みくだり日記    2000年12月前半
最新のみくだり日記へ
12月15日(金)
  そろそろ十二月も中旬にさしかかるのである。師走も半ばを過ぎ、街はクリスマスムード一色のこの時期。頭の片隅に薄らぼんやりと一つの懸念事項が浮かんでは消える。そろそろである。いい加減やばいのである。年賀状だ。ここらで本腰を入れて書き始めなけりゃならんのである。

  ところで我が家の場合、年賀状の図柄はかみさんに任せてある。絵画やデザインものには何かとうるさいうちのかみさんのこと。どこかの本や年賀状作成ソフトに掲載されているような、よくありがちなお仕着せ、出来合いの年賀状デザインにはあきたらず、全てを自分でやらなければ気が済まないのである。毎年それなりに趣向を凝らした年賀状で一部に好評を博しているようだが、今年もすでに図柄の構想は頭の中に出来上がっているようである。あとはそれを絵として落とすだけだ。

  ということで今夜はペイント系ソフトでデザインに没頭するため PC をかみさんに完全に明け渡し、俺は久しぶりにネットにもつながずにとっとと寝てしまったのだった。きっと明日起きた頃にはデザインのばっちり決まった図柄がすっかり出来上がっているはずだ。それを明日さっそく印刷して、今年こそは年内発送を済ますのだ。

  が、結局図案は出来上がらずじまい。ううむ、やはり今年もだめか。


12月14日(木)
  今日の仕事は一日中ハンダ付けであった。ここのところいろいろ忙しいこともあって、この手の細かいハンダ付け作業は後輩の若い者にやってもらっていたのだが、俺だって性根はハードウェア技術屋である。ハード屋たるもの、やはり基本はハンダゴテを握ってナンボの世界なのだ。ということで昔取った杵柄よろしく、たまには自分でやってみるかとコテを手にしたのだった。

  最近の電子部品は微細化が急速に進み、一昔前に比べると IC はもとより抵抗もコンデンサも大変な小ささになっている。携帯電話や情報機器に代表されるように、電子機器はいつでも「小さく、薄く、軽く」を求められており、機器が小さくなるということは当然その中に入っている部品もさらに小さくしなければならない、という理屈だ。ちなみにチップ抵抗やコンデンサの大きさを表すのに「3216」とか「2010」という表記を用いるのだが、これはそれぞれ「横 3mm×縦 1.6mm」「横 2mm×縦 1mm」という意味である。

  チップ抵抗の場合、その抵抗値を表す数字がチップの表面に書いてある。たとえば 2kΩだったら「202」(20×10の二乗 = 2000 = 2kΩ)、150kΩなら「154」(15×10の四乗 = 150000 = 150kΩ)という具合だ。なにせ縦横 1mm 程度の部品の上に書かれているのだから、当然ながらこの文字は大変小さい。裸眼でなんとか判読できるギリギリのところである。

  ところで多少の個人差はあるものの、一般的に加齢に伴って人間の目は老眼になっていく傾向があり、近くの小さい文字が読みにくくなる。まあそれはそれで仕方がないことなのだが、実はハード屋、特に小さい部品を取り扱うことが多いデジタル系のハードウェア屋にとって、老眼は致命的な障害になる。なにせ細かい作業が出来なくなるのだ。それはハード屋としての実務の半分以上を失うことになるといっても過言ではない(最近はそうでもないかもしれないが)。その試金石として、チップ抵抗の文字が一つの基準となる。これが肉眼で読めなくなった時、第一線から引退を決意する人もいるという。

  ということでハンダ付けをしながら恐る恐る試してみた。読めた。現役引退は、幸いまだまだ先のようである。


12月13日(水)
  いろいろとすったもんだはあったものの、とりあえず NTT が ADSL に本格参入ってこと自体は目出度いことだとは思う。今までも CATV など、それなりの高速インターネット接続環境は存在したが、これはあくまでも地域限定もの。全国にインフラ網をもつ NTT が ADSL サービスを始めることで、ようやくこれで全国どこでも一律に(となるのは時間がかかりそうだが)高速ネット接続環境の恩恵を受けられる土壌ができた。「ブロードバンドで IT 革命を」をスローガンに掲げる森首相も、さぞやお喜びのことだろう。

  しかしちょっと待てと言いたい。NTT が今の今までさんざん宣伝してきたもう一つのサービス、フレッツ ISDN のユーザはいったいどうなる。申し込んでから何ヶ月も待たされた挙げ句、ようやく導入したサービスは接続速度たったの64Kbps ぽっちで月々 四千五百円。これが ADSL なら 1.5Mbps でお値段四千円円也。それならばと ADSL に入り直そうかっていうと、ADSL を利用するにはまずは ISDN 回線を解約して元のアナログ回線に戻す必要があり、それにだって金がかかる始末。わざわざフレッツ ISDN を入れるために ISDN 回線に回線交換した人は、やられ損の取られ損である。それにきっとフレッツ ADSL はフレッツ ISDN を遙かに上回る数の工事予約が殺到するだろうから、またまた延々と待たされること必至だ。なんだかもう、完全にナメられてますぜ ISDN ユーザさん。

  ヨハネ黙示録の中で、子羊が「第七の封印」を解いたときに、鷲が空を飛びながらこうわめくのだ。

  「ああわざわいだ わざわいだ 地に住む人々はわざわいだ」

  NTT という災いの元を解く強力なライバルが、少しでも早く登場してくれることを切に望む。インフラ網の充実度からいうと、「子羊」の本命は電力会社かな。


12月12日(火)
  今日は寒い。会社を出るときに車の外気温計の針がついに零度を下回った。十二月の半ば、季節は冬。比較的暖かい都心はともかくとして、周りに何もない千葉の山の中ならそろそろ氷点下になることがあっても不思議ではないが、しかし寒いのが苦手な俺は「氷点下」と考えるだけで、身体の全ての機能が停止していくような気がしてくる。冬眠したい。真剣に思う。くまプーになりたい。ひたすら蜂蜜を舐めることに全精力を傾ける、あの黄色いクマになりたい。色とりどりの花が咲く暖かい春になるまで、土の中でずっと眠っていたい。たとえ黄疸で肌が黄色くとも、そういうクマに、私はなりたい。本当に黄疸なのかあれは。

  とりあえずは今日は早く寝る、ということだ。


12月11日(月)
  もう先月のことになるので今更書くのも出遅れ感があるのだが、パシフィコ横浜で開催された「ROBODEX2000」はかなりの面白さだったようだ。テレビなどで盛んに報道されたのでご存じの方も多いと思うが、ホンダの ASIMO や 「ウナギ犬」こと SONY の AIBO など、ヒューマノイド型ロボットが多数展示、発表され、「二十一世紀はロボットの時代」というお題目も現実味を帯びてきた感がある。こういうのを見せつけられると、さすがにアトムやドラえもんはまだまだ先だろうけれど、こうした今の技術をもう少しブラッシュアップしていけば、とりあえずガンダムやゲッターロボぐらいだったらなんとかなりそうな気がしてくる。まあ人が乗って操縦するかどうかは別として。

  そんな中、お隣の国、中国でもロボット開発が密かに進んでるようで、先日「長沙国防科学技術大学」が開発した人型ロボットが公開された。その名も「先行者」。ううむ、大昔の SF 小説に登場しそうな、なんとなくレトロな雰囲気が素敵だが、この目と鼻は明らかに機能していないと思われる。まるでお好み焼きをひっくり返すのに使うヘラのような形の手も、いったいどういう意味があるのかよくわからない。「ある程度の言語を理解する」という説明も謎だ。

  しかしこれ、なんだか木人みたいである。まさかプロデュースはジャッキー・チェンか。


12月10日(日)
  ということで、今日は東京ディズニーランド(TDL)に行ってきたのだった。朝五時起きに始まり七時に入場ゲートの行列に並び、そして八時の開園から夜九時まで、それなりに TDL を満喫した一日であった。簡単ではあるが、以下に本日の TDL の様子を紹介したい。

入場ゲート   まずは朝の風景。クリスマスシーズンの日曜日だけあって、開園一時間前の朝七時でこの行列である。このあと開園の八時近くになると待ち行列はさらに伸び、その長さは数百メートルに及ぶ。列の後ろの方に行ってみると、家族にせかされて来てみたものの、このまま本当に入園できるのか疑問の表情を浮かべるお父さん達が目立つ。あとできっと「なんでもっと早く家を出なかったのか」と家族に詰問されるに違いない。そんなこと言ったって昨日だって休日出勤で、たまの日曜ぐらいゆっくり寝てたいのに今朝は死ぬ思いで朝の四時に起きたっていうのに。しかもお前ら車の中でグースカ寝てたくせに。それが言うに事欠いて、なんでそんなこと言われなきゃならんのか。俺の何が悪いんだ。と、お父さんは思っているに違いない。うんうん、わかるぞその気持ち。でも家族はそんな言い訳で許してはくれまい。
  そんな多くの家族連れが並ぶ列を目指して、少しでも他人より早くインパークするべく鬼の形相で JR 舞浜駅からダッシュする人、あまりの寒さと退屈に我慢できずに泣き叫ぶ幼子、仲間との待ち合わせの段取りが上手く行かなかったのか、手にした携帯電話に向かって朝っぱらから怒鳴りちらす人、などなどの光景がブレンドされ、「夢と魔法の王国」の朝は殺伐とした雰囲気の中、静かに厳かに明けていくのだった。
くまプーのハニーハント   今夏オープンした新アトラクション「プーのハニーハント」入り口付近。できたばかりのアトラクションだけあって当然大人気で、一日中待ち行列が途切れることはない。これは朝九時での様子だが、この段階ですでに二百十分待ちとのアナウンスである。たかが皮膚の黄色い食いしん坊のクマが蜂蜜をむさぼり食らう様子を見るためだけに、寒風吹きすさぶ十二月の寒空の下、三時間半もじっと我慢して行列するなど、もはや正気の沙汰とは思えない。
  それにしても今日の TDL は大変な混雑であった。もっともクリスマスのハイ・シーズンで、しかも日曜日ともなれば、混んで当然と言えば当然ではある。ここ数年はちょうどこの時柄に TDL にやって来るのが恒例になっていて、毎年この混雑ぶりを見るにつけ来年こそはもっと違う時期に来ようと決意するのだが、年が明けるとすっかり忘れてしまうのは我ながら困ったものである。そして性懲りもなくまた今年も来てしまった。こと TDL のことになると「学習」という概念が欠落してしまうようである。
ファスト・パス入り口   そんな大混雑を少しでも緩和すべく、TDL が新たに導入したのがこの「ファストパス」である。「ファストパス」とは、アトラクションの前にある発券機にパスポートを差し込むと「ファストパスチケット」が発券され、これに記入されている時間帯であれば、待ち行列に先んじて優先的にアトラクションに入場することが出来る、というシステムである。要するに「合法的な横入り券」というわけだ。
  しかし確かにファストパスをゲットするとほとんど待ち時間なしでアトラクションを楽しむことができるのだが、人気アトラクションの場合、そもそもファストパスをもらうまでに結構な行列に並ばなければならないという、どうにも矛盾した状況も生まれている。また次々とファストパスを使った「横入り組」が割り込んでくるものだから、普通に並んでいる行列(スタンバイ行列と言うらしい)はちっとも進まず、さらに混雑に拍車がかかるという悪循環も発生。このシステム、はたして良いのか悪いのか判断に迷う。
イエロー・ベア・シスターズ   というわけでどこもかしこも大混雑の TDL であるが、そんな喧噪とは相変わらず無縁なのがここ、「魅惑のチキルーム」である。黄疸クマの新アトラクションが三時間半待ちだなんだといっているのに、ここはいつでも待ち時間ゼロ。常時ファストパス状態。もちろん今日も即入場可である。オールウェイズ・ウェルカムってなもんだ。しかも劇場型アトラクションなので、空調がばっちり効いた中、誰憚ることなくゆっくり座ることが出来るのが大変ありがたい。ポリネシアを模した南国ムード一杯の場内は、そこはかとない季節外れ感と閑散とした雰囲気に支配されており、疲れた身体を休めるにはうってつけの場所である。ここで超退屈なプログラムを頭を空にして眺めるも良し、あるいはひたすら睡眠時間に当てるも良し。「夢と魔法の国」の TDL において、ある意味「真の夢の国」とはここのことかもしれない。「カントリー・ベア・ジャンボリー」と「ミッキーマウス・レヴュー」も仲間に入れてあげたいところだ。ちなみにこの「魅惑のチキルーム」は最近プログラムの内容が新しくなったそうだ。そんなこと言われたっていつも寝ている俺が知るか。そんなもん。
  余談だが、この写真の中央左側に写っている「イエロー・ベア・シスターズ」(勝手に命名)、なかなかいい味を出しているように思う。この妙ちくりんな被り物がここまで似合う人達も珍しい。本当は入り口だけを撮影するつもりだったのだが、ファインダに二人の姿が飛び込んできた途端に思わずシャッターを押してしまった。惚れた。
暗雲立ちこめるシンデレラ城   今日は午前中は大変良い天気だったものの、午後になると海から吹く風がどんどん強くなっていった。その風に乗ってやって来た暗雲が上空低く垂れ込め、一瞬ながらも雨が降り出す始末。この黒雲のおかげで、ご覧のように TDL ご自慢のシンデレラ城も、まるで「幽霊屋敷」の様相を呈している。せっかくのクリスマス用デコレーションも台無し。怖。怖。
  ちなみにこの写真を撮影したのはシンデレラ城前のステージで行われるショー「クリスマス・ファンタジー」が始まる直前だったのだが、このあとショーは強風のためあえなく中止を余儀なくされてしまった。まあ我々は去年も同じショーを見たし、そもそもこのショー自体には特に思い入れはないので、始まるちょっと前にここにやって来たのだが、なんでも最前列付近で見るには何時間も前から場所取りしなければならないと聞く。せっかくこのクソ寒い中、冷たく固い地面にもめげずに長時間ひたすら座って待っていた方々。いやあ、まったくもって災難でしたなあ。心からお笑い…いや、ご同情申し上げたい。しかしなあ、止めるなよ風ぐらいで。さしもの世界のアイドル・ミッキーも、東京湾のヘドロくさい風には勝てない、ということか。
クリスマスツリー   ということでクリスマスムード一色に染まった TDL だったわけだが、その最たるものがこのショッピングモール中央にそびえ立つ巨大なクリスマスツリーであろう。木の先っちょが天井に届くぐらいだから、ゆうに十五メートルはあるだろうか。とにかくでかい。ひたすらでかい。と言うか無駄にでかい。ただでさえモールの通路は激混み状態だというのに、こんなバカでかい木なんかおったてやがって、まったく邪魔くさいったらありゃしないのだ。もうちょっと小振りな奴にするか、どうせ作るならこんなモールのど真ん中じゃなくて外にしなさい外に。
  そんな混雑ぶりで出来るだけこの一帯には近づかないようにしていた私だが、実はこの辺りに行きたくないもう一つの理由というのが、この付近ではやたらと写真撮影を頼まれる、ということである。まあ確かにここは絶好の写真ポイントではある。クリスマスである。ツリーである。絵になる。記念になる。でも当たり前だがカメラを操作する人は写真に写ることは出来ない。どうせならみんな一緒に撮りたい。だって記念だもん。クリスマスなんだもん。
  ということでここらをボケッと歩いていると、ほぼ五メートルおきに写真撮影を頼まれることになるのだ。ほんとは早くここから立ち去りたいんだけど、頼まれるとイヤとは言えない俺は全部を引き受ける羽目になる。ほらほら、一番右の人、もうちょっと真ん中によって。じゃ、いいですか。ハイ、チーズ(死語)。シャッターを押す瞬間、悟られないようにレンズの前に指を被らせる技を来年までには修得しておこう、と決意を新たにした私だ。


12月09日(土)
  前回の散髪から早二ヶ月。そろそろ髪の毛が伸び放題になり、いいかげん収集がつかなくなってどうしようかと思っていたところに、今日はかみさんが美容院に行くというので、ついでについていくことにしました。ここのところ散髪というと床屋ばかり。有線放送で演歌がノンストップで流れるおっさんくさい床屋にすっかり慣れきった身体には、コジャレた感じの美容院のドアをくぐるのに少しだけ気恥ずかしさがありましたけれど、たまにはこういうところに来るのもいいかなと思いました。ただ散髪前に仰向けでシャンプーするとき、あまりの頭の重さで首がもげそうになりました。死ぬかと思いました。おしまい。

  ということで今日の日記は手抜きで終わるわけだが、それというのも明日は朝五時起きで TDL に行くのである。朝の五時である。早すぎである。でも少なくとも開園(八時)一時間前にはゲートに並んでいないと、入場制限で入れない可能性があるのである。だから朝の五時起きである。でもやっぱり早いのである。今からだと三時間睡眠である。

  いっそ起きてるか。朝まで。


12月08日(金)
  今日はボーナス支給日。とは言っても、もちろん現金で貰うわけでなはく、ただ明細を渡されただけ。喫煙室でタバコをすっていると、上司が「俺が入社したときはまだ現金でもらっていた」「先輩の給料袋で試しにやってみたら机の上に立った」などという。ああ俺も一度でいいから給料袋を立ててみたいものだ。って、もっともその前に厚みで袋が立つほどの金額をもらわなきゃ話にならんのだが。ううむ、全部千円札なら今でもなんとかなるだろうか。もしそれでもダメならば、支給額の三分の一ほどを硬貨にして袋の内壁にぐるりと配置し、残りの三分の二を紙幣に換えて全てをしっかりと束ね、硬貨のかたまりの中央部分に置く。硬貨を紙幣の台座とするわけだ。普通の封筒程度の大きさの給料袋を、しかも横にした状態で中の硬貨と紙幣をこういう配置にするのはなかなか難しいかもしれないが、それさえクリアできれば多分給料袋は見事に「立つ」状態になるだろう。
  …むなしい考察である。

----------

  二十年前、どこにでもいる平凡な中坊だった俺は、BEATLES マニアの友人から借りてきたレコードをターンテーブルにのせて、買ったばかりのギターを手に来る日も来る日も彼らの曲を練習する毎日だった。すでにその当時からハードな音源を求める気質があったのか、彼らの中期〜後期のメランコリックな代表曲にはほとんど興味がなく(と言うより理解できなかった)、「Twist and shout」や「I saw her standing there」といった、まだ彼らがリバプールのパブにたむろするただの不良だった頃に書かれたバンド初期のロックンロールナンバーばかりを好んでコピーしていた。このほんの少し後に DEEP PURPLE の「Highway star」を聴いて俺の人生はがらりと変わることになるのだが、せいぜい日本の歌謡曲程度しか知らなかった俺をロックへの道へと誘うには、THE BEATLES というバンドは十分に偉大な存在であった。

  ジョン・レノンがニューヨークの路上で狂気に満ちた銃弾に倒れてから二十年。いろいろな意味で世界は変わった。彼が忌み嫌った戦争の大元であるイデオロギー的対立は世情の流れとともに無意味化し、東西冷戦時代はとうの昔に終結した。しかしそんな今でも、人は人を憎み、陵辱し、殺し合う。一つの紛争の種が消えても、また別の諍いが必ず現れる。世界は確かに変わった。だが何も変わっていない。人と人が憎しみあう炎のゆらめきが完全に消え去ることは、きっと永遠にこないだろう。

  「Love & Peace」を掲げ、「想像してごらん」と世界中の人達に語りかけるような音楽で世界を変えようとしたジョン・レノンの試みは、しかし皮肉にも音楽には世界を変えるほどの力がなかったことを逆の意味で証明してしまった。だがたとえそうであったとしても、彼の残した作品の輝きが消え失せてしまうわけではない。


12月07日(木)
  今日はかみさんは友人達と東京ディズニーランド(TDL)へ。クリスマスのハイシーズンということで、TDL は平日でもかなりの人出だそうである。それでもさすがに土日のように入場制限はないようだが、混雑は必至だ。特に新しくできたアトラクション「プーのハニーハント」に入ろうと思ったら、朝一番でインパークして予約チケットをゲットしなけりゃならないらしい。それを見越してかみさん達も朝の七時だか七時半だかに JR 舞浜駅で待ち合わせて開園と同時にインパーク、そして TDL 名物「朝一ダッシュ」を敢行するそうだ。

  年も押しせまり、冬本番間近の舞浜である。ただでさえ気温が低いのに、海からの潮風でさらに体感温度は低かろう。何が悲しくてこのクソ寒いのに朝っぱらからかけっこをしなけりゃならんのか。まったくご苦労なことである。羨ましくなんかない。全然ない。ちっともない。微塵もない。そりゃあクリスマスパレードで チップ&デールがプリティに乱舞する様を見てみたいような気はするが、しかし寒いのはいやだ。それに今日は平日。仕事がある。忙しい。休めない。ああ、でもチップ&デール。くそ。

  昼頃、会社で仕事中の俺に、かみさんの携帯電話からメールが。「今パレードが終わりました。とっても楽しいです」だと。あー楽しいですかそうですか。それは良かったねよござんしたね。ふん。いいもんね。俺だって今週末に行くんだもんね。


12月06日(水)
  俺の中で「淡谷のり子・黒柳徹子・鈴木その子」と言えば「三大・永遠に死なない人」だったのだが、数年前に淡谷のり子が逝き、そしてまた鈴木その子が亡くなった。六十八歳。外見に反して(と言っておこう)実はずいぶんな歳だとは知っていたが、まさかもうすぐ七十に手が届くほどだったとは。人生八十年時代、ちょっと早すぎる気はするけども、それなりに往生と言っていい年齢だろうか。しかしそうなると(勝手に)一人残された黒柳徹子はいったいいつごろ、ということになるのだが、まあそれは不謹慎だからやめておこう。でもあの人、あの髪型のまま平気で二十二世紀まで生き延びているような気がする。
12月05日(火)
  早いものでもう師走。そろそろ年賀状を書かなければならない。しかし面倒くさいことが大嫌いで、そして嫌いなことを後回しにしてしまう性癖の人間が揃っている我が家のことである。年賀状書きなどという面倒くさいことの代表のようなものは、どうしたって始める気になれない。いつもいつも年の瀬ギリギリ押し詰まって、どころか、時には新年が明けてからどうしようもなくなって仕方なく始める、なんてことも一度や二度ではない。

  そんなに嫌ならこんな虚礼事例なぞいっそのことすっぱり止めてしまった方がどんなにか潔く、そして気分もすっきりするような気もするが、そこはほれ、我々だって一応は社会人なのである。いろいろしがらみその他もろもろがあって、なかなかそういうわけにもいかない。中にはこの一通の葉書が生存確認の役目をはたしている例もあり、やはり今年も書くことになるであろう。ああめんどくさ。などと言いながら、すでにインクジェットプリンタ用の年賀ハガキは手に入れていたりするし、あまつさえ年賀状を大量にプリントアウトすることにかこつけて、この機会にプリンタも新調するか、などと邪なことを考える始末。なにがこの機会だかよくわからないが、ともかく準備だけはできているのだ。

  とにかく、ハガキはある。図案もそれなりに考えてある。プリンタも(新しいのが)ある(来週には)。準備だけは万端整っている。さあ、あとは力仕事のみ。ひたすら手を動かすだけの単純作業。バリバリ刷って、とっとと宛名書きをして、今年こそは年内に全ての作業を終わらせるのだ。今年の汚れは今年の内に。それがもっかの目標だ。

  今年も年が明けてから書き始めるに五百カノッサ。


12月04日(月)
  週末に秋葉原で購入し、苦闘の末ノート PC にインストールした PC カーナビソフト「Navin'you Ver.5」を、今日会社までの通勤でさっそく試してみた。と言っても自宅から会社までは距離にして約十キロ、片道ほんの二十分ほどだから、このカーナビソフトの真価を探るには全然物足りないのだが、まあとりあえずはどんなもんなのか、ということでのファースト・インプレッションである。

  で、結論から言うとこれは使える、ということだ。一番心配だった GPS アンテナの「PCQ-GPS3S」も前評判通りの感度で、車のダッシュボードに適当においておくだけで GPS 衛星からの電波をばっちり受けてくれる。電源投入から衛星を捕捉し位置計測を始めるまで少し時間がかかるが(だいたい一〜二分ぐらい)、一度 GPS 衛星を捉えるとその後は安定して位置計測を行ってくれる。位置精度も大変正確で、地図上の位置ずれは最大でも十メートルぐらい。こんなたまごっちみたいな小さなアンテナでちゃんと電波を受けられるのは凄いよなあ。地図の縮尺を最大にしていても、小さな路地の曲がり角をピタリと追随していく様はなかなか感動的だ。まあそれもこれも今年の五月に GPS 信号の SA 解除(それまで意図的に混入させていた位置誤差を解除した)が行われたおかげで位置計測の精度が飛躍的に向上したからなのだが、それでも GPS 信号だけでここまで精度がでるならたいしたものである。

  しかしさすがにビルが密集した市街地や、そもそも電波が届かないトンネルに入ったりすると、とたんに位置計測がストップしてしまう。これは GPS 信号だけを位置計測のよりどころとしている PC ナビの最大の弱点だが、まあこればかりはどうしようもない。最近の車載専用カーナビでは、GPS 衛星からの電波だけでなく車の車速パルスによる速度計測や内蔵ジャイロによる方位計測、FM 多重ビーコンからの位置計測などを駆使して、仮に GPS 信号をロストしてもある程度は自立的に位置計測が出来るようになっている。まあ総額三十万円の専用カーナビと、ソフトとアンテナを合わせて三万円そこそこの安直ナビシステムを比べるのは無理があるが、しかし GPS 信号さえちゃんと捕捉できるなら誤差十メートル程度で位置計測できるのだし、御の字というところだろう。

  まだほんのさわり程度しか使っていないが、とりあえずは「使える」ナビシステムであることがわかった。当分遊べそうである。


12月03日(日)
  昨晩は某宅の鍋パーティーから帰宅した後、さっそく買ってきた PC ナビソフト「Navin'you5」をノート PC にインストールするべく作業を開始した。我が家のノート PC は CD-ROM ドライブが付属していないので、デスクトップ PC とノート PC を LAN で接続し、デスクトップ PC の CD-ROM ドライブからネットワーク経由でインストールすることにした。と言ってもこんなことは簡単至極。普段 CATV インターネット接続で使っているケーブルモデムから LAN ケーブルをはずし、そのままノート PC につないでちょっとネットワークの設定をいじくれば、ピアトゥピア(一対一)でデスクトップ PC とノート PC はつながるのである。

  というはずだったのだが、しかしこれがいくらやってもさっぱりつながらないのであった。「ネットワークコンピュータ」でネットワーク上に接続されている PC を表示させても、お互いにまったく相手を認識しないのである。ケーブルを何度もつなぎ直し、さらに設定を穴が空くほど見直しても、「ネットワークコンピュータ」にはむなしく自分自身が表示されるのみなのである。仕方がないので一度設定を全てチャラにし、ネットワークの設定を一から全部やり直してもみた。しかし状況は全然変わらない。

  ここではたと気づいたのが LAN ケーブルである。そうだよ、ケーブルモデムにつなぐときはストレートケーブルだけど、ハブを使わないで PC どうしを接続するときはクロスケーブルにしなくちゃだめじゃん。で、クロスケーブルに交換したら、もちろんあっさりとつながるのだった。なんだよちきしょー。俺の馬鹿バカ。もちろんいったんつながってデスクトップマシンの CD-ROM ドライブがノート PC から見えるようになれば、インストールなんてあっという間である。ものの十五分で終わってしまった。

  ということで総作業時間約五時間のうち、純粋にアプリのインストールにかかった時間は約十五分で、残り四時間四十五分は全て PC 同士の接続に費やした時間である。時計を見ると朝の五時。こうして休日の朝は、俺の眼下に浅黒いクマを作りつつ静かに明けていくのだった。

----------

  今日も昼から近所に住むかみさんの友人宅へ。本日のお題はウイルス駆除。今回のウイルスも、先月に引き続いてまたしても「PE_MTX.A(TROJ_MTX.A/MATRIX,MTX.A)」である。ううむ、なんだか流行ってますなあ、このウイルス。「PE_MTX.A」は「ワーム系」と呼ばれるタイプのウイルスで、有名どころだと「メリッサ」や「Happy99」などと同種。これらと同様メールを介して次々と伝染していくところが実にいやらしく、そのためにあまり PC やウイルスなどに詳しくない「ライトユーザ」を中心に感染の輪が広がっているのが特徴なようだ。ともかく、仮に親しい友人からのメールであっても、怪しい添付ファイルが送られてきたときは間違っても実行(エクスプローラなどでダブルクリックする)してはいけない。即刻ディスク上から抹殺すべし。

  作業終了後、晩ご飯はまたしても鍋。昨日の寄せ鍋に続いて今日はしゃぶしゃぶである。ウイルス駆除のお礼ということでごちそうになってしまった。二日連続で鍋。なんたる幸せ。なんかウイルスもたまにはいいかも、なんて思ってみたり。


12月02日(土)
  今日は昼から秋葉原。いつもなら車で行くところだが、今日はアキバ放浪の後に某宅で鍋を食することになっている(鍋といえばビールだ)ので、久しぶりに電車で向かう。さすがに週末の午後、しかもボーナス商戦まっただ中とあって、どこの店の中も道路も駅前も、そこもかしこも秋葉原中が大変な人出である。ここのところ秋葉原というと、駐車場の混雑を避けるために午前中に現地に到着し、まだあまり人出のない中をささっと買い物や用事を済ませて昼すぎには帰る、というパターンがほとんどだったから、こんなに混雑した秋葉原というのも久しぶりのような気がする。そういえば昨日から BS ディジタル放送も始まっているんだったよなあ。なんでも BS ディジタル放送が受信できるテレビやチューナーは極端な品薄状態だそうで(メーカが出荷調整をしているという説もある)、ここ秋葉原でもどこも売り切れでなかなか買えないそうだけれど、今日あたりはそういうテレビやチューナーを買う人も混ざっているのだろうか。

  そんなわけで、本日のお買い物リストはこれだ。

  ・ロジテック オプティカル・マウス
  ・Palm m100(PDAマシン)
  ・Sony Navin'you Ver.5(PC 用ナビソフト) + PCQ-GPS3S(GPS アンテナ)
  ・DC/AC コンバータ

  マウスは、自宅のメインマシン用のマウスが先日突然お亡くなりになってしまったため、急遽の代替え用。m100 はかみさんたっての希望で購入。Navin'you と GPS アンテナは、ノート PC でカーナビをやってみようと思い立って購入したもの。当初はそれぞれバラバラに買うつもりだったのだが、T-ZONE ミナミでセット販売(バラで買うより二千円ほど安い)をやっていたので迷わずゲット。DC/AC コンバータは、車のシガーソケットから AC100V を作るアダプタ。もちろん PC ナビをやるためのノート PC 駆動用である。そういえばかみさんは夏頃に買った Windows CE もあるっていうのにさらに Palm なんか必要ないと思うんだけど、まあ俺も PC ナビソフトと GPS アンテナなんて買っちゃってるわけだから、これで双方痛み分けといったところか。何が痛み分けだか。

  全ての買い物を済ませてアキバを後にし、JR 両国駅近くの某宅へ。軽く PC とプリンタの調整をして、鍋パーティーに突入である。土鍋に具を適当に放り込んで、煮上がったところをビールでひたすら胃に流し込む。なんたる幸せ。そういえば最近我が家で鍋というとすっかりグリルパンで行うのが常になってしまっているが、やはり土鍋は風情があっていい。まあしかし、なにより鍋だ。この季節は鍋が一番だ。

  ということで、本日は物欲と食欲を存分に昇華した一日でした。


12月01日(金)
  先日の出張旅費の精算が終わり、総務からお金が返ってきた。どこの会社もそうなのかは知らないが、休日に出張して業務を行った場合は後日その日数分の代休を取るか、業務その他の都合で休みを取らない(取れない)時は、一日一律いくらの休日出勤手当を現金で支給されることになっている。当然俺は後者である。休みになるより金をくれ。まあ本音を言うと現金でもらうよりも、休日出勤扱いになる三日分を年末年始の休みにくっつけて、どーんとどこかに旅行でも、なんてのが本当は理想的なのだが、旅行に行くにも金はかかるし何より正月じゃ今からなんかどこも取れないしで、とりあえず貰えるものは現金化、というところである。

  ということで出張旅費の精算である。都合三日分の休日出勤手当、宿泊費、交通費、ガソリン代、日当その他もろもろ合わせて、しめて約十一万円也。ううむ、結構いったなあ。最初は計算間違いかと思ったが、宿泊費だけでも五万円弱だから全部合わせるとこんなものか。しかしこの財布を使うようになって数年経つけれど、かつてこんな大金をこの中に収めたことがあっただろうか。なんて考えること自体(そしてそれが事実なことも)ちょっと情けないような気もするが、そもそもこれだけの枚数の一万円札を見るのも久しぶりで、それがいま自分の懐に入っていると思うとなんだかドキドキしてしまう。って、たかが十一万でか。ああ小市民。

  それにしても早くこれぐらいの金をいつも財布の中に入れておけるようになりたいものだ。買うか、年末ジャンボ。


|←Back| Home |Next→|