みくだり日記    2002年04月後半
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04月29日(月)
  私を雇用する会社は、いわゆるところの製造業という属性で語られる会社であり、つまるところはメーカーである。ギョーカイ(死語ですか)っぽく言うならカーメー。言いませんかそうですか。

  ということで黄金週間である。今年の場合はカレンダーの都合上(と不況の影響もあるのだろうが)、特に製造業種の会社によっては十連休なんていう豪気なところもあるらしい。カーメーである私を雇用する会社も、さすがに十日も連続して休みにはならなかったが、メーデーの五月一日を含んで飛び石の九連休となっている。その飛び石部分が、明日の四月三十日。

  しかし恐らく多くの同僚社員は休みを取るものと思われる。なにせそこを一日休めば豪気な十連休である。よく考えると十日も休みということは、一ヶ月の三分の一が休暇となるわけだ。こんな機会はなかなかない。夏休みも年末年始でもこんなに休めない。なら休みたい。休むべきだ。休め。小さく前に習え。だから休めって。

  そんなわけで、私も当初は休むつもりだったのだが、急遽どうしても外せない打ち合わせが入ってしまい、出勤する羽目になってしまったのだった。もう、誰かの嫌がらせとしか思えない。まあどうせ連休の後半は何日か休日出勤するから、別に一日ぐらい出勤日が増えたってどうということはないんだけどな。


04月25日(木)
  かみさんが突然写真を撮りたい、それも一眼レフで本格的に、と言い出したのだった。何をいきなり言い出すのかと思えばカメラか。話を聞くと、どうやら最近友人が一眼レフカメラを購入し、楽しそうに撮っているのを見て感化されたらしい。我が家には私が大昔に買って愛用しているカメラがあるので、とりあえずそれを貸し渡した。先日の温泉旅行の時も携帯してバシャバシャ撮りまくっていた。

  そのカメラというのが、RICOH XR-500 である。確かセントルイスという漫才コンビ(“田園調布に家が建つ”という黄金ギャグが売り)だったような気がするのだが、「リコーのサンキュッパ」というテレビ CM をおぼえている人もいるかもしれない。その CM 通りに 50mm レンズ付きで 39,800 円という、当時としては画期的な低価格で一世を風靡したカメラである。極限までローコスト化を追求したためか、昨今の一眼レフカメラのようなオートフォーカスや自動露出なんていう甘っちょろいものは当然ない。露出もピントもなにもかも、すべてがマニュアルの完全メカニカル仕様のカメラである。

  とは言え、所詮はサンキュッパ。外観はさすがにチープな感じがしないでもない。しかしダイキャスト成型一発のシンプルな作りだからか、大変頑丈に出来ている。ちなみに私はこのカメラを遥か昔、中学三年の時に買ったのだが、以来二十年間、野に山に旅行にと散々手荒い扱いをしてきたにもかかわらず、全くのノントラブルで今でも完璧に動作する。素晴らしい。一生懸命お小遣いを貯めて買った甲斐があったものである。

  最新式のお手軽一眼レフも良いけれど、やはりこういう完全マニュアルメカニカルシャッター機を使いこなしてこそ、カメラ任せではない写真撮影の本来の面白さがわかるというものだ。かみさんにどこまで使いこなせることができるかはわからないが、頑張って精進してもらいたい。まあ多分最初はピンボケ、露出過不足の写真だらけだろうけど。


04月22日(月)
  一週間ぶりのご無沙汰でございます。

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  で、この間何をしていたかというと、旅行に行っていたのだ。この一年奔走していた仕事が、とにかくもようやく一段落したのが先週の火曜日。最後は若干手こずって、少しだけ力技になってしまったものの、とにかくよく頑張りましたよ私は。ということで自分にご褒美というわけでもないが、こういう時もなかなかないものと、一気に水曜日から週末まで連続休暇を取ったのだった。旅行の行き先は東北・福島。温泉である。

  一泊目にまず向かったのは、箕輪山の北面の鬼面山(おにつらやま)の中腹、標高千二百メートルにある新野地温泉の中の相模屋。ブナの原生林に囲まれた静かな一軒宿で、いい感じで鄙びたところは、正に日本の秘湯という趣である。内風呂は板張りの浴場で、黒光りする床と白濁したお湯のコントラストが対照的な、なんとなく湯治場の雰囲気が漂う。これだけでも十分素晴らしいのだが、なんといってもこの宿は名物の露天風呂がまた良い。野天風呂には湯小屋を出て木道を登っていく。道の脇からは温泉の噴気が濛々と立ちのぼっている。野天風呂には白い湯の花が浮かぶ白濁したお湯が満たされていて、すぐ近くに未だ残る雪渓や、遠くに見える荒い山肌の風景と相まって、実に野趣あふれるというか、まるで地獄の釜のような雰囲気。春先の平日ということで、もちろん宿はガラガラだから、この露天風呂を完全貸し切り状態で浸かることが出来た。

  二日目はまずは喜多方へ。喜多方と言えばまずはラーメンである。関東にも喜多方ラーメンのチェーン店があって、個人的にはあのあっさり味が好みなのだが、一度本場の味を確かめてみたかったのだった。事前にネットであれこれ検索して、訪れた店は「食堂なまえ」。煮干し出汁のきいた黄金色のスープはやや薄味なれど、適度な塩気とコクが大変美味しい。まるでうどんのような極太縮れ麺には少々驚いたが、モチモチした食感がこれまた良い。ちなみに喜多方ラーメンにはこんなページがあるので、行かれる方は参考に。

  ラーメンを食した後は、会津西街道を日光方面に南下。福島の山間部では、ちょうど桜が満開の季節だった。街道に沿って流れる鬼怒川支流の男鹿川べりには、満開の桜並木が点々と続く。暖冬のおかげもあって、関東ではずいぶん前に散ってしまった桜をこんなところでまた見ることができるとは思わなかった。民家の軒先に泳ぐ鯉のぼりと満開の桜が、関東人としてはなんとなくミスマッチに思えて面白い。二日目は湯西川温泉のこちらに泊。しかしこんなところにも平家落ち武者の里があったとは知らなかった。かの人達はいろんなところに逃げのびたんですなあ。

  三日目は会津西街道をさらに南下して日光へ。実は私、小学校の修学旅行前日に風邪をひいて休むという忌まわしい過去からこれまで、まるで避けるように日光とは縁がなく、訪れるのはこれが初めてなのだった。ああ憧れの日光。発熱で朦朧とした意識の中、涙を流して悔しんだ日光旅行。男体山が、中禅寺湖が、戦場ヶ原が、いろは坂のお猿軍団が、俺を呼んでいる。あの悲しみを乗り越える時が、いまやって来たのだ。と意気込んで出かけてみたのだが、時間の関係から、とりあえずいろは坂を登り切った中禅寺湖にて蕎麦を食って帰路に。日光巡りは、また次回である。

  ということで東北への旅も終わり、今日からまた通常勤務である。そういえばもう間もなく黄金週間だった。


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