みくだり日記    2002年02月前半
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02月14日(木)
  劇場で映画を見るのはせいぜい年に一、二本程度という、とりたてて映画ファンというわけではない私だが、封切りされたらすぐに見に行こうと待ちわびているのがこれである。いち早く封切られた北欧あたりでは、上映開始初日までに五日間の徹夜組が大挙出たとか、早くも今年のアカデミー賞で最多の十三部門の候補作品なっているとか、海外での評判は上々のようだ。

  ここ日本でも、まもなく始まる上映に合わせてテレビ CM などが流れ始めている。それを見る限りでは SFX をバシバシ使ってかなり凄いことになっているようだ。策に溺れるあまりにストーリーよりも娯楽性重視の単なるヒロイック・アクション映画になってなければいいのだけど、という若干の懸念はあるとしても、原作の持つ緻密に構成された世界観や叙情性を、いったいどうやって映像表現しているのか、大変楽しみである。

  それにしても、基本的に私は音楽や映画のタイトルは「わけのわからんショボい邦題をつけられるぐらいなら、多少長くて分かりにくくても原題を使用するべし」という考えなのだが、やっぱりこれは「指輪物語」だよなあ。


02月12日(火)
  やたらと雨の多い一月中旬から、妙な暖かさの一月下旬、そしてさらに暖かい二月頭を経て、ここ数日はすっかり真冬の寒さに逆戻りである。ダイナミックな気温の変化になんとかついていっているという案配な昨今だが、寒さが戻ってきた頃とほぼ同時期に私の”センサー”が敏感に反応するようになってきた。

  しかし花粉症でなにが困るって、まあ鼻水が止めどもなく出るとか(幸い私は鼻にはあまりこないようだ)目の玉が死ぬほどむず痒いとかも大変困るのだが、車を運転している時に生じる激しいくしゃみ感ほど困ることはない。なにせ高速度での移動中である。くしゃみ自体に関わる動作はほんの短い時間だとしても、そんな一瞬の操作ミスや前方への意識欠落が、取り返しのつかない大事故を起こしかねない。

  しかしどうしたってくしゃみはやって来る。鼻がむずむず。喉がひくひく。あああ来たよ来やがった。いやいや待て待てこんなときは慌てず騒がず、まずは腹筋に力を込め、次に意識を鼻腔付近に集中。奥歯をぐぐっと噛みしめて、咽頭の動きを封じ込めるのだ。ああそれでもダメかダメですかいやいやでもでも諦めるな諦めたら終わりだなにせほれ見ろ前の車との車間距離が今ここでくしゃみなんかしたらゴンゴン追突だああブレーキ踏みやがった集中集中負けるな負けちゃいかんくしゃみなんかに負けちゃいかんぞ我慢がまんがまんが、ぶ、ぶえっくし。

  と、車内一人芸を演じる羽目になる、この季節が私は嫌いだ。


02月11日(月)
  昼過ぎより某氏夫妻が来訪。夫妻は AIBO 購入を検討しているそうで、その参考として我が家の愛犬を視察に訪れたのだった。一通りさわった後は、なんとなく旦那さんの方が購入に前向きのような気がする。「欲しい」オーラが全身に漲っていたような。

  晩飯はうどん。前回までの反省を踏まえ、今回から新たに麺打ち台(ホームセンターで購入した単なる板だが)を導入した甲斐あって、麺打ちから圧延までの作業効率が飛躍的にのび、過去最高傑作の麺を作ることができた。まあまだ麺を打つのはこれで三回目だから、最高傑作もないのだけど。

  しかし麺を茹でる前に打ち粉の小麦粉をちゃんとはらわなかったため、小麦粉が流入してちょっととろみのある茹で汁になってしまったのは失敗である。次回はきちんと小麦粉を除くか、あるいは麺を茹でるのを別鍋にすべきだ。


02月10日(日)
  ソルトレーク冬季五輪が開幕。正にアメリカのアメリカによるアメリカのため“だけ”という趣の開会式には正直辟易したが、まあこのご時世、これも仕方なしですか。オリンピックがプロバガンダに使われるのは今に始まったわけでなし。しかしこのソルトレイクシティって町はモルモン教の総本山だけあって、さすがに清潔そうな街並みだ。面白みがなさそうとも言えるが。行ったことないですけど。

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CD 買った。

「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」 DREAM THEATER
  N.Y.出身のプログレッシヴ・シンフォニック・へヴィ・メタル・バンドの、スタジオ作品としては六作目にあたる最新作。前作 "Metropolis pt 2: Scenes from a Memory" から二年を超える期間を経てのリリースでありながら、その間のライヴ盤リリースやメンバー個々の充実した創作活動のせいかもっと短いスパンで発表されたような感覚を受けるこのアルバムは、なんと二枚組、全百六分、なのに曲数は全部でたったの六曲という超弩級の大作。元々このバンド、というか古今東西プログレ系のバンドというものは、えてして大作志向ではあるけれど、いまどきこんなものを作るのは(そして受け入れられるのは)世界広しといえども彼らしかいないという恐るべき作品である。
  まずは Disk1 には五曲。ここ二作で聴けたキャッチーさを大胆に削ぎ落とし、へヴィかつダーク、アバンギャルドでアグレッシヴな音像は、狂気一歩手前の緊迫感を醸し出している。五人の達人たちが繰り広げる、ある意味やりたい放題の火花散るインタープレイには、「参りました」と思わずスピーカの前で平伏してしまいたくなる。ただそんな激烈プレイ自体から身を震わすほどの凄みは伝わってくるのだが、バンド全体としてのフレーズの妙やアンサンブルの面白さという点では、かつての作品と比較すると「普通++」というところか。もちろんそれでも凄まじいクオリティであることは間違いないのだが。
  そしてもう一枚の Disc2 には、タイトルトラック "Six Degrees of Inner Turbulence" のみを収録。全八章、曲長四十二分強というこのロック史上稀にみる大作は、このバンドがこれまでに見せたことのない一面を垣間見ることのできる壮大なるシンフォニック組曲である。持ち前のモダンなクールさを控えめに、どことなく牧歌的かつメランコリックさを強調しつつ、場面展開するたびに楽曲に別の命を吹き込む様は圧巻の一言。長さが長さだけにまだそれほど聴きこんではないが、聴くたびに新たな発見があり、長大な曲長を意識することなく一気に聴けてしまう。これを入れるために二枚組みになったのだろうけど、たとえ一枚組みでこれ一曲だったとしても俺は買ってるな。

「REBIRTH」 ANGRA
  ブラジル出身、メロディック・トライバル・へヴィ・メタル・バンドの最新作。バンドの顔と言っても過言ではなかったシンガーの脱退と、それに伴うバンド分裂という危機を見事に乗り越えて作られたた感のあるスタジオ四作目である。
  新生 ANGRA が新たに提示した楽曲群は、基本的にはユーロ・スタイルのメロディック・スピード・メタルに、ギター中心のテクニカル&プログレッシヴな香りとパーカッシヴなブラジリアン・テイストが醸し出すワールド・ミュージックの味わいを加味した従来通りの路線で、さらにそこに優美でしなやかなクラシカル・フィーリングをまぶすという技法もしっかり健在。どの曲も非常にクオリティが高いが、特に壮大なオープニングから続く Track2 の極上の流麗さには、久々に涎を流して悶絶してしまいましたよ私は。こういう曲を聴くために日々私は生きているという気がする。大げさですか。
  そうした楽曲の骨格を支える新しいリズム隊も、前任者に負けず劣らず非常にテクニカル。こんなに上手いリズム系ミュージシャンがちゃんと世に出てくるあたりは、さすがラテンとサンバの国だけあるのかも。また新任 Vo. も非常にスムースかつパワフル。声質や歌唱法が前任者と似ているのは意識的なのかもしれないが、文句のつけようのない堂々とした歌いっぷりは素晴らしい。超高音域でしゃっくりみたいなファルセットを多用する前任者の癖がどうしても好きになれなかった私には、新任者の方が好みのタイプ。聴きやすくなって良いですな。

  いやあ、へヴィ・メタルってやっぱりいいもんですね。


02月09日(土)
  私が所属する部署に、今月より新しいボスが赴任することになった。昨晩は歓迎会に参加。そういえば先日は、他部署に移動する人の送別会をやったばかりなのだが、その二週間後に今度は歓迎会か。一期一会とはいうけれど、最近とみに人の出入りが激しい我が職場である。

  一次会がはねたあと、数人と連れ立って久々におねえさんがいる店に。実は基本的にこういうところは苦手とする私である。だいたい歳が十以上離れた若い娘さんと何を話せばいいのか。だが昨晩、たまたま私の横に座ったおねえさんは無類の音楽好きで、まだ十代後半だと思われるのにハードロックからプログレ、ブルーズ、ジャズなど非常に多くの音楽を聞き込んでいるという、およそ飲み屋の娘さんとは思われない筋金入りの音楽マニア。キング・クリムゾンのレコードを持っている飲み屋の娘さんなんて初めて会ったよ。もちろん知識量も半端でない。

  さっそく「宇多田ヒカルが日本音楽シーンにもたらした罪と罰」を皮切りに、「正当 R&B ミュージシャンとその歴史」、「ジャニス・ジョプリンとジミ・ヘンドリックスの共通項と相違点」、「イタリアン・プログレッシヴ・ロックが L'Arc〜en〜Ciel にもたらした影響」などをテーマに、ほとんど酒も飲まずに延々と議論を交わしてしまった。思いがけずになかなか有意義な時間であった。今度来るときは指名しようと思う。え、指名すると別料金かかるの?


02月07日(木)
  早、二月も四分の一が終了し、気がつくと最近はかなり日も長くなってきたのである。夕方、会社の喫煙所の窓から外を眺めつつボーっとタバコを吸っていることが多いのだが、一時と比べるとだんだんと日暮れが遅くなってくるのがよくわかる。一月中は十七時半ぐらいにはすでに真っ暗だったのに、今の時期はまだかなり明るい。ここのところなにやら妙に暖かいのは暖冬のせいだとしても、そろそろ春も近いのだろうか。そういえばあと一ヶ月半で春分だもんな。

  なんて考えながら天気予報を見ると、どうやら来週あたりから冬型の気圧配置が強くなり、さらに北からの寒気が南下しそうな気配である。寒さが戻ってきそうだ。さすがにこのまま一気に暖かくなるほど二月は甘くないか。甘いとか辛いとかいう問題じゃないが。

  それにしても気になるのは今年のスギ花粉の動向である。スギ花粉飛散情報の web ページによると、最盛期には全然及ばないものの、スギ花粉はすでに現在も少なからず飛散しているようだ。まだシーズンが始まったばかりのこんな時期なのに、ここ二、三日は早くも目がしょぼしょぼするぐらい過敏になってしまったのか私は。なんだか年々症状が重くなっている。先が思いやられるのである。


02月05日(火)
  一週間も会社を留守にしていると、知らない間に案件が山盛りになっていて驚く。知らない間と言っても、出張中も会社のサーバに接続して自分のカウント宛のメールを落としていたからその大半は認識していたつもりだったのだが、出張という少しばかりの非日常な環境に身をおくと、人間の脳というやつは短期記憶や状況認識能力に関するパワーを極力セーブする方向にドライヴするらしい。まあ要するに「面倒くさいから後回し」とか「帰ってから考えよう」ということ。そのツケを今、身をもって味わっている私だ。

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  WRC 第二戦は、真冬のスカンジナヴィアで行われたスウェディッシュラリー。例年であれば、雪と氷でコチコチに凍った路面を 200km/h 以上の猛スピードで疾走する超ハイスピードラリーになるはずだったが、地球温暖化の影響なのか、プラス 7 度まで上がった気温で氷がすっかり溶け、路面はマディコンディション。

  そんな最悪の状態でのラリーを制したのは、一昨年の王者マーカス・グロンホルム(プジョー)。もしかしたら今年はコリン・マクレー(フォード)かリチャード・バーンズ(プジョー)の英国人のどちらかかが勝つかも、と予想していたが、終わってみればやはり今年のスウェディッシュも北欧出身のドライバーだったわけだ(グロンホルムはフィンランド出身)。「スカンジンナビアンでなければ勝てない」というジンクスは、これでもう 52 回目だとか。やっぱり地元が圧倒的に有利なんだろうか。それにしてもツボにはまったときのグロンホルムは手がつけられないほど速い。二位のハリ・ロベンパラ(プジョー)とは一分二十四秒差だから、ほぼぶっちぎり状態での勝利である。それもこれも、現役 WR カーで最強とも言われるプジョー 206 WRC というパワーウエポンあってこそなのかもしれないが、去年後半の怒濤の走りを思い出すまでもなく、やっぱりこの人、地力は凄い。

  以下、三位にはあいかわらず安定した走りのカルロス・サインツ(フォード)、四位はコースアウトで一時は十八位まで順位を落としたが、全開に次ぐ全開の鬼神の如くな走りで猛追した昨年の王者リチャード・バーンズ。五位にはアリスター・マクレー(三菱)、六位にはコリン・マクレーと、マクレー兄弟が仲良くランクイン。ちなみに弟のアリスターは兄のマクレーにラリーで勝ったのはこれが初めてだそうで、「兄に勝ったのは子供の頃の自転車以来だ」という和み系のコメントが笑える。天才の兄を持つと、なにかと弟は大変ですな。

  ところで WRC の TV 放送がいよいよ始まる。一発目は 2/10(日) の 25:55〜26:25、日本 TV 系列にて放映される「WRC ラリーダイジェスト <第一戦>〜モンテカルロ〜」がそれだ。日曜日の深夜という、勤め人にはちょっと辛い時間帯だが、興味のある方は是非ともご覧になることをおすすめしたい。というか見なさい。見ろ。


02月03日(日)
  丸一週間にわたった出張から帰還。無事に業務を成功裡に終えることができたのはなによりであった。そんなある意味ではなかなかハードな一週間であったのだが、かみさんは「仕事で出張って言うより経費会社持ちの単なる温泉旅行なんじゃないの?」と言う。けしてそんなことはない。そりゃあ温泉宿に泊まった。朝夕一日なんども露天風呂に浸かったりもした。だがそれは仕事先の近くの便がいいところにたまたま温泉宿があったから宿泊しただけであり、一日仕事し通しで疲れた体を癒すため、地下深くより湧き出る湯に身を委ねただけのことである。すべては仕事のため、そして会社のため。滅私奉公一心不乱に身を粉にして働き、厳命を受けた職務を全うした神聖なる日々を、言うに事欠いて公費乱用の末の温泉旅行などとは、あまりにあんまりな物言いである。

  いやしかし、中川温泉、最高っすよ。変に観光地化せずに適度に鄙びた感じがまたグッドっす。ああ早くまた EMC 測定やりたいっす。


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