みくだり日記    2000年08月前半
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08月15日(火)
  そういうわけで、長野の山から無事に帰ってきたのである。きっとえらい目に遭うに違いないと心配していた天候も、台風の進路が予想よりも東側にそれたおかげか大崩する事もなく、初日の土曜日にパラパラと雨が舞った程度。山地特有の霧が立ちこめることはあったが、概ね良い天候に恵まれた。そんな中、最高気温二十三度と熱気渦巻く下界からは正に別天地で、昼間は温泉三昧、夜には酒盛りと、素晴らしい高原ライフを満喫してきたのだった。こういうのを命の洗濯っていうんですかね。

  まあ夜はひたすら酒を飲んでばかりいたわけだが、一応これでも元天文屋。ちょうどこの時期に極大を迎えるペルセウス座流星群のことも、頭の隅っこにチラと残っていたのである。この流星群はピーク時の流星数が多いことで知られ、空の状態が良ければ一時間に数十から百個近くの流星を観測することが出来る。しかし今年は月齢の巡りが悪く(満月)、さらに天候のこともあってほとんど期待していなかったのだ。しかしこれも星の思し召しか。最終日の深夜、天頂付近がさっと晴れ渡り、夏の第三角形の中に明るい光跡を残して飛ぶ群流星をいくつか見ることが出来た。昔取った杵柄よろしく、なんとか元天文マニアの面目を保持できたわけである。

  ちなみに下の写真の左側が宿泊した(おんぼろ)バンガロー。多少の修繕を行っているようではあるが、基本的には十数年前からほとんどこのままの佇まいである。さらに言うとハニー事件の舞台となった別のバンガローは、ちょうどこの反対側にある。今も彼女が屋根裏部屋で一人静かに眠っていると思うと、あまりに怖いので誰も近づけなかった。
  右の写真が某山頂から撮った諏訪湖の様子。例年でいくと、この時期の諏訪湖はもう少し澄んだ藍色をしているのだが、今年は何故か緑に濁ってしまっている。雨の影響か、もしくはアオコでも発生しているのだろうか。

掘っ建て小屋 真ん中あたりが諏訪湖

  ところでスペアリブの燻製の出来だが、こちらもほぼ満足のいく仕上がりとなった。仕込み段階で十分薬味に漬けこんでおいた甲斐あって、数時間燻煙しても適度な柔らかさ。多少塩味が足りなかったので、完成品に塩をまぶして食したのだが、いやこれが酒によく合うのである。来年は美味いバーボンか、きりっと冷やした日本酒を持参してまたやろう。

燻煙中 いい色に染まりました

  山から帰ってきた翌日の今日はさっそく休日出勤である。山ですっかり健康的な生活サイクルを送っていたからか、朝の目覚めが非常によい。やはり人間、明るくなったら起き、疲れたら寝るってパターンが一番自然な形なんだよなあ。普段の日常サイクルじゃそんなの絶対無理だけど。
  一旦会社に行っていくつかのデータファイルをノート PC に詰め込んだ後、電車で都内の某半導体系商社へ。シミュレーション結果を眺めたところ、不具合点はようやくゼロになった。念を入れてもう少しチェック作業を行えば、明日には開発終了の書面にサイン(サインオフ)できるだろう。長かったこの仕事も、ようやく終わりである。

  ところで終戦記念日の本日八月十五日で、この Web サイトを立ち上げてかれこれ二年になる。よもや二年も続くとは思わなかったが、それもこれも日頃アクセスしてくださる皆様のおかげであります。三年目もよろしくおつき合いください。


08月11日(金)
  午前中仕事を休んで、先日申請したパスポートを受け取りに千葉県旅券管理事務所へ。ああそうか、十年有効ものだと赤いパスポートになるのね。

  会社から帰宅後は燻製の仕込みに入る。ボールに赤ワイン五百 cc 、荒塩小さじ二杯、三温糖小さじ二杯をあけ、さらにすり下ろしたタマネギと生姜を入れてよくかき混ぜる。その中に半解凍したスペアリブをくぐらせて、ある程度なじんだらストックバッグに入れて手で揉み合わせる。中の空気を出来るだけ抜いて、あとは冷蔵庫に保管してねかせる。このまま一日漬けこんでおけば、適度に味がしみわたるはずだ。

  現地ではまず、取り出した表面の調味料を流水で洗い流し、キッチンペーパーで表面の水分をふき取る。塩はそれほど効いていないので、塩抜きは不要だ。自然乾燥させたらさっそくスモーカーにぶち込み、まずは摂氏五十度前後で一時間ほど温熱乾燥。脂が浮いてくるのでキッチンペーパーでふき取り、今度は温度を上げての本格燻煙である。チップをあぶる火力を強にし、内部温度を摂氏八十〜百度になるようにして一時間弱燻煙する。豚肉は寄生虫が気になるところだが、肉の中心温度を摂氏六十五度以上に上げ、三十分間その状態を保てば死滅する。このレシピ通りに行えば、その条件はクリアできる。

  肉をちょっと切ってみて火が通っていることを確認したら、あとはそのままかぶりつくもよし、または醤油ベースでさらに軽く炒めてもよし。酒の肴には最高の燻製料理が手に入っているはずだ。

  とまあレシピ的にはこんな感じなのだが、スペアリブの燻製といっても基本的にはひたすら燻煙するだけ。多分上手くいくだろう。あとは気がかりなのが天候か。台風九号。おそらくこの週末、本州に上陸確実のようだ。まあそうなったらそうなったで、燻製を食べながら酒でも飲んでやり過ごすことにしよう。

  そんなわけで、明日から山の人であります。


08月10日(木)
  夏休み期間中の休日出勤が決定的に。まあ多分二日か三日出ればなんとかなりそうなので、完璧につぶれてしまったゴールデンウィークに比べればこれでもまだマシか。

  そんなこんなで、今日は久しぶりに日付が変わるまで仕事である。誰もいなくなった会社のフロアで、一人ポツネンとモニタに向き合っていると、そこはかとなく寂しさが沸き上がってくる。はるか遠くからかすかに響いてくる低い雷鳴。昨日の夕方から夜半にかけて、ここら一帯を襲った雷雨はあまりに強烈だった。天気予報によると、今日も関東地方北部ではあちこちで雷が発生しているようだが、とりあえず今日のところはこちらは大丈夫なようだ。しかし雷の音が聞こえる真夏の深夜に、だだっ広い部屋でひとりぼっち。時折吹く風がガラス窓を叩き、ビリッとくぐもった振動が耳につく。このシチュエーションであれば、いつ何が出てもおかしくはないだろう。何ってなんだよ何って。ううっ、余計なことを考えるな。暑いと思うから暑い。ぬるいと思うからぬるい。したがって怖いと思うから怖いのだ。何かが出たっていいじゃないか。日記のネタになるぞ。そんなネタは出来れば使いたくないが。

  ということで、仕事半ばにして帰ってきてしまいました。軟弱者と呼ばば呼べ。


08月09日(水)
  チーム内で今唯一頼りになる番長が好投して、泥沼の七連敗からようやく脱出。やっと勝ったか。えらいぞ番長。それにしてもこれでようやく八月初勝利かよ。もう月の三分の一が終わってるんですけど。

  長野は南アルプスに属する某山に、昔の友人達とキャンプをしに行くのがここ数年の夏の行事としてすっかり定着している。まあキャンプと言っても、本格的に野営をしたり険しい山頂の登攀を極めたりというハードなものではない。場所としては一応標高二千メートルの高山なわけだが、山頂付近にあるバンガローまでは車で楽々登攀。一応自炊はするが、コンロさえあればあとは鉄板の上でひたすら焼くだけの焼き肉や、せいぜいいってカレーを作る程度。はてはバンガローに電気が来ているのをいいことに、持参した炊飯器で米を炊く始末。至ってお手軽なライト・キャンプといったところだ。
  ハードにアウトドアを楽しむ方から見ると、こんなのどこがキャンプだと憤る向きもおられよう。ええそうです。俺達軟弱者。だって面倒くさいんだもん。いいじゃん別に。要はキャンプとは名ばかりの、言ってみれば単なる場所を変えただけの飲み会だと思っていただければ。

  で、そのプチ・キャンプで最近凝っているのが燻製である。燻製。要は肉やら魚やらチーズやらといった食材を、煙でいぶして風味をつけ美味しく食べようというあれだ。燻製というとなにやら小難しそうに思われるかもしれないが、やってみると意外に簡単。適当な食材を適当に煙でいぶしてやれば、それなりに雰囲気のある燻製が簡単に出来てしまうのである。最近のアウトドアブームで手軽にできる燻製が静かなブームとなっているそうだが、簡単な割に上手くできるところが受けている所以なのかもしれない。

  で、燻製である。燻製器を買って初めての挑戦だった一昨年はマスだった。これは仕込み段階でちょっと塩加減を間違えて少々しょっぱかったが、まあまあのものが出来た。去年は豚バラの燻製。こちらは特製のタレに数日間つけこんだりして仕込みに凝ったおかげで、上出来の作であった。そして三年目の今年である。そろそろ単にひたすら煙でいぶすだけの単純なものではなく、ソーセージとかロースハムなどちょっと凝ったものでも作ってみようかと考えて、ネットや書籍で作り方のレシピを調べてみた。

  しかしこれが予想以上に面倒くさそうなのだ。例えばロースハム。調味料につけ込んで冷蔵庫で寝かせる事前の仕込みが一週間かかるのはまあいいとして、現地での実際の燻煙作業がまず温熱乾燥が二時間、煙でいぶす燻煙が五時間、さらに出来上がったハムのボイルに二時間と、合計九時間もかかる。この間ほぼつきっきりで温度管理をしなければならない。出来るかこんなの。確かにこれだけ手間暇かければきっと美味しいハムが出来上がるのかもしれないが、所詮は野外キャンプである。せっかくのんびりしに山に行くのに、あくせくと時間に追われるのはどうかと思う。

  ということで凝ったやつは却下。結局のところ今年も安直に、ひたすら煙でいぶしまくれば勝手に出来上がるスペアリブにしてみました。やっぱり簡単なのが一番。軟弱キャンプだし。


08月08日(火)
  「パチパチ」でソロバンの日(本当)。さかのぼること遙かな大昔、ソロバン教室に通っていた頃は授業が休みになるので嬉しい日であったが、今となってはなんの変哲もない八月の一日。

  その時はもちろんガキの身分であって、将来簿記でも習って経理系の仕事に就こうかなんて考えていたはずもなく、ただ漫然と親の勧めるままソロバンを習っていたわけだ。ただ楽しくなかったかというとそうではなく、近所に住む友人の多くが同じソロバン教室に通っていたこともあって、半分習い事、半分遊びに、という感じで割合楽しく通っていたような気がする。冬にはスケート、夏にはキャンプと、ソロバン教室主催の行楽行事も楽しみのひとつだった。

  小学生高学年の何年かこうしてソロバン教室に通ったわけだが、ところで実生活上何かの役に立ったのか。それはソロバン自体ではなく暗算である。自慢ではないが、四桁ぐらいの四則演算だったら電卓なぞ使わないでもさっと出来る。ソロバンの達人は暗算をする時に、頭の中で高速にソロバンの玉を弾いて何十桁、何十行もの大量の計算を行うそうだが、さすがにその域には達していないものの、頭にイメージした仮想ソロバンを弾くことによってある程度の計算をこなすことが出来るのだ。

  まあ電卓黎明期ならいざしらず、今時ソロバンで帳簿の計算をするわけはないにしても結局経理関係の仕事に就くことはなかったわけだが、しかし技術屋という職業柄、何かの数字を計算する機会は比較的多い。そういう時に暗算が速いとなにかと便利なわけである。子供の頃に脳内にインストールされたソロバンは、今でもそれなりに機能し、俺の行動の助けになっている。

  ところでソロバン教室なんてまだあるんだろうか。思い出すかぎりでは街に看板を見かけたことはない。


08月07日(月)
  朝っぱらからいきなり入道雲が空いっぱいに広がる月曜日。今日が立秋だなんて、たちの悪い冗談としか思えない。

  今秋発売予定の製品に搭載されるカスタムチップの開発作業に携わって早八ヶ月。猛烈な紆余曲折があったが、ようやく本当にゴールが見えてきた。息せき切って最終バックストレッチになだれ込み、ゴールテープが胸先にかかった瞬間、誰かが叫ぶ「あと五十メートル」の声。幾たびこんなことを繰り返しただろう。そんなことともやっとおさらばである。ということで、本来今日は予定ではなかったのだが、なんとか今週いっぱいで全てにケリをつけるため、午後から急遽某半導体系商社に外出。

  しかしあまりに急な話だったから、ワイシャツの用意をしていなかったのである。アイロンがけを頼もうにも、かみさんは仕事に行って留守。どうする。ううむ、自分でやるしかないか。押入からアイロンとアイロン台を引っ張り出し、コンセントにプラグをオン。アイロンビギナーの俺にとって「楽にシワ取るスムーザー」が唯一にして心強い味方だ。

  アイロンがけで不意に思い出したのが、数年前にフジテレビ系列で放映されていた「ひとつ屋根の下」というドラマ。江口洋介扮するクリーニング屋の長兄が、真っ白いシーツにサーッとアイロンを滑らせているシーンが印象的だった。あれが気持ちよさそうなんだよなあ。なかなかあんな風に上手くはいかないだろうけど。
  なんてことを考えながらのアイロンがけである。肩口と肘のあたりに若干しわが寄ってしまったような気がするが、概ねパリッと仕上がった。どうだい、あんちゃん。俺だってアイロンがけぐらいちゃんとできるのさ。あんちゃんって誰だよ。
  ああそれにしても、どうせアイロンをかけるなら、タンスの中に一番上に置いてある奴を適当に選ぶんじゃなくて、ちゃんと半袖にするべきだった。ううっ、長袖じゃ暑くてかなわん。

  結局今日も終電間際まで。そう言えば帰りの電車はえらく空いていたなあ。そうか、今週から夏休みの会社が多いのか。ううむ、俺に夏休みはやって来るんだろうか。


08月06日(日)
  実家にて目覚める日曜日。いつも昼過ぎにはやって来る姪っ子達が、どうしたことか今日は来ない。母親が弟宅に電話してみると、子供達は近所のプールに行っているとのこと。夏休みに入ってからというもの、毎日のように通い詰めているらしい。いいよなあ、真夏のプール。そういえば今年はまだ泳いでないな。と言うより泳ぐ機会なんてあるのだろうか。

  CATV で「課長王子」なるアニメを見る。連続物の途中の一回しか見てないので詳しくは分からないが、察するにギターを弾くことで宇宙の平和を守っている課長補佐の話らしい。って、なんだかさっぱり分からん。が、これがなかなか面白い。元々は WOWOW で放映されていたものの再配信らしい。しかし元ハードロック・バンドのギターリスト、今はしがないサラリーマンって、なにか他人とは思えないような。ともかく、また一つ CATV 放送の楽しみが増えた。

  今週を乗り越えれば、待望の夏休みである。乗り越えられるのかがちょっと不安。


08月05日(土)
  午前中休日出勤してカスタムチップのシミュレーションをさくっと流し、結果を某半導体系商社にメールで流した後、電車に飛び乗って一路横浜・関内へ。今日は横浜スタジアムで横浜ベイスターズ対中日ドラゴンズ戦を観戦するのである。

  十六時半にスタジアム入り。さすがに試合開始までまだ時間があるので客席は完全には埋まってないが、俺達が座った一塁側内野自由席はそこそこの人手である。今年はチーム成績が今ひとつ低迷しているから、おそらくそんなに人は入らないだろうと思っていたのにちょっと意外だった。そう言えば今日は夏休み期間中の土曜日だ。見渡してみると家族連れが多い。西日がもろに当たるスタンドでビールをあおりながら、両チームの練習風景を眺めつつ試合開始を待つ。

土下座するホッシー君 ホッシー君達

  今日の横浜先発は、先日涙のプロ入り初勝利をあげた細見。対する中日はベテラン左腕投手の山本昌。なんとなく打撃戦の展開が多分に予想される布陣で、十八時にプレイボール。

  細見は初回、一死から李にセンター前ヒットを許すと井上に四球を与え、いきなりランナー一、二塁のピンチ。しかしここは四番ゴメスを注文通りのショートゴロダブルプレーにしとめ、なんとか切り抜ける。その後も前回までの投球と同じく、緩急をつけたまずまずの投球で四回まで中日打線を初回の一安打のみと抑えていく。一方の中日先発山本も二回に佐伯に打たれたライト前ヒットの一本のみと、予想に反してそこそこに緊迫した投手戦となる。というよりも貧打戦か。

  ゲームが始まる前は西日がもろに当たって死ぬほど暑かったが、日が落ちてあたりが暗くなってくるにしたがい海からの風「浜風」が良い具合に吹いてきた。ほのかに潮の匂いのする風が、火照った体に大変心地よい。ビールもすすむ。やっぱり横浜スタジアムで野球を見るなら夏のナイトゲームに限るよなあ。聞くところによると、みなとみらい開発地区に「横浜ドーム」をブチ建てる構想があるそうだが、そんな税金の無駄遣いなんか止めてほしいもんだ。

バッター四番ローズ ライトスタンド

  淡々としたゲーム進行の中、中日は五回、二死から森野がライトスタンドにとびこむ先制ソロホームランで先制する。しかし中日打線は細見を打ちあぐね、七回までに散発三安打で得点は森野の一発のみ。細見はプロ入り最長の七回を投げ抜き、内容で次回の登板に期待をもたせる内容だった。顔はゴツイが涙にもろい(笑)苦労人。今日の仕事は十分にこなしたと言えよう。うむうむ、よくやったぞ細見。次もこの調子で頑張っておくれ。

  そうした細見の好投になんとか報いたい打線は、しかし山本昌をどうしても打ち崩すことが出来ない。五回に先頭の谷繁がレフト前ヒットで出塁。一死から多村がツーベースヒットを放って一死二、三塁の大チャンスを迎えるが、細見はショートゴロ、続く石井琢もショートゴロに倒れ、絶好の好機をあっさりと逃す。こんなことを言うと結果論になってしまうが、何故多村のツーベースの時に谷繁は(というより三塁コーチャーは)ホームを狙わなかったのか。何故細見にスクイズをさせずに強行策をとったのか。まあ素人が観客席から見ているだけだから、言えるのかもしれないが。でもこの好機に得点できなかったことが、最終的にはゲームを左右しちゃったんだよなあ。

  そして魔の八回。好投の細見に替わってマウンドに上がった福森がゲームを完璧にぶちこわす。

  とりあえず先頭打者を無難にしとめた後、妙に安心したのかピッチャーの山本昌にレフト前にヒットを許すと、続く関川にもライト前ヒットを許し一死一、二塁のピンチ。ここで李にセンターオーバーの二点タイムリーツーベースを許し、さらに井上にもセンター前にクリーンヒットを打たれ計三点の失点。あわわわ、おいおい何やってんだよ福森!と言ってるそばから、とどめは四番ゴメスにレフトスタンドへ突き刺さるツーランホームランを献上。一挙五点のビッグイニングに大いに盛り上がるレフトスタンドのドラゴンズファン。対照的にがっくりとうなだれ溜息しか出るものがないライトスタンド…。

  今日の山本昌の調子と横浜打線の貧打ぶりでは、六点は決定的である。八回に代打相川、影の首位打者金城がライト前にヒットを放ったり、九回にもローズがショート内野安打、谷繁がライト前にヒットを打ったりしてなんとか少しだけ粘りも見せるが、結局は山本昌に二年ぶりの完封を許すとともに、五連勝の後の五連敗で借金六の五位に転落となった。

  とまあ見るも無惨な結果だったわけだが、それでも細見の好投は見応えはあったし、金城のヒットも見ることが出来た。おそらく今年が最後であろうローズの勇姿も拝めた。そりゃもちろん勝っていれば最高だったが、今のベイスターズに多くを望んではいけないのである。結果はともかくとして、存分に野球を楽しめたから良しとしよう。だから全然悔しくなんてない。辛くもない。悲しくもない。たかが一敗、なにするものぞ。横浜ファンの懐は大きいのである。って、ああちきしょー。福森のばかやろーっ。貴様なんぞ横須賀で冷や飯でも食ってこい!と、心の中で叫びながらスタジアムを後にする。

  試合終了後、みなとみらいの飲み屋で残念会。済んだことをグチグチ肴に日本酒をグイグイと。やけに酒がすすむが、ある意味まずい酒。いや、酒に罪はない。悪いのはみんな、横浜のあいつらだ。

  その後は実家に泊。夜、一人枕を涙で濡らす(嘘)。


08月04日(金)
  湿り気をたっぷりと含んだ空気がずしりと重い夏の朝。一息吸い込むたびにあまりの水分の多さにむせ返りそうになる。いやらしいまでの湿気。これぞ正しく日本の夏なのではあるが、しかしそれでもものには限度というものがある。

  会社まで車を走らす道すがら突然空が暗くなり、まもなく大粒の雨が落ちてきた。ついさっきまで良い天気だったのに、と思う間もなくザーッと降って唐突に止む。まるで南国のスコールのようだ。しかしなんでまた雨なんか。ちょっと気になったのでネットで調べてみると、ヒートアイランドからの上昇気流が雨を呼んだという説明だが、それって大都市部特有の気象現象ではなかったか。そんなのを千葉にも当てはめていいのだろうか。東京都心同様、千葉も南国化が進んでいるのかも。

  いつものように仕事で深夜に帰宅し、金曜の夜という少しばかりの開放感に煽られたか、よせばいいのに無理矢理ワイン。そして撃沈。俺の脳に「学習」という概念はインプリメントされていないのでしょうか。ああ明日も休日出勤。   


08月03日(木)
  せめて一つ、出来れば二つは取りたかった三連戦。終わってみれば黒い三連星ですか。まだ外は死ぬほど暑いというのに、冷たい秋風が身にしみる季節になりましたなあ。くそ。

  「産業の米」ともてはやされた DRAM に代表される半導体製品は、正しく「電子立国日本」の象徴であり、事実八十年代後半には日本製のシリコンの円盤が完全に世界を支配していたのである。ところが九十年代初頭のバブル崩壊による大不況、さらにアジア・アメリカなどの新興半導体メーカに物量・価格攻勢に土俵際まで追いつめられ、相次ぐ規模縮小、事業撤退と、日本の半導体・電子部品産業は一時はジリ貧の憂き目にあったのであった。だが九十年代後半から始まった PC 市場の拡大、情報家電の活況、さらには爆発的な普及の一途をたどる携帯電話市場に引っ張られ、猛烈な勢いで盛り返しつつあるのだ。

  という話を半導体系メーカや商社の人間に会うと必ず交わすのが最近のトレンドである。この業界がいかに今景気がいいか、需要が逼迫して部品がいかに手に入らないか。古典的な大阪商人の「もうかりまっか」「ぼちぼちでんな」的な、なかば時候の挨拶のように、しかし何故かそれらが自分の手柄であるかのように、彼らは異口同音に嬉々としてまくしたてるのである。今日俺のもとにやって来た某半導体系メーカの新人営業マンも、彼ら同様その話題に終始したのであった。

  ところでこの新人君、今年の春に入社したばかりだそうだが、早くも単独で得意先を回れるようになるとはなかなか優秀なのかもしれない。しかし確かによく勉強しているようではあるが、所詮はまだまだひよっ子。通り一遍の概況を話すだけでこれといってめぼしい新情報はない。まあ俺もセットメーカに勤める技術屋のはしくれである。昨今の半導体市況ぐらいは日々チェックしているのだ。新人君はますますヒートアップして話し続けているが、一応は適当に相づちを打って聞くだけは聞いておく。

  そんな俺の態度を察したか、新人君は話をさえぎるようにこんなセリフを言ったのだった。

  「…まあこんなことをハマダさんに話しても、猫に小判ですよねえ。はっはっは」

  それを言うなら釈迦に説法だろうがっ、と突っ込みたいのをぐっとこらえてにこやかに話を聞く俺。これが大人の余裕ってやつですか。それにしても新人君、君はまだ半導体市況のことなんかどうでもいいから、先に国語の勉強をしなさい。

  もしかしてギャグのつもりだったのだろうか。それにしたって猫はないだろ猫は。


08月02日(水)
  ほんとにまあ次から次へとポカスカ打たれやがって。さすが「横浜の花火師」の異名は伊達じゃないな、川村丈夫。

  通勤のため毎日同じ道を同じ時間帯に車で走っていると、いろいろな発見がある。たとえば毎日必ず同じ頃にすれ違う、自転車で駅に向かうおばちゃん。この交差点の赤信号につかまった場合は、少しスピードを上げると次の交差点はなんとかやり過ごせる信号のタイミング。判で押したように九時四十七分になると角のコンビニから飛び出してくる運送トラック。まあ発見といよりはうほどたいそうなものではないか。

  そんななかに一人の妙齢の女性がいるのであった。私鉄の踏切を越え、十字路になった交差点を二つ過ぎた細い二車線道路でいつもすれ違う赤いホンダ・アコードワゴン。年の頃は三十前後といったところだろうか。これから仕事へ向かうのか、あるいは夫を駅まで送った帰りか。フロントガラス越しにちらりとのぞく上品そうな顔立ち。綺麗に後にまとめられた黒髪。そしていつも少し微笑んでいるような、それでいて意志の強さを感じさせるようなきりっと締まった口元に、俺は静かに胸焦がしていたのである。

  ところが今朝すれ違ったアコードの君の鼻には、深々と刺さっていたのである。ずっぽりと。右手人差し指が。第二関節付近まで。
  百年の恋も一瞬で冷めるとはこのことか。ほじるなよ、鼻。


08月01日(火)
  今日から八月。早いもんだ。

  ジョギングを再開してから約一ヶ月。だいたい週に三日ほど定期的に走り込んでいるおかげで、基本的な「走る」という運動感覚を体が思い出した頃合いだ。最初の頃はコースの半分を過ぎたあたりから切れ切れになっていた呼吸も、最近では慣れるにしたがってほとんど息が上がることはない。タイム的にはそこそこ平凡ではあるが、コース全般を一定のスピードで走りきるリズムも思い出してきた。今後もこの調子でタイムを追い込むことよりも徐々に距離を伸ばすことに主眼をおき、出来るだけ継続して続けたいものだ。

  しかし走り始めから一ヶ月である。そろそろ疲れが出てくる時期である。特に始めの頃のオーバーペースがたたったのか、先週ごろから痛み出した膝裏痛がどうにも引かないのだ。昨日からは何故か背筋痛もするようになった。ううむ、まだちょっとペースが早すぎるのかなあ。走っていてもなお相変わらずの寝不足が負担をかけているのか。

  「んなことどーでもいいから早く俺を休ませろ」という体からのサインなのやもしれん。ということで本日は唐突に終了するのである。あー寝よ寝よ。


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