みくだり日記    2003年02月後半
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02月27日(木)
  「警告:あなたの健康と雇用環境を害する恐れがあるので、会社での過度の私用メールは控えるようにしましょう」

  って、うちのサイトなんか見てないですかそうですか。まあどうでもいいんですけど。

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  「始祖鳥記」(飯島和一著:小学館文庫)読了。
  今から約二百年前の江戸時代は天明の時代、大飢饉が続く中、それを少しも改善しようとしない悪政がはびこる暗黒期に、まるで庶民の夢を体現するかのごとく人力飛行機製作にのめりこんで大空を目指した一人の奇人が存在した。彼の名は「備前屋幸吉」。本作はその幸吉を中心に、彼に触発され回りに引き寄せられる男たちの熱い思いを描く。

  主人公である幸吉は実在の人物だそうであるが、厳密な時代考証と取材のため、構想から十三年かかったそうである。さすがにそれだけの時間をかけただけあってか、重厚な描写により天明時代の風俗を見事に書き切っている。特に人物・情景描写の細かさは圧巻。言葉の一つ一つ、ページの一枚一枚がずしりと重く、まるで石に彫られた文章を読んでいるような感覚にとらわれる。「読み応え」とは、こういう文章のためにある言葉なんですなあ。

  三部作構成で作られているストーリーも実に骨太で、幸吉を中心に幾多の登場人物の人生が展開される。塩の独占に命を賭けて立ち向かう塩問屋や、法を犯して塩を運ぶ諸国廻船船長。海に生き、そして海に死んだ、伝説と呼ばれた老船乗り、などなど、安穏と利益を貪る商人や腐りきった幕政に、己の信念を貫き、時には死を賭してまで抗う彼らの骨太の生き様は、脇役というにはあまりに惜しいほど魅力的だ。蛇足ながら、まるでレオナルド・ダ・ヴィンチのようなカバーイラストも良い味を出している。

  このご時世、様々なしがらみやら閉塞感やらを感じずにはおけない。「飛ぶことは、すべてを支配している永遠の沈黙に抗う、唯一の方法にほかならなかった」と語る主人公に、勇気づけられるオジさんも多いのではなかろうか。飛んでみますか、私も。


02月23日(日)
  本日曇り。今日もうすら寒い。たしか昨年の今頃は結構暖かかったような記憶があるのだが、今年はまだ冬まっただ中という趣である。まあ去年が異常に春の訪れが早く、今年のこの気候が普通なだけなのだが、それでもいいかげん寒いのに飽きた。でも暖かくなると花粉がなあ。

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  アメリカ、ロードアイランドでのクラブ火災は、死者百人近くとなる大惨事になってしまった。火災の原因はライブ中に演出として使用した花火とのことで、最初に燃え移った舞台後方の防音壁が非常に燃えやすい材質だったことが延焼を早め、多くの観客が逃げ遅れたことにつながったという。地元のテレビ局が取材中だったという映像を見ると、花火が上がった直後に天井付近の壁に燃え移り、その後あっという間に燃え広がった様子がよくわかる。確かにあれほど火のまわりが早ければ、特に客席前方にいた人は逃げるひまなぞなかったろう。演出とはいえ、あんな狭いハコで花火を使う方がどうかしていると思う。

  それにしても驚いたのが、この大惨事を引き起こしてしまったクラブで演奏していたバンドが GREAT WHITE だったということ。日本ではあまり馴染みのないバンドではあるが、八十年代後半に「Rock Me」という曲が大ヒットし、その後に発表したアルバムもそこそこのセールスを上げていたから、アメリカではそれなりに名の知れている(であろう)バンドである。私は見てはいないが、何度か来日もしているはずだ。

  しかしこのバンド、確かに分類上はハード・ロック・バンドではあるが、特にここ何枚かのアルバムは基本的にはブルーズをベースとした比較的渋い曲調が多く、花火を使うような派手な曲はあまりなかったような気がする。デビュー当時や初期の頃は幾分ハードロックしていたから、その頃の曲でも演奏していた最中の惨事だったのだろうか。

  ただ確かこのバンドって最近解散したばかりじゃなかったのか。バンド解散後にボーカルのジャック・ラッセルがソロ・アルバムを出したまでは知っていたのだけど、なのに何故まだ GREAT WHITE 名義でライブをやっていたのだろう。なんにせよ、大変残念な形でその名が世界中に知れ渡ることになってしまった。


02月20日(木)
  日を追うごとに空気中を漂う花粉の数が増大しているのがわかります。鼻で。

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  昨年の 11 月に NASA のジェット推進研究所(JPL)にあるNEAT(NEAR-EARTH ASTEROID TRACKING)のチームが発見した NEAT 彗星(2002 V1)が、いま太陽に大接近している。18 日に近日点(太陽に最も近づいたとき)を過ぎ、これから徐々に太陽から離れつつあるが、それでも近日点での太陽までの距離が 0.099AU(約 150万キロ:地球から月までの 4 倍ぐらい)というのだから、まだほとんど太陽をかすめる位置にあるといっていい。

  ちなみに「AU」とは「1 天文単位」のことで、大ざっぱに言うと太陽と地球の間の距離を指す。ということは NEAT 彗星は太陽−地球間のほぼ 1/10 のところにいるわけで、したがって彗星の表面からは太陽が十倍の大きさで見えることになる。一体どんなふうに見えるのか、見たいような見たくないような。

  こんなに太陽に接近した彗星を肉眼で眺めることができれば、さぞや素晴らしい光景になることと思うが、しかしあまりにも太陽に近づきすぎているため、残念ながら皆既日食でも起こらない限り見ることはできない。しかし最近は太陽観測衛星 SOHO のおかげで、毎日、皆既日食時よりもさらに鮮明な映像をネット上で眺めることができるのである。それがここだが、その中でも是非ともこれを見ていただきたい。太陽表面から爆発的に沸き上がるフレアと、画面上部から放物線を描いて太陽をかすめていく NEAT 彗星の様子が大変美しく記録されている。ううむ、これはすごい。

  壮大とは正にこのことですなあ。


02月18日(火)
  昨日ちょっとだけ暖かくなったのもつかの間、本州南岸を通過した低気圧がもたらした冷たい雨で、またしても真冬の寒さに逆戻り。いわゆる寒の戻りというやつだ。だが、寒くなるだけならまだなんとか我慢しようがあるが、困るのはついでに北よりの季節風も戻ってきたことである。先週に比べると花粉飛散量がずいぶんと多くなっているようだ。しかしいろいろな天気予報系サイトの花粉情報を見ても、まだそれほど飛んではいないとのこと。

  それでも私にはわかる。鼻腔奥のセンサが過敏に反応する私には、よくわかる。くしゃみ、止まらないっす。ああ、今年もまたこの季節がやってきたのか。


02月16日(日)
  今日はお台場で開催された「三菱チャンピオンズミーティング 2003」に参加。毎年この時期に行われるこのイベントは今年で七回目を迎え、もはや毎年の恒例行事となった感がある。

  ただこの通称「チャンミ」は、確かかつてトミ・マキネンが WRC シリーズチャンピオンになったことを記念して始まったはず。その後マキネンは四年連続してタイトルをもぎ取り、黄金時代を築いた三菱の正に「チャンピオン」として堂々たるイベントだった。だが昨年、帝王マキネンは三菱を去り、そしてマキネンとともに三菱黄金時代を築き上げたランサー Gr.A マシンに代わって新たに投入されたランサー WR カーの予想外の低迷で、2002 年の三菱はドライバーズタイトルはもちろん、マニファクチュアラーズでも屈辱の最下位という散々の成績で終わってしまった。

  と、およそ「チャンピオン」とはあまりにほど遠く、濃厚なとほほ感が漂う WRC での三菱だが、もう一つのメジャーラリーイベントである「パリダカ」では三菱は圧倒的に強いのだ。なにせ今年は三菱パジェロが総合一位から四位を独占しての三連覇。しかも優勝した増岡選手は日本人初の二年連覇という凄さ。砂漠のラリー界では、ドライバーもマニファクチュアもまぎれもなくチャンピオンなのである。

  ということで、以前の「チャンピオン」とは微妙に意味の異なる「チャンピオン」のような気がしないでもないが、それでも「チャンピオンズミーティング」には変わりはないわけである。しかしこれで「パリダカ」で勝ててなかったら、どういうタイトルにするつもりだったのか。と思って調べてみると、昨年は「全日本ラリー選手権」でアドバン三菱の奴田原選手が優勝していたな。これでチャンピオンと名乗るか。なんだかだんだんローカルなチャンピオンになっているような気もする。

  冷たい雨が降る中、会場近くの臨時駐車場に車で乗りつけると、さすがに三菱主催のラリーイベントだけあって駐車場内は異常にランエボ度が高い。初代の T から VII まで(さすがに VIII は見なかった)、各色色とりどりの歴代ランエボが居並ぶ光景はなかなか壮観である。世間から「下品」と呼ばれる巨大なリアスポイラーも、こうあちこちからニョキニョキ生えていると、なんだかこれが普通の車に見えてくるから不思議だ。

  車を置いて駐車場脇を通って会場に到着すると、三菱レッド一色に染まったそこは、すでに人の海であった。この冷たい雨がシトシト降り続く冬の日曜日に、わざわざお台場くんだりまでやって来る真性三菱マニアのなんと多いことよ、と毎度の事ながら感心する。皆さん、本気でお好きなんですなあ。

  しばらく会場内をブラブラしたのち、本イベントの目玉、アリスター・マクレーなど三菱ワークスのラリードライバーによるデモ・ラン(同乗走行)を見る。私もこの同乗走行には応募していたが、残念ながら抽選に外れてしまっていたのだった。これで昨年に続いて二連敗。まあ全部で八十人しか当たらないという競争率の高さゆえ、当たらないのも仕方がないのだけど、しかし相変わらずのクジ運のなさである。ああ、一度でいいから WR カーに乗ってみたいものよ。次も、その次も俺は(まだ存在するなら)ランエボを買う(かもしれない)。だから俺を乗せてくれよ三菱っ。でなけりゃ次はインプレッサにしちゃうぞ、と無意味なことを呟きながら、およそ人間技とは思えない豪快なドリフトやドーナツ・ターンを軽々とブチかますラリーカーを見つめるのだった。

  そんな三菱一色の一日だったわけだが、ついでと言ってはなんだが今年もお買い物は敢行。ちなみに今年の戦利品は、ラリーアート製の純正交換型エアクリーナーフィルターと、三菱マークのステッカー二枚だ。こうして身も心も車も、三つの赤い菱形に埋め尽くされつつある私である。


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