みくだり日記    2002年06月後半
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06月25日(火)
  昨日は神奈川県川崎の某所に朝から外出だった。なにやら珍しくにわかに外出づいている私だが、今回は地理的に微妙なところである。なにせ場所は自宅から中途半端に遠い川崎。都内を越え、多摩川を渡った先となると、朝は若干遅めの時間で良いとは言え、自宅から向かうとなると都合二時間弱の遠路であった。電車嫌いの私ならずとも、さすがにちょっと辛いものがある。ううむ困ったどうしよう、と某所の所在をよく考えてみると、そこは第三京浜の川崎 IC からすぐの場所。実家からなら車でものの二十分もかからない。ということで日曜日は実家に泊し、翌月曜日は車で現地に向かう算段をとったのだった。

  そんなわけで日曜日の夕方、実家にて久々に母親の作る料理を味わいながらまったりと過ごしていたのであったが、他愛のない近況などを話しているうちに、やはりこの時期、出てくる話題は自ずとあれである。なにせテレビや新聞はもちろん、世間はその話題一色だ。しかも実家は競技が行われる施設の地元ということもある。

  だができればその話題は避けたかった。というのも我が親父殿、横浜競技場のすぐ横にある施設のプールで泳ぐのを日課にしている(毎日二キロ泳いでいるらしい)。しかしここ一ヶ月あまり、あの某イベントのおかげで地域周辺はずいぶんなことになっているらしく、なかなかいつも通り車で気軽に、というわけにはいかないようだ。

  たぶん怒っている。かなり面白くないと思っている。ブチ切れる寸前まで来ている。俺にはわかる。手に取るようにわかる。それまでほとんど喋らなかった親父が、普段の凶悪な顔をさらに歪ませ、吐き捨てるように語りだした。

  「まったく、あの糞ったれのおかげでよ」
  やはり怒っている。案の定ご立腹である。だからいやだったんだよ、この話題。

  「道路は滅茶苦茶混むし、頭の悪そうな奴らがそこらにいっぱいいるしよ」
  なにせ何万人も集まるイベントなんですから、そりゃまあ道路も混むでしょうし、中には頭のイカれたのだっているでしょう。と言うか、そもそもわざわざそういう時に新横浜に近づかなくとも。

  「おまけにあのクソ馬鹿野郎ども、平気で道路にはみ出て歩くはゴミはポイポイそこらに捨てやがってよ」
  でもほら、フーリガンだかなんだか、そういう騒動はなかったわけで、それで良しとして、って、ね。うん。そうそう。

  「どうにかしろよ馬鹿野郎!」
  「す、すいません

  ですから、そんなこと私に言われても。親父に怒鳴られると脊髄反射的に謝ってしまう俺も情けないが。

  興行終了までやっとあと一週間。よせばいいのに決勝は新横浜で行われるらしい。どこが勝とうが負けようが知ったことではないが、どうでもいいから早く終わってくれよ馬鹿野郎。


06月20日(木)
  今日は朝から恵比寿の某企業にて打ち合わせ。家を出るときはなんとか持ち堪えていたが、案の定午後から雨。時節柄、雨が降る確率が高いのは仕方がないとしても、どうしてこう、たまの外出の時は雨ばっかりなのか。

  ちなみに私がこうして他企業と打ち合わせに行くときは、ほとんどの場合クライアント、つまりは相手にとってお客さんとしての立場である。したがって私のようなぺーぺーの技術系平社員であっても、実に丁重な対応をされる。たまたま仕事を依頼する側の担当者であるというだけであって、私なぞちっとも偉くもないのだが、身分不相応の馬鹿丁寧な対応をされると、なんとなくこそばゆい感じがしてしまう。小市民である。

  そんな見せかけの御大尽な立場であるから、今日のように打ち合わせが一日に渡る場合などはお昼をご馳走になることも多い。今日は会社近くのこ洒落たイタリアンレストランで豪勢なランチをご馳走になってしまった。こんなところ、おそらく個人では二度とこないだろう。役得である。そういえば前回の訪問時は中華だった。できれば次は寿司が良い。リクエストしてみるか。


06月17日(月)
  上下左右の親不知に加えて奥歯の一本と、計五本の虫歯の治療を先月来より行っている私である。治療はまず奥歯の虫歯から始まり、先週までに患部を削るところまでは終了しているのだが、このあと歯冠部に被せ物をするにあたり、どうしてもその奥の親不知が邪魔になる、との歯医者の弁であった。どうせやるならここで一発、ズバッとこいつを抜いておきましょう。何がズバッとなのかよく分からないが、その親不知抜歯第一段の X-day が、先週土曜日についにやって来てしまったのだった。

  なにせ抜歯である。親不知である。「親不知」「抜歯」をキーワードに Web で調べてみると、まああるわあるわ、曰く「奥歯は麻酔がよく効かず死ぬほど痛い」だの「術後、尋常じゃなく腫れた」だの「三日三晩熱が出て酷い目にあった」だの、術前者を不安のどん底に陥れるような悲惨なページがたくさんある。おろろーん。

  されどたかが抜歯の歯科治療、何も命まで取られるわけであるまい。そりゃあ怖い。とても嫌だ。だが痛いのは一瞬、腫れるのもきっと一瞬。男なら覚悟を決めて玉砕してくれるわ。玉砕してどうする。

  しかしそんな私の決死の覚悟も、実にあっさりとうち破られるのだった。麻酔注射ののち、なにやら恐ろしげな器具(詳細不明:怖くて見ることができない)で口中をゴリゴリやられることわずか数分。

  「はい、終わりましたよー」
  「は、はひ?(麻酔がかかってうまく喋れない)」
  「いや、だから終わり」
  「も、もふほわりっふか(も、もう終わりっすか)?」
  「いやあ、簡単に抜けましたよ。シュポッと」
  「しゅほっほれふか(シュポッとですか)」
  「シュポッとです」
  「しゅほ(シュポ)」
  「シュポ」

  ということで、どんなに痛い思いをするのかと戦々恐々だった親不知抜歯であるが、実にあっさり、あっけなく終わってしまったのだった。

  その後も抜歯した土曜日ですら若干疼く程度でほとんど痛みも腫れもなく、二日たった現在(月曜夜)ではほぼいつも通りに咀嚼ができるまでに回復した。抜歯の際、少しだけ歯茎を切ったようで、縫合の糸が入った状態ではあるが、抜糸する今週の土曜日までにはすっかり傷口もふさがると思われる。

  いやあ、こんなもんですか。残る親不知は三本。ふん。どこからでもかかってきなさい。親不知、恐るるに足らず。今だから言えるのだが。


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