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・・・寝言の如く書き綴る日々の思い付き・・・


第178 (1999.08.15)夏休みの思ひ出

ふと思い返してみると、前回の更新から数えること十日間あまり。なにやら随分と間隔が開いてしまったことに気付く。本欄を始めてもうすぐ一年になるところだが、これほど更新の間隔が開いたのは初めてである。もっとも最近は文章の形態が日常雑記から雑文へと移行した(と勝手に思っている)こともあり、以前はほぼ二日に一本のペースだった更新頻度が、ここのところは大体四日に一作といったところに落ち着いていることから考えると、十日更新しなかったこともそれほど長いとは自分では感じていない。と、無理矢理思うことにしている。

なにしろこの暑さである。今年は久しぶりの猛暑。毎日暑い。昼も暑けりゃ夜も暑い。んもう、とにかくさあ、暑くてやってらんねえんだよ、ということで今一つ創作意欲が湧かないというか、自らのネタの無さをそういった今夏の高温多湿ぶりに無理矢理こじつけて書かなかったということもあるが、更新をしなかった最大の理由というのが、この期間中は会社の夏休みだった、ということなのだ。

夏休みである。チューブだってサザンオールスターズだって、あまつさえベンチャーズでさえ老体に鞭打って加山雄三と一緒に活動を始める季節である。きらめく太陽、白い砂浜、揺れるヤシの葉、そして海辺に戯れる水着姿のおねいさん(以上、イメージ映像)。一年を通して数少ない、こんな開放的な気分に浸れる時分に、なにが悲しくてPCの前に座って何の得にもならない雑文なぞをシコシコと書き綴らなけりゃならんのか。そうだ。俺は書かない。書かないったら書かないっ。誰がなんと言おうとも書かない。例え親父に「おらあ!とっとと書かんかあ!」と怒鳴られようとも、例え奥菜恵が耳元で「お願い、書いて…」と甘く囁こうとも、断固として全面的に夏休みモードに突入したのであった。

ということで、夏休みだったのである。会社のカレンダーでは8/7(土)から8/15(日)の九日間が正式な夏休み期間なのだが、8/6に有休を取って一日早く夏休みに入り、俺はその日早朝から長野の山奥へと旅行に出かけたのであった。

それにしても何故山か。というのも、なにを隠そう俺は実は高校時代に天文部に所属していたのである。天文部と聞いてなにやら陰湿なオタクの体臭がプンと匂ってくるような錯覚を覚えるかもしれない。まあ一般的にそれは否定されるものではないが、しかし当時は本当に純粋に星を見るのが好きで、オタクと呼ばれようが変人と蔑まされようが、仲間と一緒に重たい望遠鏡を担いで、遠く長野や丹沢の山々に暗い星空を求めて登坂する日々であったのだ。思えば体力も無駄に余っていたようだ。今なら重い器材を背負って歩いて登ったりなんてことは絶対にせずに、車で楽チンに登れるところしか行かないもんなあ。体力と気合は加齢の二乗に反比例するのだろうなあ。きっとそうだよなあ。とにかくそういうわけで今年も夏休みを利用した、毎年恒例となったかつての天文部の仲間たちとの山行きは、長野県は入笠山というところに行ってきたのである。

ところで入笠山というのは南アルプスの北の端、JR中央本線を挟んで八ヶ岳の対面に位置する、標高約2,000mの山である。かつては星見のメッカとして名を馳せたこの山であるが、近年のアウトドア・ムーブメントの波はご多分に漏れずこの山にも訪れ、山頂付近まで整備された舗装道に車で手軽にアクセスできるというお気楽さもあいまって、最近ではすっかりライト・キャンパー御用達の当地となったわけである。なるほど、昔はいかにも「天文野郎」という風体の連中がゴロゴロとこの山を闊歩する姿を目にしたものだが、今いるのは家族連れやら年配のグループキャンパーばかりである。時代が変わったのかどうなのか。

で、この毎年恒例の入笠山遠征であるが、一応名目上はペルセウス流星群の観測という大義名分の上での山行きなわけなのだ。しかし今となっては誰もそんなものに期待するものはなく、雄大な自然に抱かれながらビールを飲むため、焼肉をしながらビールを飲むため、そして温泉にゆっくり浸かってビールを飲むために出かけて行ったのであった。要するに場所だけ変えた宴会ということである。そんなことのためにわざわざ大人数で、渋滞する中央自動車道に辟易しながら何台もの車で繰り出し、しかも限りある夏休みの貴重な時間を割いてまでそんな遠くにビールを飲むためだけに出かけるなどということは、よく考えると恐ろしく非生産的かつ非合理的な行為でしかないような気がするが、しかしこの無駄こそ正しい余暇の過ごし方なのである。まあそういうことで、今年もまた非常に高くついたビールを、しかしこの上なく極上の味のビールを、こころゆくまで満喫してきたのであった。

山から帰ってきた数日後、今度は神奈川県伊勢原市にあるかみさんの実家に行ってきた。こちらもまゆちゃん(かみさんのお姉さんの娘の5才児:姪っ子)と遊ぶためという名目で訪れたわけだが、それとは別に密かに楽しみにしていたのが家猫の変貌ぶりである。というのも、この「カラ」という名のペルシャ・ブルーの猫は、以前はこのようにそのゴージャスな長い長い毛が特徴的だったのだが、この夏は暑さのためか毛玉があまりにひどく、このままでは性質の悪い皮膚病に罹患してしまう恐れもあると判断されたため、行き付けの美容院で毛を短くカットされてしまったそうなのである。ふわふわ、ぽわぽわだったしっぽも細身にカットされ、なぜかしっぽの先だけがふわふわが残っており、まるで「ライオンのしっぽ」状態になってしまったとのことだった。いったいどういうことなのか。あのフワフワだった毛が短く刈り込まれて、まるで別猫になったというカラ。

そして実家に着きしな、我々の目に飛び込んできた家猫カラの姿がこれ。元々気弱だった家猫カラが、毛が刈られてさらにしょぼくれた感倍増という感じだ。弱々しくフラフラと家の中をうろつく姿は、そこはかとなく痛々しく、後ろ姿には哀愁すら感じる。事実、猫にとって毛を大胆に刈られたことはかなりのショックだったようで、刈られた日から三日ほどは押し入れに入ったまま出てこなかったそうである。

で、その毛がなくなって体の大きさが1/3になってしまった猫をモチーフに、まゆ画伯がWindowsのペイントブラシを使って書いてくれた絵がこれだ。タイトルは「毛を刈られたカラちゃん」。以前製作した画風同様、極力無駄を排した力強いタッチは画伯独特のものだが、今回はちょっと趣向を変えて墨絵風のわびさび表現に挑戦したようだ。

とにかく目を引くのが猫の顔である。毛を刈り取られた驚きと情けなさを象徴するまんまるい目、そして横に真一文字に結んだ力強い口元が、老猫の苦悶の表情をよく表わしているではないか。素晴らしい。どんな絵描きが百人かかっても、子供の絵にはかなわない。

ということで、山に始まり猫で終わった今年の夏休みだったのである。





一つ前の寝言
第177話 ヤキソバ会秘密会合潜入報告(第二報)(1999.08.04)
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