みくだり日記    2001年02月前半
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02月15日(木)
  やたら寒かった昨日よりも今日はさらに冷え込んだ。朝、出かけるとき(午前九時半時)の気温はジャスト零度だった。快晴で放射冷却現象が起きたり、ましてや雪が降っているわけでもないのに(今日は薄曇りだった)この時間でここまで気温が下がるのは珍しい。しかしこの程度ならかわいいものだ。昨日(十五日)の国内アメダス記録を見ると、全国での最低気温記録は北海道陸別でマイナス三十度とのこと。バナナで釘どころか、豆腐で五寸釘でも打てそうである。そんな極限的な寒さを思えば、たかが零度ぐらいで寒がっていては北海道の人達に笑われる。でも寒いものは寒い。

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  実は今度の日曜日から二泊三日でまたもやスキーに行く計画を立てていたのだった。週頭の平日に二日も休むことになるが、この時期になっていれば仕事も大方片づき、それほど無理なく休暇を取れるだろうという算段だった。だがあろうことか、旅行直前の今日になってまたもやトラブル発生だ。解決するには相応の時間が必要となりそうな気配。どうあがいても今週中には片がつきそうにはなさそうである。まったく、どうしてこうまとめて休みを取ろうとするときに限って、いつもいつも難問が降りかかってくるのか。くそう、もしや誰かの嫌がらせか、と被害妄想してしまう。

  しかし困った大変困った。現在までの状況を鑑みるに、先日小惑星に探査機を着陸させた NASA ではないが、日曜日早朝の出発までにトラブルをクリアできる確率は一パーセント以下。ほとんど不可能に近い。こうなったら仕方がない、残念ながらスキーはキャンセルせざるを得なさそうだ。現地までは俺の車でまとまって行くことになっていたが、俺が行けなくなっても移動手段はなんとかなりそうなのが幸いか。

  ああでも俺も行きたいボードに乗りたい。平日のガラガラのゲレンデで死ぬほど滑りまくりたい。どうにかしてこのトラブルを土俵際でうっちゃって白銀の世界へ行きたい。いっそ逃げるかばっくれるか。ううむ、そういうわけにもいかんしなあ。


02月14日(水)
  ここのところちょっと暖かい日が続いていたが、今日はまた寒が戻ってきた。むやみに寒い冬の一日。今日は機械の試験のため一日中恒温槽の中で試験。しかも低温環境下(零度)での作業である。この雪がちらつくクソ寒い日に(密室に籠もっていたので知らなかった)何が悲しくてもっと寒いところにいなけりゃならんのか。そりゃまあ仕事だから仕方がないのだが、冷たい金属で囲まれた寒い部屋の中でガチガチ震えながら霜焼け寸前の赤切れた手をじっと見つめていると、まるで何かの罰ゲームのような気がしてくる。

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  最寄り駅の再開発にあたり、駅周辺地区の区画整理が行われることになった。数年前から始まった駅舎の改築、駅前広場や周辺道路の整備もほぼ終わり、そのついでで、なのかどうかは知らないが、周辺住居の住所表記が変わることになった。我が家もその整理地区に該当し、今週からは新しい住所表記で指し示されることになったのである。現住所に引っ越して丸四年。はじめの頃はそれまで住んでいた住所と現在の旧住所(ややこしい)がちょっと似ていたこともあってよく混同してとまどったものだが、ようやく長期記憶に移行し身についたと思ったところにまた変更とは。

  まあそれでも今度の新しい住所は、今までの「○○市△△***-*」(△は地名、*は番地)から「○○市△△町□丁目**番」というように、比較的システマチックな表記に変わっており、おぼえやすいと言えばおぼえやすい。なぜか郵便番号まで新しくなってしまってまた七桁の暗号のような番号をおぼえなければならないのがちょっとどうかと思うが、通り名ではなく区画がきっちり整理された分かりやすい住所になるなら、長い目で見ればいろいろ都合はいいのかもしれない。

  しかし住所が変わると面倒くさいのが様々な届け出である。さすがに戸籍や住民票などは市役所で勝手にやってくれるそうだからいいとして、各種カードの住所変更、会社への申請、免許証の変更などなど、届けでなければならないものは結構ある。チェックリストでも作って確実にやらないと、どこかに漏れが出そうな気がする。

  もう一つやらなければならないのが友人・知人への通達だ。まったく、どうせなら昨年末にでも新住所に移行してくれていれば年賀状で一気に住所変更のお知らせ代わりできたものを。もっともただでさえ郵便局が大忙しの年末年始に住所が変わったりしたら、配達業務がメチャクチャになるのは目に見えている。おそらくそういう大混乱を防ぐために、あえて年賀状シーズンを避けて年明け後の落ち着いた時期に住所変更を行うことにしたんだろう。しかし住所が変わる側としては、できればこういうことは一度の手間で済ませたかった。まあ最近は友人・知人の類のほとんどはメール・リーチャブルな環境なので、一つ文面を作ればあとは仲間内でやっているいくつかのメーリングリスト宛てにコピー・ペーストして流せばいいし、ML 以外の人たちには一通のメールに cc: か bcc: でメールアドレスを並べて同報メールにしておけばだいたい事足りる。こういう再利用可能なところが電子媒体の利点である。おかげで知らせなければならない人数の割に、実作業的にはかなり楽チンだ。

  問題は今のところほとんどメールが通らない親戚関係である。こちらは仕方がない、昔ながらの「住所が変わりました」ハガキでお知らせしする必要があるのだ。ううむ、これが面倒くさいなあ。文面は PC で適当に作ってプリントアウトすればいいとして、また宛名書きか。年賀状がやっと終わったと思ったのに。当分は旧住所表記でも郵便物などは特に問題なく届けてくれるそうだから、来年の年賀状までこのままでやってしまうという手もあるのだが、どうしたものか。


02月13日(火)
  なんとなく一日早いような気がするのだが、チョコの食い過ぎで腹がもたれてしょうがない(本当)。カカオ含有量の異常に多い奴(八十五パーセント)を調子にのってバクバク食ったからだろうか。ううむ、気持ちが悪い。

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  無人小惑星探査機「ニア・シューメーカー」が小惑星「エロス」への着陸に成功
  エロスは火星と木星との間にある数万個の小惑星の一つ。元々「ニア・シューメーカー」はエロスの周回軌道を回り地形や化学組成などを探査する目的で打ち上げられ、最後はエロスの地表に突入することでその使命を終える予定だった。だがどうせやるならダメもとで、と軟着陸に挑戦することになった。しかし「ニア・シューメーカー」は着陸機として設計された探査機ではないため衝撃に弱い。おそらく成功の確率は一パーセント程度と思われていたようだ。

  が、結果的には見事成功。思ったより相対速度が小さかったことと、地球の千分の一という低重力が幸いらしいが、それにしたって三億キロも離れたところでこんなことをやってのけるんだからとにかく凄い。これで「ニア・シューメーカー」は史上初の小惑星に降り立った探査機になったわけだが、遠い将来宇宙旅行が一般的になった時には、小惑星に初めて降り立った人工天体として宇宙観光の目玉になりそうだ。記念碑とか建ってるかもしれないな。

  ちなみにこの探査機は当初は単に「ニア」という名前だったのだが、もう一つの名である「シューメーカー (Shoemaker)」は、四年前にオーストラリアで交通事故により死去した故ユージン・シューメーカー (Eugene M. Shoemaker) 博士の名にちなむもので、探査機がエロスの周回軌道に乗った後に名付けられた。シューメーカー博士は月や地球のクレーターの研究で知られる著名な地質学者・惑星科学者であり、地球近傍小惑星の捜索でも活躍した。また多くの新彗星を発見したことでも有名で、千九百九十四年に木星に衝突した「シューメーカー・レビー第九彗星」の発見者としても知られる。

  博士はいつか月に立つことを夢見て研究者への道を歩み、かのアポロ計画では地質学者宇宙飛行士の候補となったが、医学的条件から適わなかった。しかし今こうして自分の名を冠する宇宙探査機が、深宇宙の大地に降り立った。きっと草葉の陰から喜んでいるに違いない。


02月12日(月)
  「鬼武者」さらに継続プレイ中。ゲーム時間は四時間あまり(死にまくっているので実際のプレイ時間ははるかに長い)。ここにきてようやく細かい操作にもなれ、キャッチコピーの「空前絶後のバッサリ感」をようやく体感できるようになってきた。そろそろ物語も中盤というところか。今週中にエンディングまでこぎ着けることができるだろうか。無理やもしれんな。

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  「セーラ服とエッフェル塔」(鹿島茂:文藝春秋)読了。
  フランス文学研究者にて古書コレクターとしても名高い著者が、さまざまな疑問について自由自在に想像力を働かせて仮説を立て、考察を重ねていく過程を綴ったのがこの本。この著者言うところの「仮説癖」の赴くままに文章を綴っているのだが、それが実に面白い発想と発見の連続で、軽妙な文章も相まって読み進めていくにつれてわくわくする。例えば SM の縛り方の二つの流れ(亀甲縛りのようなハードタイプとよりソフトなタイプ)の元には陸軍流と海軍流があった、とか、ヴェルサイユやフォンテーヌブローなどパリの宮殿や城にはなぜトイレがないのか(仕方ないので貴族や貴婦人たちは通路やドアの陰でこっそりと用を足していたらしく、おかげでヴェルサイユ猛烈な糞尿の臭いに満ちていた)、どうして自動車雑誌の表紙は常に肌も露わな美女とクルマという取り合わせなのだろうか、あるいは日本人はなぜセーラー服が好きなのか、などなど、どうでもいいようなささいなものから大きなものまで、疑問の発生から仮説立て、検証と、論理的道筋を明示しながら次々と解き明かしていく。

  こう書くとなにやら単なるうんちくものか、と訝る向きもあろうが、この本のもう一つの重要なところは筆者自身が「あとがき」に書いているように、おもしろい本への案内・紹介である、ということである。仮説を立証する道筋で引用される数々の資料、例えば『ナポレオン―人心掌握の天才』、『蛇の道は―団鬼六自伝』などなど、興味深い引用文献を自分も読んでみようかという気になってくる。読書の楽しみ、分からないことを調べてみる楽しみを思い起こさせてくれるのだ。本を読むことによって疑問が生まれ、そしてさらに本を読むことによって仮説をたて、実証していく。まさに本読みの鑑のような人が楽しみながら書いた本である。


02月11日(日)
  連休中日。先週買った「鬼武者」をようやく開始した。操作系が「BIOHAZARD」と同じということで、手慣れたもんだぜちょろいもんよと高をくくっていたが、なかなか手強く、思ったように先に進まない。まあこれぐらい手応えがあった方がやりがいがあるというものだが、ううむ。

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  CD 買った。

  「Warp」JUDY AND MARY
  三月に解散することを公表した JUDY AND MARY の、六枚目にして最後のフルレンスアルバム。JUDY AND MARY というと、デフォルメされたキッチュなロリポップとパンクスの破壊の衝動の合体という、唯一にして無二のオリジナリティ溢れる音楽性を基本とし、何曲もの優れた楽曲をコンスタントに発表して多くのファンを獲得したわけだが、そういう意味では日本で最も成功したパンク・バンドと言えるかもしれない。本アルバムにも往年のブリティッシュ・パンクへのリスペクトを沸々と感じさせるタテノリ・パンキッシュナンバーが収められている。もちろん天才メロディメイカー TAKUYA 氏が綴るメロディアスな楽曲も健在。本作は彼らの最高傑作ではない(と個人的には思う)が、バンドのパーソナリティを存分に発揮した秀作である。

  ああそれにしても解散とは実に惜しい。いわゆる J-POP や和製ロックの九十九パーセントに興味はないが(だから海外物が優れている、ってことが言いたいのではなく、あくまでも好みの問題なので為念)、これでまた数少ない私好みの日本製バンドがいなくなってしまう。まあダラダラと長くやるより引き際はすっぱり潔く、といういかにもな美学ではあるが、残念至極である。結局一度しかライヴを見ることができなかったが、こんなことならもう何回か見ておくべきだった、と後悔する私だ。


02月10日(土)
  世間一般的には今日から三連休であるが、今日も今日とて休日出勤。午前中は大変良い天気だったが、午後になってから雲が多くなり今にも雨が降りだしそう。いっそ土砂降りにでもなれば連休台無しでざまあみろなのにな、なんてネガティヴ方向に思考が空転する。

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  ここのところやたら不具合に見舞われている NTT ドコモの携帯電話。先日の SO502iWM と KO209i、ER209i のバグ騒動も収まりきらぬうちに、今度は Java 機能搭載で鳴り物入りで登場した最新機種 P503i でも致命的なバグが見つかったそうだ。音楽再生機能を持つソニー製端末 SO502iWM の不具合もメール履歴が消えるとかなんとかそれなりにヤバ目のバグだったが、今回の件も電源断→ほとんど全てのデータ消滅という強烈なもの。しかもこのP503iは今の一番の売れ筋であろう機種。その影響たるや相当どでかいと思われる。

  最近じゃケータイにしか電話帳を入れておらず、しかもスケジュール管理までケータイでやっている人が少なくないというらしい。電話帳データなんてある意味その人の一財産であり、非常に大切なパーソナルデータである。それが一瞬にして電子の泡と消え失せてしまうという。例えば「ケータイエディ」などのサードパーティー製の ケータイと PC をリンクするソフトを使ってデータのバックアップを取ってあればまだ救いはあるが、そんな殊勝なことをしている人はほとんどいないだろう。初期化されてまっさらになってしまったケータイを握りしめ、呆然としている顔が目に浮かぶようだ。誰とは言わないが。

  最近の携帯電話はどんどん高機能化が進んでいる。一昔前までは基本的な信号処理などは別としても、ユーザとのインタラクティヴなインターフェース部分はせいぜい電話帳のメモリ管理ぐらいしかなかったのに、今や i-mode に代表されるメールや Web ブライジング機能、はては Java マシンとしてダウンロードした任意のプログラムまで動作することを要求される。高機能化をどんどん押し進めていくと、それはつまり PC 化への道を突き進むことにほかならない。PC の方はより使いやすく便利に、と徐々に家電化の方向へすり寄っているのに対し、その家電の代表であった電話が急激に PC 化の道を進もうとしているわけだ。そして高機能化の代償は、PC の世界ではおなじみのバグ、バグ、そしてバグ。皮肉なものである。

  まあそれはそれとして、これを機会にドコモユーザのみなさん、ドコモなんてヘタレキャリアはすっぱりやめて J-PHONE か au に鞍替えしませんか< NTT ぎらい


02月09日(金)
  ここのところずっと曇りがちだったり、あまつさえ雪が降ったりしてなかなか夕日を拝む機会がなく気がつかなかったのだが、いつの間にかずいぶんと日が延びている。ついこの前までは五時の時報を聞く頃にはすっかり暗くなっていたのに、夕方五時半になっても外はまだかなり明るい。これから先、春分を超え夏至に至るまで、一日ごとに日が延びていく。冬から春へさらに夏、秋へ。再び冬に戻るまで季節は移ろいでいく。それもこれも地球の自転軸が微妙に傾いた状態で太陽のまわりを回っているからである。

  こうした地球の公転や自転は常に一定した運動を永続的に行っているわけではなく、長い目で見るとかなり変動している。自転軸の傾きは公転面に対して現在のところ約二十四度だが、実は止まりかけのコマがそうであるように周期的な首振り運動をしていることがわかっている。この現象は歳差(さいさ)と呼ばれ、地球の形が真の球でなく、やや平たい形をしていることで赤道部分のふくらみに太陽および月の引力が働いて、コマと同じように地球の自転軸がぐるぐると首振り運動を起こすと考えられている。歳差の周期は約二万五千年。コマの動きとしてはあまりに長い期間だが、その長い年月をかけてぐるっと一回りするわけである。

  ところで一回転するのに二万五千年かかるということは、したがってあと一万三千年ほどすると、現在の北半球と南半球の季節はすっかり反対になっていることになる。一万三千年あとに人類が生きながらえているかどうかはわからないが、もし文明がまだあるとしたら、きっとサンタクロースは真夏の海からやってくる陽気なサーファーおやじとして世界中の子供にプレゼントを配っているに違いない。さしずめ相棒のトナカイの代わりはイルカあたりか。

  歳差以外にも、さらに細かく調べると地球の自転軸の傾きが周期的に変化している現象はいくつか見つかっており、約十九年周期の章動やチャンドラー周期と呼ばれる約四百三十日周期の細かい振るえが存在することが知られている。電気の世界では変動しない基準点として「アース」という名称が使われるほど、変わることなく一定の状態でありそうな地球も、意外にあっちへこっちへ動き回って落ち着きがないのである。

  ということでなんだか今日は話が壮大なのかなんなのかよくわからなくなってきたが、要するに言いたいことは、確かに地球はふらふらと落ち着きのない動きをしてはいるが、しかしそれはあくまで巨視的かつ長大な時間軸方向の物差しでみた場合の話、我々レベルにはほとんど関係なく、やはり地球の運動はあくまでも不変で、そして季節は毎年決まって順繰りに訪れるのだ、ということである。つまりは夏の次には秋。続いて冬。そして春。春と言えば花粉。凍てつく冬の次には、また今年もいつものようにあの憂鬱な季節が静に厳かに、しかし確実にやって来るのである。と、強引にまとめてみたのだった。


02月08日(木)
  昨日あたりから臀部が痛いのである。尻が痛いというと思い出すのもおぞましい、いつぞやの「毛嚢炎」であるが、今回はそういう「肉」の痛みではない。尻を構成する骨の先っちょ部分、いわゆる尾てい骨付近に鈍い痛みがあるのである。

  しかしなぜそんなところが痛いのか。誰かに蹴られたとかどこかにぶつかったとか、あるいは何某かの粗相をして尻バットを食らった(詳細は野球部出身者に聞くべし)とか、そういう記憶は全くない。思いめぐらし考えてみるに、これはやはり先週末のスノーボードで何度か転んだ際に痛めたのだと思われる。そういえば調子に乗って滑りまくっていたのはいいが、フロントサイドターンの時に何度か豪快に転んだんだった(つまり尻もちをつくような格好だ)。やはり硬い雪面に何度も激突したダメージは、文字通り俺の尻を痛めつけていたのである。ううむ、その時は全然痛くなかったのだがなあ。今頃になって痛み出すとはどういうことか。

  ということで、またもや尻の痛みに悩まされることになったわけだが、「毛嚢炎」の時と違って普段立ち上がっている時はそう大した痛みでないところがミソだ。尻が痛いのをすっかり忘れて勢いよく椅子に腰かける。自由落下をはるかに超えるマッハのスピードで尾てい骨付近が椅子との接面に激突する瞬間、己の記憶保持能力の無さを呪うことになる。「うごっ」という低い呻きを上げて思わず尻をさする俺。

  「…痔っすか?」と隣の席の後輩 J。
  違う。断じて違う。違うんだけど痛い。じんじんと鬱陶しく、痛い。

  尻が痛いというのは、これがまたなにかとやっかいである。ほぼ一日中椅子に座って過ごす、いわゆるオフィスワーカーな職業の場合は特に辛いものがある。ある意味尻は商売道具、尻が不健康だと仕事にならぬのだ。しかるになんとか痛みの中心部である尾てい骨付近に荷重がかからぬよう、腰を引いたり出したりして座り方を変えてみるが、今一つしっくりこない。ならば横座りならどうだ。最初はいい。しかしだんだん腰が痛くなる。しなを作るその姿勢も、なんだかオカマちゃんみたいで間抜けだ。では尻があたらないように正座だ。足がしびれて泣けてくる。何かの罰ゲームのようだ。それに妙に座高が高くなるのが気になる。見晴らしが良いのがせめてもの救いか。なんの救いにもなりゃせんが。

  ああくそ、どうすりゃいいの。


02月07日(水)
  朝からの雨は、予報通り昼過ぎから雪に変わった。それに伴って気温もぐんぐん下がり、今後の降り方如何によってはこれはまた相当量の積雪になるか、との危惧。しかし結局夕方頃から雨交じりのみぞれに変化し、前回、前々回の降雪時のように積もることなく終わりそうだ。夜半過ぎにはみぞれも止んだ。道路や家の屋根にはには雨と雪が混合したシャーベット状の白いものがうっすらとかぶっている。気温はあいかわらず低い。明日の朝は凍結に悩まされそうだ。そういえば車のワイパーを立ててくるのを忘れた。あれがまた凍ってガラスに張り付くと剥がすのが大変なのだ。明日も引き続き雨とのことだが、ガラスとワイパーブレードの間の氷が雨で溶けていればいいのだけど。

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  ジャイアントパンダは中国の四川省、甘粛省、陝西省などに生息する希少動物である。標高二千〜三千五百メートルの竹林に単独で生活し、主食はタケとタケノコで他に小動物などを食べる。竹をつかむのに適した第六指と呼ばれる「親指状」の突起(種子骨)がある。 食物のほとんどは植物であるが、そのくせ消化器が植物に適応していないので消化率は悪く、一日の大半を採食のために費やす。耳・目の周り、肩から前肢、後肢が黒で他は白い、特徴 のある体を持つ。発情期は三月から五月、妊娠期間は八十〜百八十日。平均して一〜二頭の子どもを産む。産まれたばかりの子どもは、体長十五センチ、体重九十〜百三十グラムと大変未熟である。生獣時の体長は百二十〜百五十センチ、体重は百キロほどになる。平均寿命は二十〜二十五年。現在のところ、千百〜千五百頭が生息していることが確認されている。

  ところでジャイアントパンダは千八百六十九年、フランスのダヴィド神父によって紹介されヨーロッパに一大センセ−ションを巻き起こした。その後の千八百七十年、フランスのエドヴァールがアライグマ科に分類された。しかし千八百九十一年にイギリスのライデッカーが独自の研究の末にクマ科に分類。それ以来分類学上、脊椎動物門、哺乳綱、獣亜綱、食肉目に属する動物であることには間違いないとして、染色体の構造はアライグマに近いが血清はクマに似ているなど不明な点が多く、クマだ、いやアライグマだと、その属性は長い間議論されてきた。だが結局のところどっちつかずという結論に達し、近年はジャイアントパンダ科 Ailuropodidae として独立した科を設けることで一応の決着を見たようである。ちなみに学名は「アイルロポーダ・メラノレウカ」(Ailuropoda melanoleuca)。ネパール語のネガリャー・ポンヤ(竹を食う物)からきていると言われている。そのまんまである。

  いや、パンダ好きなもので。


02月06日(火)
  出勤途中、もうあと少しで会社に到着するという時に突然思い立った。何かとてつもなく大事なものを家に忘れたような気がしてならないのである。ううむ、なんだったか。さっそく持ち物チェックだ。財布、ある。タバコ、ある。ライター、ある。携帯電話、ある。Palm マシン、ある。ハンカチ、ある。うむ、必需品は全部揃っている。完璧である。一分の隙もない。なのになんなんだ、この得体の知れない不安感は。じりじりとした威圧感は。暗い淵に引きずり込まれるような恐怖感は。……うああっ!

  弁当忘れたっす。

  忘れたのがバレるとあとが大変なので、昼休みにダッシュで家に戻って速攻で食ってまた会社に戻ってきたのだった。往復所要時間、約四十分。食事時間、約二分。何やってんだかもう私は。


02月05日(月)
  確率論を語る上で避けて通れない法則の一つに、よく知られている「マーフィーの法則」がある。まあ法則と言ってももちろんこれは半分ジョークであって、別段公的に成文化されているわけではないのだが、「マーフィーの法則」のいうところの「失敗する可能性のあるものは必ず失敗する」という基本原理が示す例は枚挙に暇がない。往々にして、世の悲観的観測は的中するさだめにある。すべからく熱力学第二法則は破綻することなく、やはり世の中エントロピーは一様に増大する傾向にできている。

  ところで「マーフィーの法則」の中の有名な基本法則にこんなのがある。

  「洗車した翌日は雨が降る」

  本日は曇りながらも降雨はなし。俺はエントロピーに勝ったのだ。破れたりマーフィーの法則。恐るるに足らず熱力学第二法則。

  なんか今週の水、木曜日はまた雪みたいですけど。


02月04日(日)
  前回のスキー行は今シーズン初滑りということもあり、体に余計な力が入っていたのか翌日太ももやふくらはぎの筋肉痛に見舞われたのだが、今回は明けて一日過ぎても痛みやだるさはなし。力が抜けてそれなりの滑りができたということか。歳を取ると翌日ではなく二日後に筋肉痛がやってくるというが、明日になってからひどい痛みに襲われたりして。

  昨日は結局一日中雪が降っていたため、雪と泥と道路に撒かれた氷結防止剤がいっしょくたになったものがびっちゃりとへばりついて車がドロドロである。昼飯を食ってから近くのコイン洗車場へ。汚れは大変ひどいが、一度車全体にお湯をかけて泥を浮かせ、そのあと洗車用のシャンプーを少量つけて泡立たせたスポンジで軽くこするだけで簡単に落ちてしまう。水垢が付着することも全くなく、洗った後にタオルで水気を拭くとすっかりピカピカである。それもこれも昨年末に塗装膜のコーティングをやったおかげなのだ。こんなに楽な洗車は久しぶりである。安くはない金をかけただけの効果はあった。

  洗車後、近所のゲームソフト屋で鬼武者を購入。操作性などは「バイオハザード」を踏襲していると聞き、カプコン製アクションゲームマニアの俺としては一応チェックはしていたのだが、金城武を前面に押し出したキャラクタ設定がどうにも鼻につき、今回は見送りと思っていた。しかし店頭でデモ版をプレイしてみたら、敵を刀でバシバシぶった斬る感じがなかなかに爽快である。「空前絶後のバッサリ感」なるキャッチコピーは伊達ではないかもしれない。おおっ、これはおもしろいかも。気がつくとソフトのパッケージを手にしてレジに並んでいた。まあ来月に発売される「バイオハザード コード:ベロニカ」までの繋ぎではあるが、それなりに楽しめそうではある。


02月03日(土)
  本日は今シーズン二回目のスキー行である。場所は前回(一月中旬)と同じく那須ハンターマウンテン。朝三時に起床に四時自宅を出発。途中大宮で同行者をピックアップし、一路東北自動車道を北へ。栃木県佐野市付近でうっすらと夜が明けてきた。良い天気である。二週間前の時は午後から関東地方は大雪になるとの予報で、下手すれば帰りに東北道が閉鎖になるかも、という懸念があったのだが(大雪にはなったが幸い高速が通行止めにはならなかった)、今日はそんな心配は無用である。いやあ、今日は天気が良くて絶好のスキー日よりだよなあ、なんて思いながら西那須野インターで高速を降り、塩原の温泉街を抜けて日塩もみじラインを登っていく。しかし到着したスキー場は、横殴りの雪が荒れ狂う吹雪状態であった。

  山頂までのゴンドラは強風のおかげでストップしているが、減速運転ながらとりあえずリフト動いているので滑り出してはみたものの、視界が悪く大変滑りにくい。せっかく新しいボードにも慣れ、今日はがんがん滑り倒そうと思っていたのにこれだもの。今日の栃木地方は一日晴れだと天気予報で言ってたじゃないか。まあしかし相手は気まぐれな山の天気である。機嫌が悪いときに人間にはどうすることもできない。滑れるだけ御の字として、今日はゆっくり荷重移動の練習でもしよう。

  しかし昼近くになると、雪は相変わらず降り続いているものの強烈な横風は次第に止み、視界もだいぶ広がってきた。朝からストップしたままだったゴンドラがやっと動きだし、リフトも減速をやめて通常運行に戻ったようだ。これからが本番である。ここは山頂付近の傾斜は比較的大きいものの、それに続く中級者用バーンはあっという間に終わってあとはダラダラと緩斜面が続くという構成になっていて、どちらかというと初心者向けの「ヌルい」スキー場なのだが、斜面があまりきつくないぶん基本動作の練習にはもってこいではある。こうした緩斜面気味のゲレンデと、今日は朝から雪が降り続いているため(気温も低いし)ゲレンデの雪質もよく、エッジが効いて曲がりまくる軽快な滑りから、なんだか自分がずいぶんと上手くなったような錯覚に陥る。

  だがそんな気分良い滑りをスポイルするのが、相変わらずゲレンデのど真ん中で座り込んでいるボーダーの連中である。まあ同じボード乗りとして滑りの途中で休憩したい気持ちはわからんでもないが、しかしゲレンデの真ん中でそれをされると邪魔以外のなにものでもない。そういう連中を見つけると、できるだけスピードを上げて接近し、直近でエッジを効かせて雪煙の洗礼をお見舞いしてやる。嫌なオヤジである。でも危ないから端っこに寄れ。

  夕方近くまでたっぷり滑ったのち、今日も帰りに塩原の温泉へ。前回のスキー行で見つけた日帰り温泉施設は、こじんまりとしてはいるが出来たばかりなのかどこも綺麗で清潔。小さいながらも露天やサウナもあり、しかも温泉街からちょっと離れているからか空いているのがいい。スキー帰りに立ち寄るには絶好の温泉である。

  しんしんと降り続く粉雪の中、ゆっくり露天に浸かっていると、渡世の垢が剥がれ落ちていくようだ。これで酒でもあれば最高なのだが(もちろんお盆に乗せて湯に浮かべるのだ)、帰りの運転があるからそうもいかないか。しかし温泉と雪ってどうしてこうもマッチするのか。さっきまで邪魔者だった雪が、露天風呂に入ると粋な風景の小道具に変わる。基本的に雪は嫌いだが、こういうときはまんざらでもないな、という気はする。雪月花よくぞ日本に生まれけり。


02月02日(金)
  昨日から始まったプロ野球各球団のキャンプ。森監督を迎えた新生横浜ベイスターズも、毎年恒例となった沖縄・宜野湾でのキャンプをスタートさせた。波留が右足ふくらはぎ故障で二軍スタートとなるという誤算はあったものの、スロースタートで有名だった投手陣が早くもキャッチャーを座らせて投球練習を始めるなど、例年とは違う気合いの入ったキャンプ初日となったようだ。まあ正直言っていかな名将森監督をもってしても今年もリーグ優勝なんぞ到底無理、それどころか A クラスに入れば御の字という相変わらずの弱小球団ではあるが、せめて全百四十試合を最後までプロとしてやり過ごせる程度の地力をこのキャンプで作ってほしいものだ。

  ところで新聞や週刊誌などで、森監督が妙な作り笑いを振りまきながら得々とコウジ黒酢の効能を語る広告を見た人も多いと思う。そのコウジ酢を何を思ったか監督権限をフルに活用して、キャンプ中の食卓に常に置くことを強制したようだ。コウジ酢である。なんとなく健康に良さそうなのはわかる。しかし自ら CM に出演しているものを、いくらなんでもそれはちょっとどうかと思う。職権乱用じゃないのか。しかしどうせ持ってくるなら飲むだけで一発病に効く酢とか併殺凡打病が治る酢とか、そういうのがあればもう少しまともなチームになるのだが。


02月01日(木)
  …とまあ実はここに至るまでにいろいろ書いてみたのだが、なんとなく今ひとつなのでボツ。しかしダメ出しってあんた何様のつもりかって自分じゃんかいやしかし今日はほんとに書くことがないこりゃあ困った大変困ったまあ所詮日記に何を悩むかと言われればそうなのだがしかしダメ出しする奴がいてそいつがダメっていうんだからダメなんじゃんそれは誰だ俺だけど。ああ。

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  今朝のテレビで、「きいてアロエリーナ」の CM 曲がムーンライダーズの鈴木慶一の作曲だということを知る。そうだったのか。確かにあの字余り気味の不思議なメロディは、氏の仕事と言われればなるほどという気はする。しつこいくらいキャッチーな小林亜星作品とは違った意味で耳に残るメロディだよなあ。ところであの人、年を追うごとにますますきたろうと見分けがつかなくなってきたような。


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