしくはヤキソバ炒め時の独特の姿勢を強化する目的で行われる、「修行」と称した中腰姿勢を長時間維持する訓練を継続的に行っているためか。原因がどちらであるのかはともかく、ということは「ヤキソバ会」信者の間では腰痛持ちの割合が相当数いると考えられ、サロンパスあるいは温熱治療器など腰痛治療に必要とされる物資を大量に購入している流通筋を辿っていけば、「ヤキソバ会」の購買部門に行き当たる可能性もある。至急調査が必要と考える。

・コードネーム「韮崎」
男性。推定年齢26〜28才。ロン毛・長髪、日本人離れした濃い顔の造形をもってして、ポール・ギルバートの後釜としてMr.BIGに加入したリッチー・コッツェンに似ていると個人的には感ずるのだが、いくらなんでもマイナーすぎて分かりにくいたとえか。この男はネット上で女子高生のふりをして自前のWebサイトを開設しており、そこを通して数多くの男性信者を獲得しているとのことである。綺麗なバラには刺があるということを、世の男性にもっと知ってほしいと切に願う次第だ。
本来は中京地区を活動の拠点としている名古屋人だそうだが、今回の会合のために急遽新幹線で上京してきたとのことである。やはり土地柄、味噌カツや手羽先を具としたヤキソバで信者を勧誘しているのだろう。と書いてみて、案外と味噌カツヤキソバならイケるかもしれない、と一瞬思ったのだが、ソースと味噌の組み合わせでは味がバッティングし過ぎだろうか。とりあえず今後の捜査の参考として試作してみる価値はあると思われるが、試食に関しては私は遠慮しておく。

・コードネーム「そうだろう」
男性。推定年齢30〜33才。秘密会合開始から一時間ほど遅れて参加。飄々とした風貌が特徴的なこの男は、霞ヶ関界隈を闊歩する国家公務員という「表の顔」を持つという。なんということだろうか。我々の知らぬうちに国の中枢にまで「ヤキソバ会」の魔の手が伸びていたとは。しかも会合中、某省庁内にいる何者かとしきりに携帯電話で連絡を取っており、断片的に聞き取れた「おたふくソースが…」「青海苔を入れて…」などといった会話から、「ヤキソバ会」の息のかかった人間がまだ他にも霞ヶ関周辺に存在するということが分かる。恐るべし「ヤキソバ会」。いったい公安は何をしているのだろうか。

・コードネーム「ブラックパンサー」
男性。推定年齢29〜30才。今回の秘密会合の主催者。秘密会合の主催者ということから、「ヤキソバ会」内部においては相応の要職に就いていると想像される人物である。そんな大物であるにもかかわらず、今回の秘密会合の模様をリアルタイムでネットに送り出すべく、会合前に秋葉原にてノートPCとPHSを接続するモバイルキットを購入したまでは良かったのだが、フロッピーディスクドライブを忘れたためドライバのインストールが出来ずに、結局宝の持ち腐れになってしまったというお茶目な側面を持つ。「ヤキソバ会」幹部の資質として体を張ったギャグが必要とされるということだろうか。
翌週もコードネーム「リンリン」らと再び秘密会合を執り行うとのことで、新規信者獲得のため日夜活発に活動していることがうかがえる。

4.ヤキソバ弁当について
「ヤキソバ会」内部では極秘裏にやり取りがなされているという噂はあったものの、今までその存在自体謎とされてきたヤキソバ弁当。そんな幻のヤキソバが今回の隠密行動によって労せずして入手することが出来たのは、幸運以外の何者でもないであろう。と言うか、実は誰でもあっさりもらえるものなのではないだろうか。

さて、「弁当」というぐらいなので、半分ご飯、半分やきそばのいわゆるコンビニ弁当のようなものを想像していたのだが、実際に手にしたヤキソバ弁当の実物は懐かしの「バゴーン」のような、いわゆるカップやきそばだったというのは意外なる事実である。ちなみに本品は北海道限定販売で、製造・販売元はマルちゃんでおなじみの東洋水産だそうである。こう考えるとマルちゃんのあのほのぼのとしたイラストも邪悪なものに見えるから不思議である。
ということで、会合が終了して帰宅した後にさっそく作って食べてみた。まずはかやくを乾燥麺に投入し、沸騰したお湯を注いで待つこと三分。湯切り口はターボ某ではなく小さ目のオーソドックスタイルだ。十分に水分を切った後、ソースと調味料を振りかけておもむろに食してみた。麺は幾分太目でそれでいて縮れは少な目、具はキャベツと肉少々、多少甘目の味付けのソースと、正に正統派カップやきそばそのものという感じの味と内容物であった。量はちょっと大目で全部食べきるとお腹一杯といった趣である。晩御飯にも丁度良いかもしれない。

また本品にはヤキソバ本体とは別に、やきそばを作った時に使った(湯切りの)お湯を入れて作る中華スープが付属しており、これがまたこのやきそばとよく合うのである。なろほど。これがなぜ弁当と称するのかは謎だったのだが、主食のやきそばと喉を潤すスープがコンビになってそれで弁当ということか。

ということで、カップヤキソバの王道的な味付け、オーソドックスな包装物、合わせて食すに最適な濃度の付属中華スープという製品自体の位置づけと、また北海道限定販売という微妙なレア度をもってして、ヤキソバ弁当が「ヤキソバ会」内部において賞品その他として授受されているというのはうなずけるものと言えよう。

5.総括・所感
以上のように、「ヤキソバ会」秘密会合に新規信者を装い潜入に成功し、「ヤキソバ会」に関する様々な情報を入手することが出来た。ここでそれらを総括したい。
ます秘密会合についての基本的な情報は以下の通りである。

  • 秘密会合は、アジトとしているターミナル駅近くの居酒屋にて開催される
  • 会合では全員が麻布を被った状態で行われる
また会合で議論された以下の事柄から、
  • デフォルトとすべきソースの種類は未だ決定していない
  • 青海苔と紅生姜の存在意義に関しても結論は出ていない
教団の根幹とでも言うべきヤキソバの基本的な定義に関してすら未だに議論百出状態であり、これといった方針が未だ決定されていない現状が伺える。「ヤキソバ会」とは意外といいかげんな集団なのだろうか。

また今まで謎の多かった「ヤキソバ弁当」に関しては、

  • 「ヤキソバ弁当」は案外とあっさりもらえる
  • 「ヤキソバ弁当」は基本的にカップヤキソバのみで構成され、ご飯は付属しない
  • その代わり中華スープが付属する
  • しかしターボ湯切り装置はない
  • オーソドックスな味だが意外と美味い
  • そもそも北海道にしか売っていない
  • マルちゃんも「ヤキソバ会」の系列
といった貴重な情報を得ることが出来た。
さらに秘密会合に参加した信者の動向を探ることによって、
  • ヤキソバを食べ過ぎると肌の艶が良くなる(薬物影響の可能性もあり)
  • だが腰には悪いらしい(同上)
  • テレビ番組のWebサイトを見ると、無意識下のうちにヤキソバが食べたくなる
  • 味噌カツヤキソバなんか食べたくない
  • 霞ヶ関周辺の省庁街にも「ヤキソバ会」の息がかかった人間が潜んでいる
  • 「ヤキソバ会」幹部の資質として、体当たり系のギャグセンスが必要
というようなヤキソバが体に与える影響、「ヤキソバ会」の一般社会への浸透度、幹部に関する基礎的な知識など、いくつかの情報を得た。

ということで、二報に渡って報告したこれら「ヤキソバ会」に関する各種情報を、今後の諜報活動の参考として有効に活用されることを希望する。まだまだ詳細に報告すべき事がいくつかあるのだが、本書を書いているうちに猛烈にヤキソバが食べたくなったので、私の報告は以上をもって終了する。

あ、そうだ。青海苔買わなきゃ。





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第176話 ヤキソバ会秘密会合潜入報告(第一報)(1999.08.02)
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