みくだり日記    2000年01月後半
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01月31日(月)
  月曜日の朝は寒い。そして眠い。

  なんていう日はどうしたって今一つ集中できなかったりするのだが、どういうわけだか今日に限っては脳内ドライブシャフトのターボチャージャーがフル回転状態。しかも上手い具合に妙な電話はかかってこないし、その他余計なインタラプトもなし。いつもならどこからか忍び寄ってやる気の腰を折るこれらの障害はまったく発生せず、まこと心静かに仕事に埋没することが出来た。不思議なものである。こういう日がコンスタントに持続できれば、俺だってもうちょっとはマシな会社員ライフを送れるのかもなあ。

  ということで、本日は珍しく脳の力を使い果たしたためこれにて終了。明日の反動が怖い。


01月30日(日)
  NHKの教育テレビで放送されていた「ETVカルチャースペシャル ジミ・ヘンドリックス、神になったギタリスト」を見た。それまでのギターの常識を全てぶち壊し、ロック・ミュージックに革命をもたらした天才ギタリストの、貧困に喘いだ少年時代から泣かず飛ばずで路上で生活していた駈け出し期、才能を認められてイギリスに渡り、一夜にしてスーパースターになった絶頂期、そして伝説のウッドストックやワイテ島コンサートを経て、ドラッグのオーバードープによりあっけなく死んでしまった二十八年の生涯を、ショービジネスという側面から描いたドキュメンタリである。制作元はイギリスBBC。

  ジミ・ヘンドリックスというと、ステージでエキサイトしたあまりギターに火をつけたりアンプをブチ壊したり、とにかく破天荒で自分のマインドの赴くそのままに生きた自由人というイメージだった。だがこのドキュメンタリによると、実情はだいぶ違っていたことがうかがえる。延々と続くツアー、レコーディング、それらにまつわる金銭問題、コンサートでも自分のやりたい曲ではなく昔のヒット曲を演奏することをいつまでも強いられるやるせなさ。神として崇められ、指数関数的に上昇する人気。しかしそれに反比例するように失われていく自由。ブルーズ・ロックの世界に革命をもたらした天才をもってしても、実はショービジネスの世界にがんじがらめに縛られ、自由を奪われていたというのが本当のところだったようだ。
  そしてその苦悩から逃れる為、頭の先からつま先までドラッグにどっぷりと浸かり、やがて迎える死。昔のバンド仲間がインタビューに答えて、「奴はドラッグで死んだんだ。ショービジネスって名の、とびきり粗悪なドラッグでね」という言葉が実に象徴的である。

  ジミ・ヘンドリックスのギターは、とにかく自由である。スケールやコード、音色、演奏法などそれまで浪々と培われてきた常識的な様式の全てを破壊し、そしてブルーズ、ロックンロール、ジャズのあらゆる要素をぶち込んで再構築した。その独自のスタイルから放たれるギタープレイの輝きは、三十年経った今聞いても全然色あせることなく、むしろ神がかり的ですらある。直接なり間接なりは別にして、現在の全てのロック・ギターは彼の影響を受けていると言っても過言ではない。プロ・アマ問わず、未だに彼を神として崇拝するギターリストは多い。もちろん俺もその一人である。
  ドラッグを拠り所にし、「ドラッグ」で死んだ神様ジミ・ヘンドリックス。神の座にまで登りつめた男なのに、いや神だからこそ、失ったものは大きかったのか。


01月29日(土)
  今日も休日出勤。と言っても案の定朝は起きられずに昼から出社。夕方過ぎまでひたすらVHDLと格闘する。昨年来取りかかりきりで、ここに来てようやく終盤を迎えつつあるゲートアレイ設計なのだが、最後のつめの部分でちょいとてこずっている。論理的なファンクションとしては正しいんだけど、今一つパフォーマンスが上がらない。うーむ、ゴチャゴチャいじくるより一から設計しなおした方が早いだろうか。

  Webページを書き換えられただけかと思っていた例のクラッキングされた省庁のサーバが、実はroot(管理者)権限までも乗っ取られていたらしい。ページを別のものに替えられちゃうぐらいだったら、言ってみれば便所の落書きみたいなもんだが、root権限をクラックされたとなれば、例えれば泥棒に入られて金庫の鍵を付け替えられたみたいなもんで、これは話が全然違ってくる。rootになれればそれはもうなんでもやりたい放題で、パスワードの書き換えやシステム設定の変更など好きなようにできてしまう。もちろんその後のためにこっそり侵入口を用意しておくなんてことも可能だ。
  こうなってしまった以上、例えどんな対策を取ったところでそのシステムの信頼性はゼロである。唯一出来る方法は、システム全てを再インストールしてチャラにするしかない。しかもその乗っ取られたサーバにもしイントラネットで他のマシンがぶら下がっていたとしたら(多分あるだろう)、そのサーバを介してエリア内のマシンにも何らかのクラッキング被害が及んでいる可能性は十分にある。最悪の場合、イントラ内全てのシステムを構築し直す必要があるかもしれない。台数が一体何台あるかは知らないが、恐らく相当数のマシンがイントラ内に存在することは想像に難くない。まったくもってえらい大事である。自らのセキュリティ意識の甘さが招いたこととは言え、払った代償はあまりに大きい。
  今回の一連のクラッキング被害は、対象として狙われやすい中央省庁だったわけだが、こうしてネットに接続している以上決して対岸の火事、他人事ではない。まあ何もネットだけに限った話じゃなくて、現実世界でだって個人情報がクラッキングされることはあるわけだけれど。


01月28日(金)
  昨日発売になったBIOHAZARDシリーズの最新PlayStationソフト、「バイオハザード ガンサバイバー」をさっそくやっているのだ。このソフトをやるため(だけ)に正月に衝動買いしてしまった、限定版ガンコントローラ「ベレッタM92FSターゲット」もようやく出番である。

結構重いっす 来やがれゾンビども どてっ腹に風穴を開けてやるぜ
[ベレッタM92FSターゲット] [ゾンビ掃討中]

  今晩は徹夜だろうか。って、明日も休日出勤だろ。


01月27日(木)
  今日は業者と打ち合わせのため、午後から都内の本社に外出。いっそのこと朝から直行で本社に行こうかと思ったが、用もないのに向こうに行ってもしょうがないし居場所もない。まさか喫茶店で時間をつぶすわけにもいかないもんなあ。ということで一旦十時に出社した後、すぐさまの十一時に会社を出て都内に向かう。しかしこのたった一時間のためにわざわざ車で会社に出向き、くだらないメールを書いたり(業務用である)、いらん電話を受けたり、あるいは別に今日やる必要のない事務的ななんだかんだをやらんでもいいだろう。なんだかとても無駄なことをやっているような気もする。

  それにしたって今日は寒いのである。たまにこうしてなれないスーツを着て寒風吹きすさぶ真冬の昼間におもてを出歩くと、普段の車通勤で弱体化した体には余計に寒さがこたえる。同行した同僚も車通勤組みなのだが、本社で顔を合わすなり「…寒いね」「…寒いっすね」と凍るような無表情で言葉を交わす。しかしふとおもてを見やると、この寒い中をどこかのOLさんは上着も着ずに会社の制服のままスタスタ歩いていた。あんた寒くないのか。もしかしたら世間一般の認識では今日は別段寒くはないのか。俺達がただ寒がりなだけなのか。

  打ち合わせ相手の某業者の人達は、やたら声のでかい営業マンと、対照的に朴訥とした語り口の技術者による京都人コンビ。聞くところによると、彼らは今日の朝一番の新幹線で京都からやって来たそうで、我々との打ち合わせが終わった後にもう一軒どこかに寄って、その後最終の便で京都に帰る日帰り出張とのこと。のぞみに乗れば片道二時間半ぐらいとは言え、かなりの強行軍ではある。いやあそうですか、それは大変ですね。いやなになに、よくあることですもうなれっこですわ。それにしても今日は寒いっすよねえ。え、そうですか?京都に比べたら東京はめちゃめちゃ暖かいですよわははは。
  やかましい。寒いったら寒いのだ。


01月26日(水)
  科学技術庁総務庁のWebサイトが悪質なクラッカーにクラッキングを受けていることが分かり、テレビのニュースなどで大々的に報道され世間を賑わせている。しかもその科学技術庁のWebサイトが、被害後にも簡単に外部からアクセスできたことがすっぱ抜かれた(Mainichi Interactiveの記事を参照)。実際一度クラッキングされたすぐその翌日の今日にも、再びWebページが書き換えられてしまったとのこと。どうもサーバにはファイヤ・ウォールすら設置されていなかったようで、完全に外部から筒抜け状態だったらしい。
  なんじゃそりゃ。仮にも「科学」な「技術庁」なんでしょ?それにしてはあまりにお粗末な危機管理意識。まったく、情けなくって涙も出ない。一度泥棒に入られたらすぐに家中の戸締りやセキュリティを厳重に見なおして、二度と入られないように対策を取るのが世間一般の常識なのに、そんなことすら出来ないのか「科学」な「技術」の「庁」の人は。もしかしてコンピュータとか苦手な人の集まりなんだろうか。

  まあ日本のお役所の危機管理音痴ぶりは、すでに日本国民にはもちろん諸外国にも知れ渡っている。阪神淡路大震災やペルー大使館人質事件なんていう大災害、大事件が起こった後でさえ、昨年のJCO臨界事故みたいな失態を再度やらかすぐらいだ。今回のクラッキングも多分外国人による仕業だと思うが、それにしても日本人は完全にナメられているよなあ。実に腹立たしい。へっ、チェック甘すぎじゃんチョロすぎじゃんと分かったので、しばらくはあちこちの官公庁がアタックされるに違いない。まあセキュリティが甘いことなんかクラッカー連中はとっくの昔に分かっていて、既に目立たないように必要な情報だけ失敬していってたりして。今回のようにWebページを書きかえる程度の愉快犯的なことならともかく、マジでクラッキングするならアタックした痕跡すら見せないのがプロのやり方だからなあ。

  しかしこういうサイバー事件が起こった度に使われる「ハッカー」っていう呼称、いい加減やめてくれませんか。「ホームページ」や「HP(ホームページの略称?)」はもう諦めましたけど。


01月25日(火)
  会社の昼休みに飯を食いながらネットニュースの「fj」を読んでいたら、とあるニュースグループで「電器系量販店のテーマソングでどれが一番耳に残るか」というなかなか面白いスレッドを見つけた。出されていた意見としてはチーターが踊りまくるテレビCMでおなじみのサトー無線や「まあるいみどりの山手線」のヨドバシカメラといったメジャーどころ、またちょっとローカルなところでは上新電機などいくつか出ていたのだが、圧倒的な支持を受けていたのはやはりLAOXのテーマソングである。
  LAOXのテーマソングをご存知だろうか。件のテレビCMは関東ローカルではなく多分全国ネットだろうから知っている人は多かろうが、あの「♪いっぱいぱいぱい いっぱいぱいぱい らおっくす」という曲である。こうしてサビの歌詞だけを抜き出して書いてみるととても間抜けだが、このあくまでも脱力な歌詞とどこまでも脳天気なメロディーラインは一度聞いたら忘れることは出来ない。確かに他の電器店のテーマソングと比べると、インパクトという点で一歩抜きん出ていることは万人の認めるところだろう。ちなみに作詞・作曲及び歌唱は小林亜星。ちょっと前にCM界を席巻した「ぱっとサイデリア」しかり、まったくこういう曲を書かせたらこの人の右に出るものはいない。ある意味天才と言えよう。

  で、こういうテーマソングはプロモーションの一環であり、当然ながら覚えてもらってナンボの世界である。いきおい反復性に命をかけるが如く、同じフレーズを延々と繰り返し続ける型が多い。もちろんこのLAOXのテーマソングも正にそういう名称反復連呼型なのだが、そうした曲は聞き続けているうちに一種の催眠状態に陥ると言うか、頭の芯が麻痺するような感覚に囚われる。ぶっちゃけて言うと、こんなもんずっと聞いていたら頭がおかしくなっちゃうだろということだ。
  そんな危険な曲がLAOX店内では当然の如く延々響き渡っているわけなのである。一日中この曲を聞かされつづけているLAOXの店員は頭がおかしくならないのだろうか、と他人事ながらちょっと心配になる。「♪いっぱいぱいぱい」って、何がいっぱいだか。このバカバカしくもあまりに特徴的なフレーズを日がな一日延々と聞かされたら、普通の神経の持ち主なら精神に異常をきたしたとしてもおかしくはない。もしかしたらそういう耐性に長けた人を選抜して店頭販売の職に就かせているのかもしれないが、俺だったらとてもじゃないが半日で気が狂う。

  そういえば確か二年ほど前の暮れだったと思うのだが、秋葉原のゲーム屋に発売されたばかりの「Gran Turismo(GT)」を買いに行った時のことだ。土曜日の昼間というただでさえ混む時間帯なのに、しかも年末、さらに「GT」という前評判の高いソフトが発売された直後ということで、ゲーム屋内はラッシュ時の山手線並の混雑。おかげでレジ前は長蛇の待ち行列が形成され、ちっとも動かない。結局列に並んでから代金を支払うまでに三十分近くかかってしまったのだった。

  その時ゲーム店内に延々とかかっていたのが「電車でGO!」のテーマソングである。サラリーマン風のおじさん数人が電車の着ぐるみを被って走りまわるという、かなりインパクトのあるテレビCMだったから記憶している人も多いと思うけど、例の「電車で電車で電車で電車でGO!GO!GO!GO!」というやつだ。これが正にエンドレス状態で、一瞬たりとも切れ目なくひたすら延々とかかり続けていたのだ。身動きのとれないレジ待ち態勢で呪文のようなメロディを聞かされ続けると、猛烈な眠気とともにやがて頭の中が真っ白になって、トランス状態に落ち込みそうになる。まるで催眠である。もう少しで「電車でGO!」のケースを手に取りレジに駆け込むところだった。

  そんなVoodoo教の呪いの儀式を彷彿とさせるような呪文渦巻くゲーム屋から逃げるようにして家に帰り、さっそく買ってきた「GT」をプレイステーションにセットしてゲームを始めたのだが、当然ながらあのフレーズが頭にこびりついて離れない。何が悲しくてバリバリにチューンナップしたR32スカイラインGT-Rでタイトコーナーを攻めながら「電車で電車で電車で電車でGO!GO!GO!GO!」と歌わなけりゃならんのか。ナンバープレートに「キハ5150」とか書いてあるかと思わず探しちゃったり。

  まあそういうことで今日の話をまとめると、やはり行きつく先は「小林亜星恐るべし」ということだ。またこの結論かよ。


01月24日(月)
  月曜日の朝ってのは、どうしたって思考が正常に回らないものだ。まあそうなることが分かっていながらも、毎週懲りずにメタクソな生活サイクルで週末を過ごしてしまうツケが回りまわって月曜の朝に全開放出されるが故なのだが、それにしたって今日はいつもの月曜日に輪をかけて頭が回らなかった。と言うのも、出勤途中にふとしたはずみで何故か思い出してしまった、中川いさみが昔「クマのプー太郎」という漫画で使った「何食わぬ顔で蟹食うワニ」というフレーズが頭の中でグルグルうねってしまって、それがまた可笑しくてたまらなかったのである。
  会社に着いてPCを立ち上げ、さあ先週の続きの仕事をとアプリを起動してみても、何食わぬ顔で蟹をバリバリ食うワニの姿が頭の中に鮮明に浮かび上がるわけだ。なんでそんなもんが可笑しいのか。自分でもさっぱり分からないが、とにかくもう可笑しくて可笑しくて、笑いをかみ殺すのに必死だったのである。おかげで午前中はほとんど仕事にならず、延々と蟹食うワニのことを考えていたのだ。ついに壊れたかと思った。自分で。

  とまあその時はそういう状態だったのだけど、今こうして思い返してみると別段面白くも何ともない。と言うよりむしろ寒いぞ。ワニが蟹を食おうが、そんなもん俺の知ったことか。まったく、あれは一体なんだったのか。まあ多分寝不足でナチュラル・ハイ状態になっていただけなんだろうが、とりあえず言えることは「中川いさみ恐るべし」ということだ。どうしてそういう結論か。

  以下私信。えーっと、ひとまずおめでとうございます。これからいろいろと物入りでしょうが、置き場所に困り、要らなくなったMacは私が引き取りますので御用命のほど。


01月23日(日)
  昨日のSteve Vaiの強烈なLiveを引きずりつつ昼頃起床。いつものようにマックで昼食を取った後、干上がってしまった車のバッテリを買いに近所のオートバックスへ。当然車は動かないので仕方なく徒歩で行ったのだけど、バッテリのあまりな重さに辟易である。まあうちの車はRV車なのでバッテリは普通乗用車に比べてかなり大型なのだが、それにしたって重すぎる。推定重量20kgってところか。最近ようやく復活したかみさんに替わって、今度は俺の腰がイカれてしまいそうである。

  なんでも昨年末に買ったPCが、ふとした拍子でWindowsすら起動しなくなったとのことで、バッテリを交換して動き出した車で近所のかみさん友人宅へ向かう。到着してさっそくPCを動かしてみると、DOSは動作しているがWindows起動画面の後で「vmm386.vxdが無い」とのメッセージが表示されてWindowsが起動しない。そんなバカなとWindowsフォルダを見てみると、ディレクトリの中身がごっそりと消えている。これじゃあWindowsが動くわけはないけど、何故これほどたくさんのファイルが無くなってしまったのか。ウィルスか。

  とにかくこのままでは埒があかないので、付属のリカバリCDで復旧を試みることにした。ところでてっきりこのリカバリCDってただ単にWindowsとアプリケーションソフトを上書きするだけと思っていたのだが、説明書きを読んでみると一旦HDDを完全にフォーマットしてまっさらになったところで無理やり上書きする、なんてとんでもないことが書いてある。当然フォーマットをするから、今まで作った各種データやメールの送受信ファイルも全てパーだ。かみさん友人がメーカのサポートに連絡したところ、「リカバリCDを使え」と平然と言われたそうだが、何も知らない人がそれに従ってうっかりやってしまうと、大事なデータもなにもかも全て消えうせてしまうことになる。まあメーカ側からすれば、何か致命的な不都合が生じたときはとにかく無理やりにでもPCを買ってきた状態に戻せば、余計な手間暇がかからなず後腐れないのかもしれないけど、せめてWindowsだけの上書きインストールが出来るようにしてくれれば、今回の場合のときは重宝すると思うんだが。

  とまあ文句を言っても仕方がない。必要なデータをフロッピーにバックアップして、リカバリCDをドライブにセットして実行すると、勝手にインストールが進みPCは初期状態に。いくつかのアプリのインストールと細かい設定をやり直して、ともあれなんとかPCは元の状態に戻ってめでたしめでたし。


01月22日(土)
  今日はSteve VaiのLiveを見てきたのである。場所は赤坂ブリッツ。ところでSteve Vaiと聞いて知っている人はあまりいないと思うけど、古くは伝説の変態技巧派バンドのFrank Zappaバンドからプロキャリアをスタートし、Alcatrazz、Dave Lee Roth(元Van Halenのボーカリスト)バンド、Whitesnakeなど大物ハードロックバンドを渡り歩いたテクニカル派のギターリスト。Whitesnakeを最後にパーマネントなバンド所属の道をはずれ、最近はソロ・キャリアで自身の音楽を追及している。
  ところでこうして彼が所属したバンドを列記してみると、いかにもヘヴィ・メタル、ハード・ロック一辺倒なギター弾きかと思うかもしれないが、奇才Frank Zappaの元で修行を積んだだけあってロックの範疇だけにとどまらない実に多彩な音楽をソロではやっている。

  Liveはのっけからサイバーな衣装に身を包んだVai氏の登場で観客の度肝を抜き、昨年秋に発売された新アルバムからの曲を中心にグイグイと飛ばしていく。実はこれがSteve Vaiを生で見るのは初めてなのだが、オールスタンディングとはいえステージ前から四列目の「かぶりつき」で見る天才Vaiのギタープレイは、もうただただ圧巻の一言。随所にタッピングやスイープ・ピッキング、アーミングの妙技などなどを挟み、これでもかというぐらいにトリッキーでテクニカル。しかもCDの演奏とはまた少し(だいぶ)違う、大方がアドリブなわけだが、それらがいちいち完璧なのだ。とにかく凄いの一言である。今までいろいろなLIVEを見て、数々の素晴らしいギターリストの演奏を聞いてきたけれど、これ程完璧なギターオリエンティッドのショウを観たのは始めてだ。

  ところでSteve Vaiっていうと、世界でも最高峰に位置するこのギター・テクニックの部分に耳目が集まりがちではある。確かに今まで発表された彼のスタジオ版CDを聞くと、どうしたってテクニカルなところが目立つ。しかし今回彼のギターを生で聞いて、決してそれだけではないということがよく分かった。実に豊かで多彩な情感がたっぷりと込められた「歌心」に溢れているのである。
  歌心である。よく優れた楽器の演奏を指して「歌心がある」とか「まるで歌っているようだ」と表現することがある。だがVaiのギターは生半可な歌ではない。Liveでの一瞬一瞬に浮かんだ「喜び」や「楽しみ」や「怒り」、「哀しみ」という感情の赴くままに押しては引き、引いてはまた押す、正に「歌う」ようなギターの音。いや「歌」というより「ヴァイブ(波)」だろうか。彼の感情と同調すればするほど高まっていくような感覚とでもいうか。

  そんな彼のギターを聞きながら、以前彼が雑誌のインタビューで「あんなに複雑で曲展開やフレーズをどうやって思いつくのか」という問いに、「音楽は空中のそこらにふわふわと浮いている。それを頭の中にあるアンテナでたまたまキャッチし、そしてそのメロディをギターで再現するだけだ」と答えていたのを思い出した。きっとLiveの最中も頭に浮かんだメロディやフレーズを、感情という触媒で加工してそのままギターで表現しているだけなんだろう。ギターが体の一部というか、既に完全に体と同化している人だからこそ出来る芸当なわけだが、こういう人こそが真のミュージシャンであり表現者なんだと思う。

  ちなみに今回のチケットも先々週のMR.BIGに引き続いてまたまたたいしさんに譲ってもらったもの。いやほんとに、ええもん見させてもらいました。ということで、チケット、返せません。


01月21日(金)
  ちょうどNHKの朝の連続テレビ小説が始まる頃に、今日はいつもより三十分早く起床。以前はだいたいこの時間に起き出してこの番組を見ながら朝飯を食っていたような気がするが、最近はすっかり起床時間が遅い方向にシフトしてしまって、ついぞ見ることはなくなった。最後に見たシリーズはなんだったろう。「あぐり」か「ふたりっこ」だったか。いつの話なんだそれは。
  飯を食ったり洗顔したりの間にちらちらと時計を見やってはいたのだが、いつもとちょっと時間がずれただけでこうも感覚が狂うのか。予定していた時刻から数分遅れ、慌てて家を出る。寒い。気温が低いのはもちろんなのだが、それに加えて北風がとてつもなく冷たい。ただでさえ寒いところにこの風のおかげで体感温度がさらに低下する。吐く息も真っ白だ。
  ちょうどこの時間はうちのマンションの前に近所の幼稚園の送迎バスがやってくる頃合で、マンションのエントランスあたりで制服を着たお子達がはしゃぎまわっているのだ。この寒いのに子供は元気だ。寒いのは関係ないのか。うう、おじさんにもそのパワーをちょっとでいいから分けてほしい。
  さすがにこの時間になると、駅へ向かう人影はまばらである。そりゃそうだよな。都内に出勤するとして、仮に俺と同じように十時出社だとしても、こんな時間じゃとうてい間に合わない。それにしてもどうしてこういう日に限ってめちゃくちゃ寒いのだろうか。なにも人が久しぶりに表を歩こうかって時に、突然頑張って冬らしくせんでもよかろうに。なんてぼやきながら駅へトボトボと歩く。
  まあとにかく、車が動かない時の俺の朝はこんな感じだ。寒。
01月20日(木)
  昨晩もの凄く嫌な夢を見たような気がするのだが、詳細が全然思い出せない。だが何故かとても不愉快で不安で不吉な夢だったってことだけは、不思議と覚えている。ディティールは映像化できなくとも、脳の奥底にイメージだけがこびりついている、そんな感じで。
  そんな夢見が悪かったのかどうかは定かではないが、今朝はどうにも起きあがる気力がなかった。体中の力が抜け、瞼が猛烈に重い。いい加減に普段の寝不足のツケが回ってきたのだろうか。とにかく眠くて眠くてたまらないのである。ボケた頭で今日の午前中は特に重要な用事がなかったことを必死に確認し、午後から出社することにして再び悪夢の中へ。

  昼少し前にのそのそと起きだし、身支度を整えて駐車場へ向かった。やれやれ。なんだかいっそのこと一日休みにしたいところだが、仕事が詰まっているのでそうもいかない。あああ、やっぱり俺って社畜なの?なんて思いながら車に乗りこみ、イグニッション・キーを回す俺。
  きゅる(空白0.5秒)きゅる(空白0.7秒)きゅる(空白1.5秒)きゅ。あら?
  きゅる(空白1.5秒)きゅる(空白2.0秒)きゅる(空白3.0秒)きゅ。あら?

  その牌、あがってます。それは国士無双十三面待ち。
  勝手に、あがってます。それは不法侵入。
  私すっかり、あがってます。それは閉経。

  バッテリー、あがってます。それは俺の愛車(日産レグラス98年式)

  俺は車のドアをバタムと閉め、駅への道を力なく歩いていったのだった。


01月19日(水)
  ヘブライ語アルファベットの最初の文字である「アレフ」には、「最上の」「一番目の」などの意味があるそうだ。なるほど、いかにも団体の名称に使いがちなフレーズである。実際関東や北海道でレストランチェーンを展開している企業や、大阪市の医歯学部進学予備校などが「アレフ」の名を使用しているらしい。個人的に関連が大きいのは、電子部品やセンサ製造関連で世界的にも有名な「日本アレフ」っていうメーカか。ここのセンサはなかなか優秀で、俺が設計に関わった製品にも同社の製品をいくつか採用したような記憶がある。確かな技術力とトラブル皆無で値段も安いセンサ。そんなイメージが日本アレフにはあった。

  名は体をあらわすというが、日本アレフだってレストランチェーン企業だって、創業者や命名者はきっとその業界で「最上」で「一番」になることを祈願し、「アレフ」という社名をつけたに違いない。ああそれなのに突然の珍入者。たまたま同じ名前だったというだけなのに、何も知らない人からするともしかして同系列か?などと穿った見方をされたりして。いままでせっかく築き上げてきたイメージだいなし。なんでお前らよりによってそんな名前にしやがったんだよ、と憤懣やるかたないところだろう。まあしかし、はた迷惑な話である。

  それにしてもなんでまたこういうシンプルな名前にしたのだろうか。せめてもうちょっとヒネろうって気はなかったのか。いっそのこと「PCバンク」か「グレイスフル」にでもすればよかったのになあ。これなら皆知ってるじゃん。秋葉原限定だけど。


01月18日(火)
  そういえば会社に入って初めての給料で何をしたかと思い返してみると、両親に飯をおごったりだのプレゼントを贈ったりだの、長男たるもの親孝行度百パーセント、まあ言ってみればごく一般的な用途に幾ばくかの紙幣を投入したものだ。だが初任給をもらって何が嬉しかったって、自分の稼いだ金で焼肉が死ぬほど食えるのだという事実。素晴らしい。腹一杯のカルビ。いやというほどのタン塩。吐くまで食いつづけるミノ。とにかくこのことほど嬉しく思ったことはないのである。
  もちろん会社に入るまでの学生時代だってアルバイトをして稼いだ金で焼肉を食ったりしてはいたのだが、なにしろはじめての給金である。社会人として一歩踏み出したその象徴たる初任給。なんの後ろ盾も保護もない、自分だけの力で引き出した金。そんな自分の自分による自分のための金を使って焼肉が腹一敗食える。それだけで俺は何かとても輝かしいというか、とにかく嬉しくて仕方がなかった。もっとも最初の一ヶ月間なんて研修ばかりで、ろくに仕事もしていないくせにお情けで頂いた給料なのではあるが。

  それから十年あまり。日々ルーチンワークに追われ、月何十時間かの残業をこなし、今や当たり前のように毎月二十五日に事務的に銀行振込みされる給料。今となっては別に焼肉を食おうが寿司を食おうが、あまつさえ大枚はたいてPentiumIII 500MHz(Coppermainコア)を買おうが、さしたる感動も何もなくなってしまった。
  これではいかんと思うのである。今こそあの時の感激を思い返すときではないか。脂が滴るジュウとした音を、誰も手をつけずに焼きすぎのあまり無残にも黒焦げになった玉葱の残骸を、思い出す必要があるのではないのか。そうだ。そうなのである。焼肉に帰るのだ俺よ。なんだよそれ。

  とまあ書いているうちに自分でもよく分からない結論になってしまったが、つまりは今俺は腹が減っているということである。こんな夜中に焼肉なんか食ったら太るって。


01月17日(月)
  今日は世間一般的にはただの月曜日だが、俺を雇用する会社は休日なのである。今年の正月休暇をY2K対応で例年より一日縮めた分の代休。ということで先週に引き続き、土日と合わせて三連休となったわけだが、俺はそんなことは関係なくいつもの休日出勤。さすがに今日は出てきている人が少なかった。もちろん建物の中は暖房が入っているんだけど、人気のないがらんとしたフロアがそこはかとない寒さ、侘しさを感じさせる。

  仕事を終えて帰宅しようと家に電話すると、かみさんは持病の腰痛が悪化し、とても晩御飯を作れる状態ではないという。仕方がないのでこういう時の常食である「一人焼肉」にでも久しぶりに行ってみるか、と車の進路を変更。いつもの焼肉屋で例によってカルビ180g定食を食した後、帰り際にうちの近所のコンビニに寄る。
  それにしてもここに来ていつも浮かぶ疑問の一つに、陳列棚の奥底に鎮座まします「靴洗い用たわし(柄つき)」の存在である。こんなもんいったいいつ誰が買うのだろうか。コンビニ産業では商品の入れ替わりがとても激しいと聞く。売れない商品はどんどん棚の奥に追いやられ、ついには店頭から消え行く泡末商品も数多いだろう。そんな競争熾烈なコンビニ陳列棚椅子取りゲームをあざ笑うかのごとく、なにか当たり前のように佇む靴洗い用たわし(柄つき)。記憶にあるうちではもう随分前から置いてあるような気がするけど、ということはそれなりに需要があるということか。突然我が身を襲う靴洗い衝動。しかし靴は洗いたし、たわしなし。しかも今は夜中。駅前のスーパーだって商店街の靴屋だってとっくに店じまい後。ああっ、でも俺は靴を洗いたい今洗いたいすぐに洗いたい。そうだコンビニあそこに行けばなにかあるかも。そんな人が少なからず存在する、そういうことなのか靴洗い用たわし(柄つき)よ。
  誰がどんな決心のもとお買い上げなさるのか。興味は尽きないのである。


01月16日(日)
  昨晩のオフから朝の六時半に帰ってきてそのまま爆睡し、起きたら午後二時半。久しぶりの朝帰りダメージはかなり大きい。体もだるいが、そう言えば昨日もあまり食べずに酒ばっかり飲んでいたからか、胃がえらく重い。こう見えても俺は胃腸が弱いのだ。胃壁が荒れているというか、胃酸過多状態になっているようだ。こういう時は無理やりにでも何か胃に入れたほうが落ち着くことが経験上分かっている。かと言っていつものマクドナルドという気分ではないので、とりあえず近所のサイゼリアでリゾットを。食べたらちょっとすっきりした。

  サイゼリヤついでに近くのゲーム屋をのぞいてみたら、「バイオハザード ガンサバイバー」のデモが置いてあったのでさっそくやってみた。このゲームは大ヒット作となったプレイステーションのソフト「バイオハザード」シリーズの最新作で、発売は今月末。ゲームの内容は基本的に今までのバイオシリーズ同様、ゾンビやクリーチャー達が徘徊する街から逃れなんとか脱出するというアクション物なのだが、今までのシリーズとは違って通常のコントローラではなく「ガン・コントローラ(通称ガンコン)」を使用するという新規システムを採用している。このガンコンの具合がなかなか絶妙で、店頭デモをやってみると正にゾンビを拳銃で撃ちまくっていくという感じの、不思議な陶酔感というか妙な快感というか、とにかくこれがかなり楽しいのである。おお、こりゃあ面白いやとゲーム屋の店先だというのに調子に乗ってバンバカ撃ちまくっていたら、小学生のガキンチョに白い目で見られた。坊、おじさんはね、今とっても忙しいんだよ。頼むからそんな目で俺を見ないで。
  実はこの正月にたまたまのぞいたゲーム屋で、「バイオハザード ガンサバイバー」向け限定版のガンコントローラ「ベレッタM92FSターゲット」を見つけ衝動買いしてしまったのだ。これがゲーム中に実際に出てくる拳銃の大きさ、重量などを正確に再現したモデルで、手に持つとズシリと重く雰囲気たっぷり。この手の付属品としてはけっこうな値段がしたもんだから、肝心のゲームがつまらなかったらせっかく買った意味がないよなあと思っていたのだが、これなら無駄にならなくて済みそうだ。
  ということで今月末が待ち遠しいわけだが、またまた寝不足の日々が続きそうである。


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