みくだり日記    2000年11月前半
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11月15日(水)
  十日ほど前に左臀部上部に出来た吹き出物。最初は気にもとめなかったのだが、処置が悪かったのかいつしか赤黒く化膿して腫れてしこりとなり、開いた口から膿まで出るほど悪化してしまった。ここまでくると消毒液と絆創膏によるだましだましの対処療法では一向に治癒しない。どうにもこのままでは回復の見込みはない。ということで、仕方なく今日は病院へと行って来たのだった。

  受付を済ませ、長椅子でしばらく待っていると名前を呼ばれて診察室へ。担当医は俳優の佐野史郎を若く精悍にしたような、なかなかの男前である。場所が場所だけに、診察するのが女医だったらちょっとどうかと思いあぐねていたのだが、幸いにも杞憂に終わったようだ。佐野史郎の横に立つ看護婦も、故山岡久乃似の鬼婦長系の人。まあ佐野史郎と山岡久乃にだったら、たとえ尻を見せても別に減るもんでもなし、と少しは思える。

「じゃ、患部を見ますのでズボンを脱いでそこに横になってください」
佐野史郎に言われるままに太股近くまでズボンをずり降ろし、いわゆる「半ケツ」状態で診察台にうつぶせで寝そべる。屈辱である。できものが出来た場所がこんなところだったから仕方がないとはいえ、そしてそれを見られる相手が佐野史郎と山岡久乃であるとはいえ、煌々とライトが灯る部屋の中、見ず知らず初対面の人間にこんな格好を強いられるとは、やはり屈辱以外のなにものでもない。

  しばらく俺の桃尻をなで回した佐野史郎は、はたとその手を止め「ああ、これはモウノウエンがちょっとひどいですねえ」と呟いた。モウノウエン、モウノウエン。ええと、それは一体どういう字を書くんだ。「モウ」と「エン」は多分「毛」「炎」だとして、「ノウ」ってなんだ「ノウ」って。と考えている刹那、突然激烈な痛みが俺の臀部を襲った。

  毛嚢炎(もうのうえん)とは、毛穴に侵入した細菌(主に黄色ブドウ球菌)が、毛根部分で繁殖して炎症を起こした病態を指す。一般的にいわゆるこれは「吹き出物」と呼ばれ、陰部、臀部、腋下などにしばしば発症する。多くの場合は自然に膿が排出されて自己治癒するが、しかし時として毛根部分にたまった膿が袋状に肥大化し、細菌の繁殖が止まらずに重症化することもままある。こうなると自然治癒は望めず、切開排膿(メスで切って膿を出す)をしなければならない。メスで切るといっても外科的にはどうということのない、大変簡単な術式ではあるが、しかしそれは医者の立場からはであって、患者の方もそうだとは限らない。なにせこの程度の切開であれば、一般的には無麻酔で行われるからである。

「ぐええええ」
突然襲った激痛に、完全ノーマーク状態だった俺は診察台から飛び上がらんばかりに身をよじった。しかし助手の山岡久乃ががっちりホールド。さすが鬼婦長、手慣れている。
「ちょ、ちょっと、今何をやってるんですか」涙目で聞く俺。
「ああ、ちょっとメスで切ってますから、もうしばらく我慢してくださいねー」
切ってるっておい、こら。頼むから、頼むからそういうことは先に言ってくれ佐野史郎。

  地獄の激痛がようやく遠のき、切開術はやっと終わったようだ。痛みに耐えるために診察台の縁をがっちりと握った手には、すでに握力がない。荒い呼吸。じっとりと粘りつく額の汗。なんなんだ。なんなんだ一体これは。俺の尻に、貴様ら何をやっているのだ。しばらくのインターバルをおき、カチャカチャと器具を動かす音がしたと思うと、脳天を突くような激痛が、再び。

「ぎいええええ」
「ちょっとで終わるから我慢してねー」
「こ、今度はなにを」
「ああ今はねー、傷口にガーゼ入れてるから」

  患部を切開して膿を出したあと、そのままにしておくと時として再び細菌が繁殖し、さらに膿がたまることがある。それを防ぐために殺菌・消炎効果のある薬品を浸したガーゼを、切開した開口部から患部に挿入するのである。

「ああほら、力入れるとなかなかガーゼが入らないから楽にしてー」
できるか、そんなもん。

  意識がなりかけるほどの痛みに耐え、ようやく全ての処置は終了した。半ケツ丸出しでぐったりと診察台に寝そべる姿は、情けなくってとても親に見せられるものではないが、今となってはそんなことはどうでもいい。

「じゃあ入れたガーゼを取り出すので、明日また来てください」
ええっ、治療はこれで終わりじゃないの?と一瞬思ったが、言われてみれば患部に入れたガーゼをそのままにしておくわけにもいかんか。しかしガーゼを取り出すってことは、またあの激痛を我慢しなきゃならんのだろうか。

「大丈夫。明日は痛くないですからたぶん
本当だな。信じていいんだな佐野史郎。それに語尾。語尾をはっきり言え。「たぶん」ってなんだよ「たぶん」って。

  しかしえらい目にあった。まさかたかが吹き出物でこんなことになるとは思いもよらなかった。死ぬかと思ったとはこのことだ。

  と、ここまで書いたところで席を立ち、トイレで小用をたしたら、尿が妙に赤っぽいのである。うおおっ、血尿だ。毛嚢炎の次は腎臓がやられたか。血尿が出るということは急性腎炎か、腎盂炎か、まさかガンじゃ。と、非常に焦ったが、そういえば病院でもらった薬のうち、「セフゾン」という細菌による感染症を治療する薬剤の効能書きに「赤みがかかった尿が出ることがある」と書いてあったことを思い出した。ということはこれは薬のせいだったか。やれやれ、驚かせやがる。

  ちなみにその効能書きには追記として、鉄分を多く含む食品を摂取すると大きい方も赤みがかかる、とある。赤い便。なるほど、それは興味深い。こんな機会は滅多にないことだし、そうとなれば明日の晩飯にニラレバ炒めでも食って、一発赤いのを出してみようと思う。


11月14日(火)
  朝、死ぬ気で起きる。俺だってやれば出来る。

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  今日は朝から某所にある電波暗室に外出。電波暗室とは、電磁波的(狭義に電波)に外部と隔離されたシールドルームのことで、テレビや無線、携帯電話など、大気中に乱れ飛んでいる様々な電磁波の侵入を分厚い鉄の壁でシャットアウトした特殊な実験施設である。ここは主に EMC(Electro Magnetic Compatibility:電磁両立性)といって、端的に言えば電子機器が余計な電磁波を出していないか、あるいは外部から電磁波を受けて誤動作しないかを調べるところである。

  携帯電話に代表される様々な電磁波を放出する電子機器が一般に出回るようになった昨今、そうした電子機器間が出す電磁波によって他の電子機器が誤動作してしまう「電磁波干渉」が大きな問題になっている。よく駅のホームや電車の中などで、心臓ペースメーカが誤動作するから混雑した車内では携帯電話を使うな、というアナウンスを聞いたことがあると思うが、あれも電磁波干渉による問題の一例である。そういうことが起こらないように、電子機器を発売する前にはこうして電磁波干渉の特性を測定する必要があるのだ。そこで電波暗室の登場である。外部から電波的に隔離された環境で、電子機器から出てくる電磁波を測定したり、外から電磁波を浴びさせて誤動作しないかチェックするのである。

  ということで電波暗室だ。自称電波系の人も、ここにくればただの人。


11月13日(月)
  ここのところ、どうにも臀部が痛くて大変なのである。どう大変かというと、ええと、詳細は後日ということで。ちなみに痔ではない。ないったらない。

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  明日は所用により普段に比べて一時間半も早く起床しなければならない。ううむ、仕事だからしょうがないとはいえ、それは早い。早すぎる。ということで、本来ならそれに備えてとっとと寝てしまいたいところだ。しかし固定的なリズムでがっちりと嵌っている俺の生活サイクルは、こんな時間になっても己の体を睡眠状態に向かわせることを完全に拒否している。時計を見るともうすぐ夜の三時。ぱっちり目がさえてしまって一向に眠くならないのである。

  もっとも一日会社で働いて体はそれなりに疲れている。きっと寝床に入ってしまえば、そのまま一気に眠ってしまって朝までぐっすりなのは間違いない。しかし肉体はそうであっても、頭の片隅のどこかに、まだこんな時間なのに寝てしまうのがもったいないという、一種の強迫観念のような意識がある。まあ今日だって結局帰宅したのは日付が変わったあとだったから、風呂に入って Web をちょろっと巡回してそのまま寝る、じゃあまりにも自分の自由な時間が短すぎて寂しい気はするのは確かである。

  しかしやはりものには限度というものがある。いくらなんでも毎日こんな夜更かししてちゃ、我ながらどうかと思う。でも実際のところ全然眠くならないのだから、これはこれで仕方がないのもまた事実。ううむ、こういうのも一種の睡眠障害なのだろうか。昼間は眠くてたまらんくせに。

  まあ根本のところは、毎日もうちょっと早く家に帰ってくるべきだ、ということか。


11月12日(日)
  今日の夕食は今シーズン初の鍋。グリルパンに水を浸し、出汁用の昆布を中に入れて電源スイッチオン。一煮立ちしたら、ネギに白菜、鱈の切り身に鮭、鶏肉、春菊、それからキノコの類を適当にグリルパンにぶち込んで、静かに座して待つ。あとはひたすら煮えるのを待ちながらビールを飲むのだ。ひとしきり煮えたら鍋の火を少し弱くし、お玉で具をがっぽりと椀にすくい取る。煮えたぎった椀から立ち上る湯気で、まるでメガネクリンビューを使っていない月の家円鏡のようにメガネが猛烈に曇りまくり視界はほとんどゼロ状態になるが、そんことは大した問題ではない。今見た椀の中身の残像を頼りに具の在処(と思われる場所)を箸でつつき、箸先にヒットした物体をどんどん口の中に放り入れていく。熱い。煮立ったばかりの具は、特に水分を多量に含み熱容量の大きい豆腐なんかは死ぬほど熱い。けど美味い。ああ鍋最高。鍋万歳。日本人に生まれたことを心より感謝する数少ない一瞬である。

  でもインディカ米は、粘り気がなくておじやにするには全然合わないということを強調して付け足しておきたい。


11月11日(土)
  どうにも今週は眠くて仕方がなかったのだった。まあ睡眠不足は慢性状態で、いつも眠いと言えばそれまでなのだが、それにしたって異常な眠さ。昼間に会社でモニタを見つめている時なぞはもちろんのこと、少しエキサイトした会議の途中でふっと考え事をした途端に意識が飛んでいくような始末。そろそろ寒さもきつくなってきて、フロアの空調が冷房から暖房に切り替わっているから、眠さに拍車をかける気温になっていると言えばそうなのだが。やはり風邪気味で弱り加減になっているから、体が睡眠を欲しているのかもしれない。

  ということで、今週末も寝て暮らすのだ。


11月10日(金)
  それにしてもアメリカの大統領選ってのはエンタテインメントである。わざわざエンタテインメントにするがために、選挙人を選挙するなんて七面倒くさい複雑な仕組みを考え出したのではないかと思うほどだ。しかしまあこれぐらいエキサイトするなら、日本の首相選びもこうやって国民投票で決められるようにすれば面白いと思う。まあ日本の場合全てを国民の投票で決めてしまうと、本来の意味での選挙ではなくて単なる人気投票で終わってしまう可能性はあるかもしれないけれど、どうせ政治家にやらせていても「人気投票」という意味では同じようなものだし、どうせやるなら国民総参加のエンタテインメントにしてしまえばいい。

  しかし確かに両候補とも、政策にしろキャラクタにしろ、これといった特徴を打ち出せないではいたものの、まさかこれほどの接戦になるとはなあ。このままいくとフロリダ地区の残りわずか数百票や海外在住者の投票で雌雄が決してしまいそうだが、ここまでの接戦になると既に開票が終わったところの信憑性が問題になるのでは。

  そういえば東千代之介氏が亡くなったそうだ。東千代之介というと「バトルフィーバー J」の倉間鉄山将軍を思い出す。さすが本職のド迫力の殺陣姿が、子供心にめちゃめちゃ格好良く思ったのも懐かしい。謹んで冥福を祈りたい私だが、しかしブラウン管から時代劇が影を潜めるようになると、ああいう芸を持った人もだんだん少なくなっていくのだろうか。なんだか寂しい。


11月09日(木)
  西高東低の冬型の気圧配置により今日はかなりの冷え込みだ。うう、寒いのは嫌いだ。こうも寒いとなんだか何に対してもやる気がなくなる。まあやる気がないのは今に始まったことではないが、しかしどうしてホモ・サピエンスは冬眠するように体が出来てないんでしょうか。

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  石器発見捏造疑惑(自白したから疑惑じゃないか)。藤村某のしたことは確かに許されることではないが、どうして今まで表沙汰にならなかったのかがよくわからない。考古学も科学の一種である以上、ある発見に対する第三者の検証が不可欠でかつ最も重要であるはず。なのにそういうプロセスがすっぽり抜け落ち、「石器が出たぞ」「そりゃ素晴らしい!」で万事がまかり通ってしまうのが、考古学という世界なのだろうか。もしそうだとするならなるほど、グラハム・ハンコックなんてトンデモものがはびこるのはわかるような気はするけれど。

  ところで聞くところによると、藤村某が発掘した石器を撤去する博物館があいついでいるそうだ。まあこんなことになってしまって本物か偽物なのかわかりもしないものを撤去してしまうのも人情的にはわからなくもないけど、でもどうせなら「これがフェイクの石器だ」とかいって目玉展示物扱いにした方が人を呼べると思う。ギャラリー・フェイクか、それは。


11月08日(水)
  結局今朝になってもかみさんの病状は好転することなく、あいかわらず摂氏三十八度ほどの発熱があった。こうも連日高熱が続くと、そろそろ体力的にも限界が近づきつつある。ということで、今日は午前中会社を休んで、かみさんを連れて近所の内科医の門を叩いた。

  訪れた病院はいわゆる地域の町医者で、慢性的な持病の薬をもらいに来ているご老人や、これからシーズンとなるインフルエンザの予防接種を受けに小さな子供を連れたお母さんが何組か、それにかみさん同様流行の風邪にやられぐったりとしている人々などで、待合室はそれなりの盛況。そうと決めていればもう少し早い時間に来たのだが、受付したのが午前中の診療開始からだいぶ時間がたっていたため、待ち行列はそれなりの長さになってしまっている。仕方なく診察の声がかかるまでひたすら待つ。しかし健康人がこういう病人だらけのまっただ中に身を置くと実に場違いというか、なんとなく後ろめたい気分になってしまう。かすかに漂う消毒液の匂いと病院特有のどんよりとした雰囲気で、そこにいるだけで体の具合がおかしくなってきそうだ。

  小一時間ほど待たされた後、ようやく受診。結局診察の結果、扁桃腺が腫れている以外に所見はなく、いわゆる普通の風邪という診断がついた。隣接する薬局で処方してもらった薬を受け取り、かみさんを自宅に送り届けて午後から出勤。

  夜になって帰宅すると、かみさんは熱も下がってすっかり回復していた。処方してもらった薬の中に強力な解熱剤が入っていたらしく、薬を飲んだら二時間ほどで一気に熱が下がったそうだ。もらった薬を医者からもらった薬がわかるで効能を調べてみると、

・ケフラール 細菌などの感染症に対する抗生物質
・ボルタレン 炎症による痛みや腫れを和らげ、熱を下げる
・ゼスラン 抗ヒスタミン作用があり、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎による痒み、アレルギー性鼻炎、気管支喘息等を治療する
・バリターゼ 炎症による痛みや腫れを和らげたり,分泌物や痰をとかして排出しやすくする

ということで、おそらく「ケフラール」の消炎効果で疾患部の炎症が和らげられ、併せて「ボルタレン」の解熱作用によって急激に平温まで体温が下がったと思われる。ううむ、さすがは処方された薬である。強力に効きますなあ。でもあまりに早く熱が下がりすぎて心配にならないでもない。こんなに一気に体温を下げて、逆にそれが体への負担とはならないのだろうか。

  しかしとりあえず熱が下がったことによりだいぶ体は軽くなったようだ。さすがに三日間寝て暮らしただけあってまだ多少のふらつきはあるものの、この調子ならば大事を取って明日もう一日休養すれば完全回復することだろう。

  ということでかみさんはようやく復活しつつあるのだが、ところが今度は俺の方が調子が悪い。病院の待合室の雰囲気に飲まれたからってことはないのだろうけど、一昨日あたりから続いている寒気と頭痛がちょっとだけひどくなったような気がする。ううむ、もしかしたら風邪のウイルスをもらってしまったのだろうか。


11月07日(火)
  かみさん、未だダウン中。昨日から状態はあまり変わらず、体のだるさや鼻水が止まらないようだ。熱も一日中摂氏三十八度付近を行ったり来たりとのこと。発熱しているのは生体防御反応が正常に機能しているということ(体温を上げて免疫システムを活性化させる)で、確かに体はだるいだろうが、しかしある意味では快方に向かっているサインでもある。この程度の発熱であれば、薬で無理に解熱させるよりも自然に任せた方がよかろう。まあ明日の朝まで様子を見て、もしあまり症状が改善されなければ医者に行ってくるか。

  ダブルノックダウンになるわけには行かないので、今日は私も早く寝ます。


11月06日(月)
  朝晩の冷え込みがぐっと増してきた晩秋の昨今。そうした温度変化のせいなのかどうかわからないが、伝え聞くところによるとあちこちで風邪が流行っているらしく、寝不足・摂取栄養素の偏りなど不摂生な生活を送る俺も、こういう季節の変わり目には気をつけなければいかん。

  これまでの経験上、俺はほぼ正確に二年おきに大風邪をひくことがわかっている。これは流行性感冒を引き起こすインフルエンザウイルスの遺伝子変異の周期と、それに対抗する俺の体内免疫システムの防御力との力学的な相関がこの二年というサイクルを生み出すと思われるのだが、やっかいなことに今シーズンはその二年ぶりの当たり年にあたるのだ。確か四年前は現在の住居に引っ越してきた直後だった時で、摂氏四十度近い高体温が一週間ばかり続き、ようやく動けるようになってから行った病院で巨大な点滴を二本も打ち込まれた記憶がある。二年前の時も同様に数日間高熱にうなされて死ぬかと思ったのだった。ううむ、そうだ今年は危険だったのだ。そうとわかれば手洗い、うがいを頻繁に行い、慢性睡眠不足もなんとか改めよう。なんと言っても予防に勝る薬はないのである。

  なんて思いながら会社から帰宅してみると、かみさんが風邪でダウンしていたのだった。そういえば昨日あたりから喉が痛いやら腫れているやらなどと言っていたような気がするなあ。ご多分にもれず、かみさんの職場でも風邪が流行っているそうで、すでに何人かが次々と罹患して会社を休んでいると言っていたのだが、ついにかみさんにお鉢が回ってきてしまったようだ。熱にやられてか、うつろな目と半開きの口が、病人特有の無表情を形作っている。鼓膜温度計測式電子体温計で熱を計ってみると摂氏三十八度也。おお、結構出とるじゃないか。

  ううむ、感冒の魔の手は静かに、しかし確実に俺に近づきつつあるのやもしれん。ミカンでもたんまり食って、今のうちからビタミン C をオーバードープしておこう。


11月05日(日)
  期せずして四連休となってしまったこの連休も、今日で終わりかと思うとなにやら寂しいやら疲れたやら。結局昨日中野に行った以外は、買い物に行ったり某自動車メーカのディーラーを見て回ったりを除いた大半の時間は何するということもなくボーっと過ごしていたのだが、まあたまにはこういうのもいいだろう。次にこれだけ休めるのは年末年始か。確か来年の正月はカレンダーの都合上、うまくすると十連休(12/30〜1/8)になる。年始回りや飲み会なんてのもあるけど、なにせ十日の休みである。死ぬほどぐうたら出来そうだ。

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  相変わらず毎日のようにやってくる SPAM メール。そのほとんどがエロ系サイトの宣伝か、あるいはネズミ講への勧誘の類で、そんなものは見た端から即ゴミ箱行き、完全無視すればいいだけなのだが、しかしこれだけ数が多いと鬱陶しいこと甚だしい。何か良い手だてはないかと思案しているところに、「一般常識研究家」と名乗る人物から「★クイズです★」という subject で一通のメールがやって来た。

では、早速クイズです。
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 Q:人間の体の中で一番大きい細胞は何の細胞でしょう?
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なぞなぞではありません。オチもありません。
知ってそうで知らない!
理系出身の方は簡単すぎてゴメンナサイ!

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 A:答えは後日メールでお送りいたします。
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  ううむ、見ず知らずの人からいきなりクイズと言われても大変困ってしまう。文面を読んで、一瞬何かのトリックかレトリックかと思ったのだけど、「なぞなぞではなくオチもない」と言っているから純粋に「人間の体で一番大きい細胞」を問うているのだろうか。それにしても「知ってそうで知らない!」とか「理系出身の方は簡単すぎてゴメンナサイ!」と、いかにも理系であれば即答できるような書き方だが、しかし「何の細胞でしょう」という問い方がそもそも科学的ではないような気がするなあ。

  まあこれも SPAM メールの一種。なんとなく胡散臭い感じはしないでもないが、でも一番大きい細胞ってなんだろう。褐色脂肪細胞?神経軸索(これは細胞の一部か?)? T 細胞?ううむ、一応俺も理系の端くれのくせにさっぱりわかりません。

  でも「一般常識研究家」さん。答えを知りたいのはやまやまだけど、もうメールで送ってこないでください。勝手に調べます。


11月04日(土)
  今日は中野の某新婚家庭を訪問。用件的にはお宅拝見と、林檎印マシンの大群で構成されている家庭内 LAN 環境に Windows マシンを滑り込ませる、そのセッティングのため。昼頃自宅を出発。当初の予定では、一旦お宅にお邪魔して車をどこかに止めた後、それから電車で新宿に出て西口のカメラ系量販店で Windows マシン用の LAN カードを購入し、再び中野に戻ってセッティング、という段取りだったのだが、幡ヶ谷付近で車両事故があったとかで首都高五号線が環状線との分岐のあたりから大渋滞。しかたなく新宿で降り、どうせ新宿に来たのならと中野宅に連絡して新婚某氏と待ち合わせて、カメラ系量販店へ。

  そして中野に到着。おおこれが新婚家庭かほえーほえーと半口を開けながら昼飯なんぞをご馳走になり、しばしまったりとしたのちセッティング開始。と言っても Windows マシンの PCI スロットに買ってきた LAN カードをぶっ差し、ドライバをインストールして ISDN ルータと接続、あとはブラウザでルータの設定画面を呼び出してプライベートの IP アドレスをルータから DHCP で割り振ってもらうように設定すれば、万事無事終了である。十五分ほどで作業は完。

  晩飯は中野駅にほど近いベトナム料理店へ。生・揚げ春巻き、ベトナム風炒飯、焼きそば、椎茸と青菜の炒め物、鶏肉のパリパリ揚げ、イカとセロリの辛み炒めなどをビールで流し込む。魔窟と呼ばれる中野商店街の探検はまた次回だ。


11月03日(金)
  まったりと、という言葉が似合う連休の一日。生産性は限りなくゼロだけど、こういう無駄に過ごす日もまた人生。

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  FA 権を取得した昨年オフにも他球団への移籍希望を公言し、結局は引き取り手が現れずに残留してしまった横浜ベイスターズの進藤達哉内野手。確か元々阪神タイガースのファンで、しかもドラフト外の入団。ということで、恐らく本人は横浜というチームにほとんど愛着がないだろうとファンの間では囁かれていた。特にここ二年ほどは相次ぐけがや若手の台頭などによりほとんど出番がなかったこともあって、今オフの去就が注目されていた。そしてついに先日、戸叶投手らと一緒にオリックスとの対等トレードが成立した、との球団発表である。ようやく念願の(かどうかは知らぬが)横浜脱出を成功させたわけだ。

  二年前のリーグ優勝を決めるゲームで逆転の決勝打を打ったり、今シーズンの開幕戦ではサヨナラヒットを放ったりと、普段の打率が二割の前半と滅多に打たない低打率の割にはここぞという大事な所で打つ勝負強さや、おそらく球界一と言ってもいいほど上手い芸術的な守備力を持つ進藤は大好きな選手だったので、本人の意思はともかくとして、横浜からいなくなってしまうのは非常に残念である。まあしかしこれも本人の意思。次は神戸で頑張ってほしい。

  ところで横浜というと「マシンガン打線」というぐらい「打撃のチーム」という印象があるが、しかし守備も非常に堅実で隙がなかったことは意外と知られていない。特に駒田、ローズ、進藤、石井琢郎の内野陣は「鉄壁の内野」と呼ばれ、守備力に対して贈られるダイヤモンドグラブ賞をそれぞれが何度も受賞しているぐらいだった。しかし駒田が去りローズも引退し、そして進藤もいなくなったとなると、名手・石井琢郎を除くと内野も外野も全てザルとなりそうな気配が濃厚である。来年はトンネルに次ぐトンネルと、まるで山梨県内の中央自動車道みたいな野球を見る羽目になるんじゃないかと気が気ではない。


11月02日(木)
  朝起きると異常な身体のだるさ。とりあえず午前中は会社を休んで午後から出勤しようと思ったのだが、昼になってもだるさが取れず、結局「体調不良」ってことで一日会社を休んでしまった。しかし「だるい」、と言っても風邪とかそういうのではなく、多分単に昨晩ワインを飲み過ぎたのが原因だ。まあ善意で解釈すれば、これもまた「体調不良」の一種か。なんの善意だか。そういうことでこの週末は期せずして四連休となってしまった。

  午後遅くになってようやく「体調不良」状態から脱し、暇なので何か買い物でもと、ららぽーとへ。雨の平日だからか、さすがに駐車場も店内もガラガラである。土日なんて駐車場に車を入れるだけで一苦労だもんなあ。やっぱりここは平日に来るに限るのだ。

  ということで書籍購入。連休中は活字の世界に生きよう。

  「フェルマータ」(ニコルソン・ベイカー:白水社)
  「タウ・ゼロ」(ポール・アンダースン:創元SF文庫)
  「テレビ消灯時間2」(ナンシー関:文藝春愁)


11月01日(水)
  今日も朝から冷たい雨。予報によると明日も雨らしい。本来どばっと雨が降るべき梅雨時から夏は何故かほとんど降らなかった今年の関東地方だが、秋の声を聞いてからというもの、ずいぶんと雨模様の日が多いような気がする。まああまり極端に特定の時期に雨が多くても少なくても困りものだが、年間を通してみると、結局こうして辻褄が合うように出来ているのかもしれない。

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  会社から帰宅してテレビをだらだら見ていたら、どこかで地震があったとの報。さして大きな地震ではなく、幸い大した被害はなかったようだが、「市内の女性が地震に驚いて部屋の中を走り、そこにいた母親とぶつかったために軽傷」だそうで。気持ちは分かるが、まずは落ち着け、と言ってやりたい。

  ううむ、たまにはテレビのニュースでも見てみると面白いことをやってるもんだ、とテレビを見ながら先週買ったワインを飲む。調子に乗ってまたまた一人でほぼ一本空けてしまい、いつものようにそのまま沈没である。つい最近もこんなことをやってしまったような気がする。ことワインを飲むということについて、「学習する」という概念が俺には備わっていないようだ。

  そういうわけで沈没したまま居間に寝っ転がっていた俺なのだが、かみさんによると、寝言でしきりに「八重洲口を持ってくればいいじゃん」と言っていたそうだ。八重洲口を持ってくる。一体どういうシチュエーションの夢を見ていたのかさっぱり憶えていないが、そんなこと言われても八重洲口ってなあ。そもそも持てないだろうそれは。ううむ、壊れたか、俺。


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